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7/12 裸の付き合い大作戦、その顛末。


やっと帰ってこれた。

どうして楽しんだ後の帰り道というのは憂鬱になるんじゃろうか。


その後もかわらぬ日々が続くというのに。



裸の付き合い大作戦は……結果的には成功したと言っていいじゃろう。


しかし、わしの心の傷は増えた。


昨夜の温泉じゃが、もちろん男女別で入る。

妙な事件がおきたせいで宿泊客はわしらだけになっておったので完全貸切状態じゃった。


女風呂の方でヒナが騒ぎ、レディたるもの公共の施設ではおしとやかに……的なメイドの声が聞こえていた。


それ自体はまぁ微笑ましいのじゃが、しばらくするとヒナが、なぜわしが一緒じゃないのかと言い出した。


わしは一緒に入るのは大歓迎じゃがいろいろ社会的な問題が生じるのじゃよ。


などと言ったところでヒナには分かるまい。

問答無用で壁をすり抜けて男風呂に乱入してきおった。

そんな壁すり抜け中のヒナを止めようとメイドが走り、間に合わず柵に激突。

だいぶ年季が入ってボロくなっていた柵は崩壊し、男女を分けているあの仕切りの柵が男風呂めがけて倒れてきた。


油断してたのでわしはもろに頭にくらってしまい、湯の中へ沈んでしもうたのじゃ。


しかしわし魔王じゃからして。

その程度では意識を失ったりはせんかったよ。


心配そうなヒナの声を頼りに水面に出ると、目の前にメイド。

律儀に湯にタオルはつけないようにしていたらしく隠すものなど何も無い状態。


ほら、もう何が起きるかわかるじゃろう?


それが温泉旅館でのわしの最後の記憶じゃ。



次は現地の病院じゃったからな。

大事をとって入院と言われたが、面倒な事になりそうだったので逃げ出してきた。

勿論宿泊料と病院での診察費用はこっそり置いてきたので問題ないじゃろ。


とにかくいろんな意味で記憶に残り続ける日となったわけじゃ。


いやぁ、今思い出しても……。




すごかった。


何が、とまで記すのはやめておこう。




とにかく、二人とも揃ってわしを心配していた時のあの一体感が今回の最大の戦果じゃろうて。


と、かっこつけてはみたものの、やはり最大の戦果は……いや、やはりやめておこう。


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