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1/7 魔王の願い事。
次の目的地までもう少し、というところまで来た。
近付くにつれティナの口数が減っていく。
さすがにティナも緊張しておるんじゃろう。
なにせ、そこはティナの生まれ故郷らしい。
つまり、勇者が生まれた村じゃ。
そこへたどり着けば……いつぞやの夢が、本当にただの夢だったのか、もしくは現実に起きたことなのかはっきりする。
少なくとも、わしはそれがはっきりするまではこの世界にいようと思った。
ティナのために。そしてわしのために。
転移を使ったところで日本に帰れる保証は無いが、わしは一度、もしくは二度、ここから日本に行っておるのじゃからなんとかなる。
なんとかしてみせる。
出来ればあの時の夢が現実で、勇者が存命である事と、
帰り路にティナが居る事を切に願う。







