1/3 アホのミロロン。
ひとまずわしは幻術を使って外見を普通のおじさんに変えた。
ティナあたりはゲラゲラ笑っておったが、こればっかりは仕方ない。
わしの姿のままで町の中に行く訳にはいかないからのう。
万が一にもわしの姿を知っている者がいたら大騒ぎになるだけでなくメイドやティナまで追われる身になってしまいかねん。
一通り町を見てまわった感想としては、皆元気がない。
その理由は簡単で、定期的に巨大な魔物に生贄を差し出さなくては生きていけないような状態であった。
しかもその魔物と言うのが、わしがこの世界で魔王やってた時にやたらと命令違反はするわ気は荒いわでどうしようもなかったミロロンという大きい蛇みたいな奴じゃった。
丁度今日生贄を一人差し出す日だというのでそれをうちのメイドにしてもらい、わしはこっそり後をつけた。
そして対面したミロロンは、自分が魔王ですといわんばかりにふんぞり返っておった。
久しぶりにわしの事を知ってる相手との会話は楽しかったが、かといってそんな傍若無人を見てみぬふりも出来ぬのでちょちょいっとぶっ殺しておいた。
あいつの取柄は再生能力じゃからきっとあと三百年もすれば復活できるじゃろう。
それまでに少し頭を冷やしたらいい。
まったく、魔王という統率者が居なくなると阿呆がのさばっていかんな。