200/366
1/2 ふるさと。
ひとつ分かった事がある。
やはりここはわしらが居た世界だという事。
そしてわしが日本に居たのと同じだけの時間が流れている。
メイドとティナが町で情報を収集してきたのだから間違いあるまい。
メイドはこちらの事をろくに知らんだろうが、こういう時ティナがとても役に立つ。
わしも姿を変えて町に行くのも悪くないかもしれんな。
明日当たりそうしてみようか。
そして、もう一つ分かった事。
今の時代、この世界で魔物の統率が取れていない。
わしを見ても平気で襲い掛かってきおった。
主の顔も忘れてしまったのか、そもそも主従関係を理解できていない可能性もあるが、無差別に暴れる類の魔物が多い。
今日一日で三体程の魔物を始末したが、そのどれもが理性の欠片もなかった。
当時の幹部たちはもう誰も残っておらぬのであろうか?
誰か残っていればこんな事にはならぬと思うのじゃが……。
それとも無作為に人間を襲うように命令されているのか?
……うーむ。
早く帰りたい気持ちはあるが、こちらの現状を知ってしまうとそれはそれで気になる。
ふるさと、というのもなかなか困ったものだ。
思考を鈍らせる。