6/17 メイド面接。
写真と違う女が来た!
動揺のあまり順序がおかしくなってしまった。
順を追って記していこう。
まず、わしは新聞にメイド募集の広告を出し、六本木に私書箱を作って連絡を待った。
わしの名前は伏せて、だ。
なにせわしは有名人じゃから名前を出してしまうと変な輩が山のように来るのではないか?
そんな不安にかられたのでシンプルに、
【高スペックメイド急募!月収50万!】
と広告に載せた。
するとすぐに私書箱の方へ履歴書が届く。
経歴はいろいろ書いてあったがわしにはよく分からんかった。何せこの世界でどんな経歴が凄いのかなど知らぬからだ。
写真をみてめちゃくちゃな美人だったから即連絡を入れて面接をしたのじゃが、ここで何がおきたかは最初に書いた通りじゃ。
写真と違う女が来た。
履歴書には22歳と書いてあったがあれは40をこえている。
わしわかるもん。
なぜ別人が来るのかと問いただすと、本人だと言い張る。
写真を盛るのは当たり前のことで、その技能も評価に入れてほしいなどと言うのだ。
この世界にも魔法というのは存在するらしい。
スナウとかなんとかいう魔法で外見を美しく誤魔化すことが出来るのだそうだ。
なんと恐ろしい……。
丁重にお引き取り願ったのだが、どうやらわし余計な事を言ってしまったらしく怒らせてしまった。
年齢詐称はあかんじゃろ。
そう言っただけなのに、あの女は突然歯をむき出しにして呪ってやる呪ってやると掴みかかってきた。
やめてほしい。
わし呪いとか迷信とかすごく気になるタイプだからほんとやめてほしい。
つい咄嗟に頭をぼんやりさせる魔法を使ってしまい、動いてくれなくなってしまったため仕方なく引き摺ってマンションの外まで連れて行ったら今度は警察とかいう国家の犬がわしにあれこれ質問してきて、薬物か!薬物なのか!?と家に上がり込みあちこち引っ掻き回していきおった。
……わし心へし折れそう。
特に不審な点は無いとの事で事なきを得たのじゃが、この世界では有名人イコール薬物みたいなイメージがあるらしい。嘆かわしい事だ。
わしの元いた世界ではどんな薬草だって合法じゃった。それがこの世界では少し違うらしい。
わしそういうの何も持ってなくてよかった。世界樹の葉とか持ってたら犯罪者扱いされていたやもしれん。
わしはただ、まともで可愛くて綺麗で若くて有能なメイドが欲しかっただけなのに。
もう諦めよう。
もう一人だけ面接希望が来てるから明日そいつと面接をして、少しでも微妙と感じたら諦めよう。
可愛くて巨乳で綺麗で巨乳で若くて巨乳で有能なメイドなんて幻想じゃ。
空想上の生き物なのじゃ。