12/12 魔王気ない戦い。
本日はまだ放送も始まっておらぬ冠番組二回目ロケ撮影をしてきた。
今回わしとかけこがチャレンジしたのはサッカーである。
日本は特にサッカーというスポーツが好きらしいのじゃが、これはさすがに本気を出すと色々申し訳ないので辞めたほうがいいと番組プロデューサーに伝えた。
しかし、本気も見たいからと前半は一切力を使わず、あるチームの一員としてわしとかけこが入りプレイする。
後半になったらやりたい放題やってよいとのこと。
ちなみにわしとかけこが参加したチームは小学生低学年のみで構成されたチームで、相手はプロのサッカーチーム。
有名な選手もかなり揃っていたらしいがあまり知らんのじゃすまぬ。
勿論前半はわしを含めその華麗なテクニックに翻弄され、なんと前半だけで22得点入れられるという体たらく。
かけこは以外にもサッカー経験者らしく小学生の上手い奴程度には役に立った。
で、後半になりわしは本当にやっていいのかと相手のチームにも確認したのじゃが、
いくら噂の魔王様でもサッカーじゃ俺らに勝てるわけないぜ!
とやっすい挑発をしてきたので敢えて乗っかってやった。
まずチームメイト全員に、一人一人が頭に思い描く動きを実現できる程度にまで強化魔法をかけた。
それだけで7点ほど取り返してくれたので、あとはわしの出番じゃ。
相手からのシュートはゴールに結界を張って弾き返し、困惑する相手チームのゴールへと、自陣ゴール前から弾丸シュートを放つ。
厳密にいえばわしはこの時空振って盛大にずっこけてしもうたのじゃが、空気を圧縮した魔法でボールを押し出す事が目的だったので特に問題なく相手のゴールネットを突き破った。
あまり威力のあるシュートじゃと万が一選手に当たったら怪我をするので、そこからは念動力でボールを操作し相手の攻撃をかわし続け、わしは悠々とコートの中央を歩いていくだけ。
相手のゴール前まで来たら本職ゴールキーパーは逃げ出し追った。
結果的に22対88という成績で圧勝。
かけこごとボールを宙に浮かせて相手ゴールに突っ込ませたのは我ながら傑作であった。
ちなみに、その時必死に防ごうとした相手の選手がかけこに体当りされそのまま一緒にゴールに突っ込んだわけじゃが、後ほどその時の選手に感謝された。
謎である。
我ながらちとやりすぎてしもうて、選手が意気消沈しないか心配じゃったが、どちらかと言うと、昔憧れた漫画のようなシュートが見れて嬉しかったと喜ばれた。
それと、わしが強化した小学生共は自分の実力でもないのにプロに勝って調子に乗っておったので、残り5分ほどになったところで解除し、身の程をわきまえてもらった。
威厳というのはきちんと示さなければ部下が増長するだけなのでな。
しかし久久に力を使って疲れたので今夜はメイドにスタミナのある飯を作ってもらおう。