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ここってどこ?わたしってなに?

 「どうやってここへ来た?君は誰だ?」


 辺りを見渡しても誰もいない。声だけが響く。


「どうして無視する。僕は君の前にいるだろう」


 どこ?どこにいるの?全く人影が見あたらない。


「下だよ。下!僕だよ!」


 私の足下を何かが叩く。とってもプニプニしてる。

 ぱっと下を見ると、小さくて、白くて、可愛らしい狐が前足で私の足をペシペシしている。


「ああ、そこでしたか。気付かなくてすいません」


 そう言って、しゃがんで目を合わせる。


「私は今さっき、ここにきました。あなたはあそこの住人なのでしょうか」


 集落の方を指差す。


「そ、そうだけど、……それより君はどうしてここにきたんだ。ここはよそ者が、特に君みたいな子が来ていい場所じゃない」


 う~ん?どこからきたって言うのがいいのかな?

 違う世界とか?まあ、とりあえず、お爺さんにあった所から話していきましょうか。


 そう思って、狐さんに事情を説明し始める。


「ええっとね。大きな本棚がある部屋から、白い髭もじゃのお爺さんに……」


「ああ、ホーナーさんのところから来たのか。……でもおかしいな。普通、この国にくる渡り人は、桜春に転移するはずなんだけどな」


 一つの疑問は解決したようだけど、また不思議に思う部分が出てきたみたいね。私もわかってないんだけど。


「あ~~君、名前と種族も教えてくれないかい?狐獣人とは違うみたいだし」


 そう言われて、自己紹介もなにもしてないことに気づく。


 名前はヨゾラで、種族はハーフでいいのかしら?

 一応確認しておきましょうか。

 メニューを開く。でも、ステータスは見あたらない。あれ?

 代わりにパーソナルデータという項目があった。

 さっさと開く。


 ーーーーーーーーーーーーー


【名前】ヒバリノ ヨゾラ


 〈種族〉天狐の落とし胤


 〈スキル〉 未収得


 〈タレント〉 未解放


 ーーーーーーーーーーーーー


 あら?確かただのハーフを選んだはずだったのだけど。そもそもこんな種族あったかしら。

 とりあえず伝えましょう。


「私の名前は、ヨゾラです。そして種族は天狐の落とし胤ですね。種族については私はよくわかってないんですけど」


 言った瞬間に、狐さんは見るからに動揺しているのが分かった。


「お、お父さん、今度はなにやったんだよぉ」


 急にあわあわし始めた。なにかあったのかな?


「と、とりあえず、ついて来て。あと僕の名前は勝千代(まさちよ)だから、好きなように呼んで」


 はあ、あまり状況を飲み込めていないけど、ついて行くしかないのでついて行く。

 階段を上って、集落まで行く。そして、そこから町外れの少し古臭い屋敷に案内された。


「ここは、もう誰も使っていないから、君が自由に使っていいよ。ちょっと埃っぽいけどね」


 とりあえず落ち着ける場所に着いた。ずっと立ちっぱなしだったから流石に疲れた。

 ちょっと一息いれてから、話を始める。


「勝さん。私の種族についてなんですけど……やっぱりおかしいですよね」


 難しそうな顔をする勝千代さん。説明しづらそうだ。


「天狐……僕たちのお父さんなんだけど、ここの社殿にいるよ。

 今は他の皆と寝ているかな。起きたら一緒に行こう。僕も君に関してはわからないんだ」


 そういうことらしい。おそらくこのキャラクターの父親になるわけだけど……渡り人にこちらの親っているのかしらね。


 あまり考えていても埒があかないので、他にも質問してみる。


「勝さん。ここはいったいどういう場所なんですか?」


「天狐の里さ。東龍皇国の南方にある高山地域の一部。だからここに住んでるのは僕たち天狐とその子供、物好きな仙人気取りの人間たちだけだね」


 さらに詳しく聞くと、東龍皇国は島国である事や、天狐が厄災と呼ばれていることも教えてもらった。


「ああ、くれぐれもここの場所は他言無用だよ。また争いの火種なるとよくないからね」


 話が一区切りしたところで釘を刺される。まあ、過去に色々あったのだろうな。なにしたのかしら?厄災って。


「詳しいことは、お父さんに聞くといいよ。他に何か聞きたいことはある?少し仮眠させて欲しいんだけど」


 こんな夜中に相手させたことを少し申し訳なく思ったので、一時間ほど眠ってもらう。その間、私は外で星を眺めていた。


 私はこの世界でなにをしようかしら。どうせならこの星空のように現実ではきっと無理なことを見たりやったりするのがいいかもしれない。


 これからなにをしようか物思いに耽っていると、勝さんが起きてきた。

 もう仮眠は十分らしい。


「おはよう。早速、質問するんだけどさ。スキルとタレントについて教えてくれない?あまり詳しくないのよ」


 リアルで調べておこうと思ったのだけど、少し用事が出来てあまり時間がなかったから、スキルとタレント制のゲームということしか知らない。


「まあ、渡り人だもんね。いいよ。教えてあげるね」


 そう言って、私の対面にちょこんと座る。


「君の言うスキルやタレントっていうのは…………」


 かなり丁寧に教えてくれたので時間がかかった。忘れてしまうといけないので、メニューのメモに書き込んでいく。


 〈スキル〉 

 この世界で一定水準の技術を有することを証明するもの。ある一定の水準を超えた時点で自動でパーソナルデータに追加される。スキルのおかげで特殊な技が使える訳ではない。

 わかりやすく言うと自動車免許みたいなもの。


 大きく分けて〈武技(マーシャルアーツ)〉〈魔法(マジック)〉〈専門技術(イクスパーティ)〉にわかれる。


 次に


 〈タレント〉

 この世界で生きるすべてのものに与えられる才能。特殊な能力からオーソドックスなものまで幅広く、バラエティに富む。

 与えられる個数はランダムで、少なくとも3つ与えられる。

 使えるようになるには不思議な白薔薇にある操作をして虹薔薇を作り、煎じて飲まないといけない。白薔薇、それ自体はどこにでも生えている。


 要約するとこんなところかしら、忘れることはないでしょうけど、一応ね。


 目に眩しい光が射し込んできたのでそちらをみると、ちょうど日が昇ってきたところだった。朝日の出をみるのはいつぶりだろう。いつも見ているはず。でも、もうずいぶん昔のことのように思える。


 慌ただしい生活の中で自然と意識しなくなっていたのだろう。


「ん、ヨゾラ。そろそろお父さんたちも起きる頃だ。いこうか」


 二人で社殿に向かっていく。その途中で、京都へ観光にいった気分になるくらい建物は趣があった。






「おはようございます。お父さん。急なことなんですが、紹介したい方が。こちらの『ヨゾラじゃろう』……ええ」


 社殿につくと、そこには大きな白い狐がいた。明らかに神聖な、不思議なオーラを放っている。

 その姿に圧倒されていて、どうして名前を知っているのか、不思議に思うことさえできなかった。

 遅れて何故名前を?と思い始める。


「ワシがそなたをよんだのじゃよ。ホーナーにわがままを言ってな」


 がははと笑ってる場合ですか、もっと詳しい説明をしてください。天狐さん。


「ホーナーのもとへくる魂の中で、ワシがソナタのことを気に入っただけじゃ。……あんなに似とるとは、思いもせんかった」


 ふんふん、それで?最後のほうは小声で聞こえなかったけど。


「こっちの世界にそなたの要望通りの混血種なぞおらんかったのでな。ワシがこの国の皇帝の娘との間に子をもうけて、それをそなたとした訳よ。あ、心配せずとも夢の中でじゃよ?」


 何ですか、その話は。なんだか頭が痛くなってきましたね。

 つまり、まとめると、私はこちらの世界にぴったりの体がなくて、わざわざ天狐と皇女の間の子として夢の中で生まれた体であると、そういうことですか?


 この世界にあわないのであれば、ホーナーさんも断ってくださってもよかったのに。いや、でも、さっき天狐がわがままを言ったって言ってましたね。恐らく自分のところに呼ぶチャンスだと思ったんでしょう。まあ、今となってはどうでもいいですが。


 ちらっと天狐の顔を見る。すると、その真っ赤な瞳と目があった。


 ああ、ホーナーさんが目の設定で、呆れていたのは私が無意識に同じ目にしたからですね。今わかりました。


 ついでです。これも聞いておきましょうか。


「ねえ、なんで厄災なのか教えてもらえるかしら」


「ああ、う~ん。まあ、恥ずかしい話なのじゃが、天狐の才能(タレント)には、空を歩くこと、天候を変えることの二つの能力があるんじゃが、若い頃にの、胡蝶蘭の君という女性を訪ねに行ったときにな。あんまり彼女が美しかったんで興奮してしまってな、つい天候の操作を誤ってしまってな。この国の各地で、干ばつ、豪雨、突風など起きたんじゃ。

 それで他の種族が怒って妖の討伐が始まったのじゃよ。わしが謝っておけば他の妖も人々と争うこともなかったじゃろうなぁ。ムキになって妖と他の種族との戦争になってそれはそれは凄惨な事態になってしもうてな。そこで争いを終わらせるために、妖たちはわしを封印したことにして、人々と相互に殺さずの契りを結んだのじゃ。それから平和よのう。この国は。そんなところじゃな。ちなみにその姫の曾孫がそなたの母親じゃな。日向の君とか言っておったな」


 はあ、最後の話で全然懲りてないことがわかりました。

 ちなみに妖っていうのはモンスターのことらしい。


「今の話を聞くと、私はこの集落から出られないのかしら」


「そなたは気にせずともよいわ。厄災なぞもはや伝説に近いしの」


 なら、私は自由に活動できるみたいね。これからどうしようかしら。


「あ、言い忘れておった。一人前になるまで勝千代に修行をつけてもらうといい。勝、頼んだぞ」


「はい。お父さん」


 ああ、チュートリアルみたいなのはやっぱりあるのね。でも待ってね。ちょっと疲れたから、少し休憩したい。


「少し休憩したいからあの屋敷に戻ってるわね。修行するときに、また戻ってくるわ。」


 そう言って、あの屋敷に戻って、横になる。

 このゲーム、睡眠、食事ちゃんと必要だから、ログアウト時は睡眠するように設定しておく。


 設定をすませて、ログアウト。


 意識が切り替わる。




 ふう、ちょっと飲み物でものもうかしら。


 でも、だいたい四時間ほどプレイしたと思うけど、あまり喉は渇いてないですね。


 そう思って、時計を見るとまだ午前一時を示していた。


 ということは、あちらの世界は四日でも、こっちでは一日しかたってないわけですね。不思議です。


 まあ、あとで公式で調べておきますか。


 少しゆっくりしたあと、またログインする。




「お、きたね。じゃあ早速、時の部屋に行こっか。体づくりはさっさと済ませたいでしょ?」







三話は下書きのみなんでいつでるか未定です。

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