儀式と出会い
この町の隅にある小さな教会。ここに今日15歳になる子供たちが全員集まります。といっても、町が小さいので顔見知りばかりですが…
「おはようごさいます、愛梨ちゃん。」
「おはよ〜。もうそろそろ始まるから席に着いたら〜。」
愛梨ちゃん、おっとりしていていつも穏やかな私の友達です。
私たちが愛梨ちゃんの隣にすわるとちょうど儀式は始まりました。
「これより、神聖なる儀式を行う。今年契約を行うのは31名。全員祈りを。」
神父さんの言う通りに祈りを始め、呼ばれた人から順に前まで行って契約を結びます。私たちは最後に来たので、呼ばれるのは最後です。
何分経ったでしょうか…ずっと祈っていると時間がわからなくなりますがたぶん数十分が経ちました。
「白露 愛梨、前へ。」
私は祈りを捧げながら薄目を開けて、愛梨ちゃんを見ると愛梨ちゃんの前には白い梟のような精霊が見えました。ただ、普通の梟とは違って翼が何枚も何十枚も見えました。一瞬、光に包まれたかと思うと、もう梟は見えなくなっていました。
順に綾ちゃんも儀式が終わり、最後に私が呼ばれました。
「彼方 花奈、前へ。」
また、白い梟のような精霊が見えたと思うと私は光に包まれました。暖かいような、落ち着くような、どこか不思議な感覚。目を開けるとそこには1人の少年が立っていました。