魔王は、勇者を救いたい 2
魔王は、勇者を救いたい。の続き?になります
はい。今日もヤられ役はスライムです。
いや、勇者が成長しませんと、強いのと戦わせられませんからね。しばらくは仕方ないですよね。
「魔王様にご報告いたします」
「うむ」
促される顔に、にこりと笑みを浮かべてみせ……そこ。気持ち悪いとかいわない……言葉を続けます。
「勇者様が、レベルアップされた模様です」
「なんと……!!」
嬉しそうな魔王様に大きく頷く。
「はい。武器は未だに桧の棒でございましたが、確実に受けるダメージが大きくなっておりましたので、間違いございません」
「そうか……。しかし、まだ桧の棒か」
複雑そうな顔の魔王様に、大丈夫です、と自信をもって進言する。
「もちろん、お金をだいぶ落としましたし、最後の時、たまたま近くに落ちていた『こんぼう』を手に入れて装備されました」
武器としては、桧の棒よりもこんぼうの方が確かに強いかもしれないが、まだ心もとないものがある。だが、一歩前進したことは間違いない。
「こんぼう、か。そうか」
少し嬉しそうな顔の魔王様を見て、さらに報告を続ける。
「勇者様は、さらにお洋服を『布の服』から『旅人の服』にされておりましたので、昨日ドロップしたお金はこちらに使用したものと思われます」
「おぉ。成長しておるな。うむうむ」
納得したかのように、こくこくと頷いて、少し魔王様は思案して口を開いた。
「……念のため、明日もスライム。お主に任せよう」
「はい。お任せを」
これは、勇者を救いたい、魔王の物語。
日々、勇者のために、ヤられ役を勇者のもとへと派遣し、勇者の成長を促す。
そんな、物語。