神子
家に着くと村長様と元老院の方々が母様と一緒に家の前にいた。
『アリア、カイリ、今年の神子は君たちに決めたよ。明日の朝日が登る前に出かけるからこの神子装束に着替えておくんだよ。』
村長様は笑顔で私たちにそう言い、神子装束を手渡すと元老院の方々と一緒に村の中心へと帰っていった。
カイちゃんと二人で大はしゃぎする。
やったー!神子様に選ばれたんだ!綺麗な白いお洋服をきてプロンティアの立派な神官様になるべく学院でお勉強できるぞ!
父様と母様はそんな私達に早く家に入りなさいという。
少しは喜んでくれてもいいのに…
家に入ると、冬の間の食料を貯蔵している地下室の扉を開けて両親は私たちを手招きする。
いつもは入ることすら禁止されているお部屋に手招きされて戸惑っているとカイリが私の服の裾を掴んで早く入ろうと急かす。
私たちが入るなり扉を閉めた父様が口を開いた。
『アリア、カイリ、今から父様と母様の言うことをよくおきき。神子は神官様を育てるためのなんて言うのは全部嘘なんだ。毎年、冬を迎えるために蓄えてある村の食料庫の量から足りない分の人数を減らすために何も知らない無垢な子ども達を選んで魔物の巣窟に放り込んで殺してしまうんだ。その口減らしに選ばれたのが神子と言うわけなんだ。』