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ハズレ判定から始まったチート魔術士生活  作者: 篠浦 知螺


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反撃への作戦会議

 反撃に向けての打ち合わせには、フレッドとバステンにも一度戻ってもらいました。

 離れた場所に居ても、簡単に戻って来られるのが影移動のチートなところですよね。

 下宿の自室で、小さなテーブルの上に紙を広げて、要点をまとめていきます。

 準備が出来た所で、ラインハルトから質問されました。


『ケント様、以前お話しした三つの課題を覚えておりますかな?』

『えっと、救出方法と受け入れ先、それと内通者だっけ?』

『そうです、その内の受け入れ先は、クラウス殿から協力の約束を取り付けましたから残る課題は二つですな』

『そうなんだけど、もう一つ、相手に痛手を負わせたいんだよね、やられっ放しのままじゃ納得いかないし、交渉の時にも舐められそうな気がするんだ』

『そうですな、では、反撃を項目として加えましょう』

『救出方法、内通者、反撃方法だね』


 広げた紙に、こちらの文字で書いていきます。

 日本語で書いてしまうと、ラインハルト達が読めなくなっちゃうからね。

アマンダさんやメイサちゃんに見られたら、怪しまれてしまうかもしれないので、メモは影収納に保管する予定です。


『まず、救出方法なのですが、影移動は使えない事が分かったので、やはり魔の森を抜けるしかありませんが、まずは駐屯地から出る事が先決です』

『それなんだけどさ、やっぱり一度に全員を救い出す方が良いよね?』

『そうですな、それが理想ではありますな。 何度かに分けると警戒されるでしょうし、我々の強みを失う可能性が高くなりますからな』

『僕らの強みって……影を使って自由に移動出来る事だよね?』

『勿論それもありますが、我々の存在が知られていない事の方が強みと言えますな』

『そうか、僕は死んだと思われてるんだった』

『そうです、居ると思わなければ、当然そこへの警戒はされませぬ』

『なるほど、警戒されていない方が色々とやりやすいもんね』


 僕らは同級生達を救い出そうと考えていますが、僕らの存在を知らないカミラ達にしてみれば、同級生達を逃がさない事しか考えていないはずです。

 当然ですが、その分だけ警戒も薄いはずです。


『と言うことは、僕らは存在を気付かれちゃいけないんだね?』

『勿論ですな、例えばワシらが存在を知られても、正体不明な魔物で済むでしょうが、黒髪黒目のケント様は、全員の救出が終わるまでは姿を見られない方が宜しいでしょうな』


 だとすると、表立ってはラインハルト達に動いてもらった方が良いのかもしれませんが、それだと、ヴォルザード側が召喚した魔物だと思われるかもしれませんし、何よりも、同級生のみんなが味方だと思ってくれないでしょう。

 と言うか、あの駐屯地から一度に全員を救い出すなんて出来るのでしょうか。


 駐屯地は高い塀に囲まれていますし、頑丈な門の所には兵士の詰所があります。

 場所は街の外れですけど、魔の森の方向へ向かうには川を渡らなければなりませんし、橋は魔物の襲来を防ぐために跳ね橋になっています。

 当然、跳ね橋の袂には詰所がありますし、どう考えても騒ぎを起こさずに逃げ出すなんて出来そうもありませんよね。

 騒ぎが起きれば、当然追っ手が掛かるでしょうし、ますます救出が難しくなりそうです。


『うーん……全員を一度にかぁ……難しいね』

『ケント様……一つアイデアが……』

『アイデア? なになに、聞かせて』

『魔の森での実戦を利用しては……?』


 フレッドのアイデアは、これから行われるであろう魔の森での実戦の時に、同級生達を救出してしまおうという案でした。

 これならば、駐屯地から救い出すという手間は省けますし、当然騒動が起こる確率もぐっと低くなります。


『ケント様、これは良い案かもしれませんぞ、実戦になれば引率の兵士の数も限られますし、増援が来る心配もありません』

『そうだね、僕らが居るとは思っていなければ、逃亡の心配しかしてないだろうしね』

『いいえ、ケント様、その逃亡の心配もしていないでしょう、なにせ魔の森に置き去りにされれば……』

『そうか、むしろ連れて帰ってもらわないと困る状況なんだね』

『はい、その場から逃げられたとしても、隷属の腕輪を着けたままでは逃亡もままならないでしょうから、結局は駐屯地へ戻るしかありませんな』


 外からの救出作戦も考えていない、逃亡の心配もほぼ無い状況では、引率する騎士達の警戒心は相当薄いような気がします。

 あとは、どんな手順で救出するかですね。

 頭を捻っていると、バステンがアイデアを出してくれました。


『ケント様、ここはやはり我々が魔物らしく襲い掛ってみるのが良いのではありませんか?』

『襲い掛かるって、同級生達とバステン達じゃ勝負にならないよ』

『分かっております、ですから、少々痛い思いはしていただきますが、御学友の皆様には昏倒してもらって、引率の騎士どもは始末してしまうというのはどうでしょう?』

『なるほど……うーん……でもなぁ……』

『何か問題がございますか?』

『引率の騎士は殺さなきゃ駄目なのかな?』

『始末してしまった方が、後腐れは無いと思いますが』

『うーん……』


 確かにバステンが言う通りに、騎士は殺してしまった方が、情報が洩れる心配は無いでしょう。

 生かして返せば、正体不明のスケルトンの情報が流れて警戒が強まる事は間違いありません。

 でも、殺してしまえば恨みを買って、元の世界に戻るための交渉の時に、上手く話を進められなくなるような気がします。

 そうした考えを話して、みんなに意見を求めました。


『どう思う、ラインハルト?』

『そうですな、確かに恨みを買えば、後の交渉が頓挫する可能性があります。 その一方で、警戒されれば救出が難しくなる可能性があります。 どちらを優先するかですな』

『うん、やっぱり元の世界に戻れなくなるのは拙いから、出来るだけ相手は殺さない方向でいこうと思う。 出来るかな? バステン』

『お任せ下さい、多少の困難など、我々が打ち砕いて見せましょう』

『うん、ありがとう、よろしくね』


 同級生を救出する道筋が、ちょっとだけ見えてきたので、少し心が軽くなった気がします。


『ケント様、救出作戦を進めるには、準備を整えておかねばなりませんぞ』

『あっ、そうか、クラウスさんとかにも話をしておかないと駄目だよね』

『それもありますが、魔の森を歩いて通り抜けるには二日から三日ほどは掛かります。 その間の水や食料、天幕などの準備も必要になりますぞ』

『そうか……僕の時は、みんなに食料とか頼りきりだったものね。 人数が多くなったら、相応の準備をしないと駄目か……』


 ラインハルトによると、リーゼンブルグの騎士団は、五人を一つの単位として行動するそうです。

 五人のグループに一人のリーダーを置いて、そのグループを五つ束ねるのが班長。

 五つ班を束ねるのが部隊長で、五つの部隊を束ねるのが分団長になるそうです。


『と言う事は、用意するのは五人分を一つの単位にして、それを幾つか準備すれば良いのかな?』

『そういう事になりますな、魔の森での実戦が、どの程度の規模になるかによっても変わって来ると思いますが、恐らくは二十人程度から始めると思いますぞ』

『じゃあ、余裕をもって三十人分ぐらいの準備をしておけば大丈夫かな?』

『そうですな、影収納に入れておけるので、余裕を持っておいた方が良いですな』


 同級生を早く救出したいなんて思っていても、何の準備も出来ていない事を痛感させられます。

 そもそも、大量の食料や天幕などを、何処で手に入れてくれば良いのかすら分かっていません。


『ケント様……心配無用……』

『えっ、どうして?』

『駐屯地から……いただいて来る……』

『あっ、なるほど……でもバレないかな?』

『後ろから抜き取れば……まずバレない……』


 フレッドには、駐屯地の備品のリストアップを頼んでいたのですが、それが役に立ちそうです。

 備品の数は当然管理されていて、出し入れする数のチェックはその度にやりますが、総数のチェックは一定期間に一度の割合でしか行わないそうです。

 なので、大量に積まれている品物から、影移動を使って後ろから抜き取ってしまえば、総数チェックの時まではバレる心配は殆どありません。


『ケント様、仮にバレたとしても、不心得者が横流しにした疑いを持たれるだけで、侵入した形跡すら残さないワシらの存在は、まず気付かれませんぞ』

『うん、そうだね、じゃあフレッド、悪いんだけど必要そうな物を、ちょいちょいっと頂いて来て、影収納に置いといて』

『了解……お任せを……』


 救出に必要な品物は、これで心配要らないでしょう。

 あとは、みんなをヴォルザードまで連れて来て、迎え入れてもらわないといけませんね。


『うーん……やっぱり守備隊の人にも話をしておいた方が良いような……それと、隷属の腕輪か……』

『ケント様……腕輪、探してきた……』

『さすがフレッド、仕事が早いね』


 影の空間からフレッドが差し出した腕輪を受け取りました。

 黒曜石を削り出したような外観の腕輪は、見た目ほど重たくはありません。

 何か手掛かりにならないかと、腕輪を手に取って意識を集中すると、頭にイメージが流れ込んできました。


『うっ……これは……』

『どうなされました、ケント様』

『うん、魔の森で拾った物とは違って、凄く複雑な術式が組んであるみたい』

『ほう、でしたら、今回の召喚のために作られた特別な物かもしれませんな』


 腕輪の解除が出来るのは一人、恐らくカミラだけですが、腕輪を着けている者が、リーゼンブルグの住民と認識した者に対しては、暴力を振るえないような術式のようです。


『ほほう、確かにそれは珍しい術式ですな。 普通は個人が所有し、その個人に対して逆らえない術式になるのが一般的です』


 ラインハルトが言うには、一般的な隷属の腕輪は、嵌める以前には魔力のパターンが刻まれておらず、所有者となる者が奴隷に嵌める時に魔力のパターンが刻み込まれるのだとか。

 試しに腕輪を閉じてみると、もう引っ張っても外れませんし、継ぎ目も殆ど分かりません。

 その状態で意識を集中してみると、確かに僕の魔力パターンではなく、別人の魔力パターンでロックされています。

 更に意識を集中して、魔力パターンに割り込みを掛けると、カチっと小さな音を立てて腕輪は二つに分かれました。


『うん、大丈夫、この腕輪も外せるよ』

『素晴らしい、さすがケント様、闇属性の魔道士であっても、隷属の腕輪を外すのには手こずると聞いております』

『同級生を救出したら、外した腕輪に魔物の血でも付けて捨てておこうか?』

『それは良いですな、それなら救出されたのではなく、魔物に殺された事になるでしょう』

『そうだね、僕と同様に、死んだ事になってもらわないとね』


 救出して、腕輪を外して、ヴォルザードまで連れて来て、受け入れてもらうには、やっぱり守備隊の人に話を通しておいた方が、混乱しなくて済みそうな気がします。


『とりあえず、朝一番でクラウスさんの所へ行って、その後は、カルツさんの所、ドノバンさんにも知らせておかないと駄目だよね』

『ケント様……聖女様にも……』

『あっ、そうか、一度に何人も死んだなんて思ったら、委員長また倒れちゃうかもしれないものね』


 連絡を取る相手は、彩子先生の予定だったけど、こうなったら委員長にも連絡を取って、治療の時にでも上手くみんなに知らせてもらおうかな。


『ケント様、上手くやりませぬと、我々の強みが無くなりますぞ』

『うん、委員長ならば、むしろ彩子先生よりも上手くやってくれそうな気がする』

『あの者への連絡はいかがします?』

『うーん……少し様子を見ようかなぁ……あんまり僕の存在を広めない方が良いよね?』

『そうですな、駐屯地から救出する場合は、周知しておいた方が良いでしょうが、魔の森から連れて来るならば、知らせておかない方が良いでしょうな』


 とりあえず、彩子先生へのコンタクトは、少し保留します。


『そう言えば、バステン、王都はどんな感じだった?』

『申しわけありませんケント様、実は先にダビーラ砂漠の方へと足を伸ばしておりました』

『あぁ、そうなんだ、別にどっちが先でも良いから大丈夫だよ。 それで、砂漠の様子はどうだった?』

『はい、正直に言って、想像してた以上に酷い状況でした』


 バステンの話では、昔砂漠との境にあった街は、すっかり砂に飲まれて砂漠の一部になっているそうです。

 それどころか、その東にあった街もいくつも砂に飲まれ、現在の砂漠との境の街も、畑に砂が入り込み、作物の生育が悪くなっているのだとか。

 作物の生育が悪くなったせいか、人々の暮らしは貧しく、明らかに栄養不良と思われる子供も珍しくないそうです。


『でも、ラストックの街は、そんなに酷い状況じゃないよね?』

『ヴォルザードほどは豊かじゃない……でも、そんなに貧しくはない……』

『こういう場合には、領主とか王族とかが、何とかするものじゃないの?』

『そうですな、普通であればそうなります』

『て事は、普通じゃない状況が起こっているって事?』

『すみませんケント様、私が王都を調べていれば……』

『いやいや、そうしたら砂漠の現状は分かってない訳だから、バステンの責任じゃないよ、いくら影移動が出来たって、身体は一つしか無いんだから、全部は調べられないよ』

『はい、明日は王都の貴族達の動きも探ってみますので、もう少しお待ち下さい』

『うん、そっちは急がないし、救出作戦の時には戻ってもらわないといけないから、無理しなくて良いからね』


 どうやら砂漠化の問題は、思っていたよりも深刻なようで、カミラが事を急ぐ理由はこれで間違い無いでしょう。


『でもさ、魔の森の開拓を急ぐなら、自分達でやれば良いんじゃないの?』

『ケント様、恐らく人材が足りないのでしょう』

『そう……駐屯地には、一部隊分の人材も居ないと思う……』

『でも、国の問題なんだから、他からも人を集めて来れば良いんじゃないの?』

『恐らくですが、あの王女が自由に出来る戦力が、あの駐屯地の人材だけなのでしょう』


 なんだか、ここまでの情報から推測すると、カミラ以外の者は砂漠化の対策に消極的で、カミラは自由になる人材が不足しているので召喚魔法に頼った感じに思えてきます。

 それならば、もっとまともな待遇にすれば良いような気がするんですが。


『どうかしましたか? ケント様』

『うん、僕らの国が平和だって話したよね?』

『はい、ボケるほど平和だとか……』

『ちょっと違うけど、まぁいいや……それでね、僕の国の国民性として、頼まれると意気に感じるところがあるんだよ』

『ほう、そうしますと、待遇さえ整えて頼めば、御学友とかは進んで協力したという事ですか?』

『そうそう、僕らの世界では魔法はお伽話の中にしか存在していなくて、魔法が使えるだけでもドキドキ、ワクワクものなんだ』

『つまりは、例の王女はやり方を間違えているという事ですかな?』

『うん、奴隷なんて待遇にしたら、反発心しか湧いてこないよね?』

『そうですな……確かに待遇としては褒められたものではありませんが、何かしらの理由があるのかもしれませんな』

『くっそぉ……あの性悪王女め、何考えてるんだ?』


 カミラの考えている事が分かれば、同級生達を救出するのに役に立ちそうな気がしますが、その一方で、考えを理解してしまったら、責められなくなってしまいそうな気もします。


『ケント様、まだ情報が足りませぬ。 バステンに、もう少し探らせてから考えましょう』

『そうだね、あんまり憶測で考えると間違えそうだものね』

『はい、恐らくですが、王族や貴族も絡んで、かなり根の深い問題のような気がします』

『うっ……そんな問題、僕には解決出来ないよ』


 そんな国の偉い人が関わるような問題まで、ただの子供の僕が解決出来るとは到底思えませんし、聞いただけでも荷が重く感じます。


『そうですなぁ、そこまで問題が大きくなってしまいますと、個人の力でどうこうというレベルでは無いでしょうな』

『ねぇ、ラインハルト達は、どうしたい?』

『はぁ? ワシらが……ですか?』

『うん、ラインハルト達が生きていた頃とは国の形も変わって、王族も知らない人ばかりだし、住んでいる人も知らない人ばかりだと思うけど、それでもラインハルト達が暮らしていた国なんだよね?』

『確かに、ケント様の言う通りですが、ワシらはとっくに死んでいる身ですからな……』


 ラインハルトの言葉には、困惑した感じが混じっています。


『うん、そうだよね。 でもさ、ラインハルト達は、国を良くしようと、領地を良くしようと思って働いていた人達なんだよね? リーゼンブルグは今のままで良いのかな?』

『それは……考えてもいませんでしたな』

『ラインハルトも、バステンも、フレッドも、僕を守るために残ってくれたけど、どうせなら、みんなの希望も叶えて欲しいって思うんだ』

『ワシらの希望……ですか?』

『うん、同級生のみんなを助け出して、元の世界に戻す事が最優先だし、その為に、ラインハルト達には協力してもらわないと駄目なんだけど、みんなに嫌な事を強制したくはないんだ』


 たぶん、今の時点でも、ラインハルト達の能力をフルに使えば、駐屯地の兵士を皆殺しにして、同級生達を助け出して、元の世界に戻さないなら、ラストックの街の人達も皆殺しにするってカミラを脅せば解決出来るのかもしれない。

 でもそれは、ラインハルト達が望む解決方法じゃないような気がするんだよね。


 駐屯地に居る騎士の中には、ラインハルト達の親戚や知り合いの子孫が居るかもしれない。

 カミラが動員できる騎士を皆殺しにしてしまったら、砂漠化の対策が遅れて沢山の人が死ぬ事になるかもしれない。

 それなのに、王都には何もせずに甘い汁を吸ってる奴等が居るのかもしれない。

 そんな結末、そんなリーゼンブルグは、ラインハルト達が生きていた頃に望んだ未来の姿じゃないと思うだよね。


『どうかな、ラインハルト』

『そうですな、確かにケント様の言う通り、今のリーゼンブルグはワシらが生きていた頃に描いた未来とは少し違いますな』

『団長、私達にも出来る事があるんじゃないですか?』

『ケント様から貰った身体……使えるものなら国のために……民のために……』


 みんなのリーゼンブルグに対する思いが流れ込んで来るようです。


『ケント様、ワシらはケント様が思いを遂げられるように、剣となり盾となりましょう。 ですが、もし許されるならば、リーゼンブルグの民のため、ランズヘルトの民のために働かせていただきたい』

『勿論、みんなは僕の家族だから、家族の願いは僕の願いだよ』

『有り難きお言葉、ワシら三人、この身が砕け散るまで全力でお仕えいたしますぞ』

『うん、それじゃあ、僕の同級生達を救出する、だけど、その方法はリーゼンブルグの未来を明るくする方法でやる、これで良いかな?』

『異論はございませんぞ』


 奴隷として扱われる事に憤りを感じておきながら、みんなを当たり前のように扱き使うのは間違ってるもんね。

 僕の希望と、みんなの希望、両方が叶えられる道を探します。


『いっそ、ケント様が王になれば良い……』

『ちょ、フレッド、何を言い出すの、僕に王様なんて務まらないよ』

『いえいえ、その歳にして、地図を見ただけで砂漠化の問題まで見抜く慧眼をお持ちですから大丈夫ですよ』

『いやいや、バステン、あれはたまたま学校の授業で砂漠化の話をしてたからだし』

『ぶはははは、王族どもが、ふざけた事をしていたら、一掃してケント様に国を治めてもらいましょう』

『うん……ケント王……いいっ!』

『国盗りですか、腕が鳴りますなぁ』

『無理無理、僕に王様なんて無理だからね、そんな事まではしないよ、ちょ、ちょっと、みんな聞いてる?』


 あれ? 何だかみんなが不穏な相談を始めているような気がするのは、たぶん気のせいだよね? ね? ねぇ、気のせいだと言ってぇぇぇぇ……

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