異世界人
ちょっと短め
あと、ちょっと雑かも
「いたっ!」
音の聞こえる方へ駆けていると、木々の隙間からチラリと人の影が見えた
俺は戦闘場所の近くの木の上に飛び乗ると、いつでも加勢できるように『魔弾』の術苻を用意しておく
『魔弾』はその名の通り、魔力を固めた弾を発射する単発式のものだ
それに、発動時間が極端に短い苻術の中でも、かなり弾速が速い
それを右手に3枚用意しておく
「……って、俺より年下じゃねぇか」
そこで俺が見たのは、どう見ても15,6にしか見えない少年少女。 装備は皮鎧で、そこまで立派なものじゃないみたいだ
どうみても、見た目だけだと初心者だ
だが、そんな彼らがここまで耐えているのは、その腕が装備に似合わずなかなかのものだからだろう
「女3人、男1人か……」
しかも、唯一男である槍使いはどうやら腕を負傷しているようで、今は青髪を後ろで括った女の子が、両手剣を構えて応戦している
俺はチラリとその相手を見る
見た目は狼。 だが、俺が現実で知っているものとは違い、色が赤い。 おまけに、尻尾が2つある
当然、WFO内にも狼系統のモンスターはいたが、あんなのはいなかった
「……プレイヤー…なわけないよなぁ…」
俺の持つスキル、鑑定はスキルレベルが上がりさえすれば相手のスキル構成やそのレベルまで知ることができてしまう超チートスキルであった
だが、それも最初の頃まで。 新規で始めたプレイヤーから不満の声が上がってしまったのだ。
最初からやっている奴が有利すぎると
そこで、運営が用意したのは隠蔽の腕輪と呼ばれるアイテムだった。 これはつけると、鑑定で自身のスキルやスキルレベルが見えなくなるというアイテムで、以後ゲームを始める人や、すでにゲームを始めている人にも無料で配備された
つまり、何が言いたいかと言えば、プレイヤーなら鑑定でそのスキルやスキルレベルが見えないはずなのだ
だが、戦っている少年少女を鑑定すると、そこに現れる彼らの情報
アルト 15 男 人族
剣術 26 体力回復 5 気配察知 2
シリウス 15 男 人族
槍術 25 短槍術 10
マリー 15 女 獣人族(狼)
剣術 22 気配遮断 26 気配察知 25 二刀流 20
エルノ 15 女 人族
弓術 17 鷹の目 20
こんな情報がありありと俺の目に飛び込んでくる
てか、あの青髪の女の子、男なんかい!と、俺は内心ツッコんでいた
そんなことを考えているうちに、戦況はどんどん変わっていく。 無論、悪い方にだ
先程まで戦っていた槍の男が倒れたためか、かなりの劣勢に追い込まれている。 さすがに、これ以上は助けないとまずい
だが、不安が無いわけではない。
俺の、フミヅキの攻撃が通用するのかは全く分からない。 帰るまではこちらに居着くしかないため、確認したいことは山積みだ
と、その時だった。 今まで前線を保っていた青髪の男(の娘)の後ろから近づく一匹の狼。 だが、疲れて注意散漫になっているのか気づいていない様子
行くなら今しかないっ!!
「『魔弾』、いけぇっ!!」
木から飛び降りると同時に、少年に襲い掛かる狼に向かって『魔弾』を3枚を投げつけた
瞬間、術苻は淡く光り、うっすらと白い光を放つ弾丸となって狼に命中した
だが、そこまで威力は高くないため、これては仕留められない
「ドリャッ!!」
なので、俺はソロ活動でもよく使う格闘のスキルによる動きの補正で、身を捻りながら狼に一撃を叩き込んだ
グペェッ!という音と、何か潰れるような感触が手甲を通して伝わってるため、一瞬、嫌悪感で顔を歪めるが、今はそんなときではない
俺は残った狼9匹を睨みながら、少年の前に出る
うむ、見た目では完全に美少女だなこれは
「あ、あの……」
「あ、あぁ。 すまない」
一瞬見とれたが一瞬だからな? 俺はホモじゃないからな?
「劣勢にみえたので、加勢しよう。 俺はフミヅキだ」
「は、はい! アルトです!」