表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の死天使  作者: taka
第一章
7/13

無力感

改めて書き直しました。

翌日国王陛下は不在だという事で、結論を伝える為に王后に謁見する為に僕たちは謁見の間へと向かった。重厚な扉を開けて僕らは進む。ところが今日はいつもと違うところがあった。隣にはジュリアが座っていた。


「陛下・殿下、お召しにより参上いたしました」


光輝がそういうと、王后は微笑みを浮かべて「おお、待っていたぞ、してどの様な結論になったのじゃ?」と言外に断らないよね? と言わんばかりの態度で尋ねた。


光輝は当然ですみたいな顔をして、「もちろん、協力させてもらいます。これは自分の為であり、何よりローザラム王国の平和の為でもあるという事が解かりました」と熱く語った。それに満足した王后は「ではジュリア、後はあなたがお願いね」と頼むと「解かりましたわ、お母様」と答えてこちらに向き「では、後は私についてきてください。移動の間に私がこれからの手順をお話しますので」と言って生徒の集団を抜けて先導するように先に行った。


ジュリア王女の説明ではこうだ、まず宮廷教会に行って儀式を行わなければならないという。洗礼式を済ませた後、女神像に祈りを捧げて足元にある巨大な水晶の様な魔石に手を当て目を瞑って集中するとともに再度祈りを捧げる。どうやらこの女神の名はアテナという、ギリシャ神話みたいだ。そして力や職業を得る。契約をした後訓練が行われる事になるというが詳細については後程という。


元々この世界の人間も、生まれた時は普通の人間らしい。というか教義では本来持っている力を未熟な子供のうちは神が封印している、という事だそうだ。そして七歳になると教会の儀式により、力と職業を与えられて訓練が始まるようになるという。その説明を聞いた時、僕は思わずこう思ってしまった。


すごく僕達の世界の外国の文化と似ている。こんなくそったれな世界でも人間世界と一緒なんだという事に、悔しい感情が噴出してくる。ちなみにその外国の文化とは洗礼式はキ○ス○教で、七歳云々は男女七歳にして席を同じゅうせず、という儒教っぽいものだ。絶対に以前別の異世界人が伝えたと思う。


そうこうしている内に宮廷教会の入口まで来た。そして彫刻も施されている扉をくぐると、荘厳な礼拝堂が目に飛び込んできた。その光景に思わず心が洗われるが、興奮と悲観が混じりあって周囲は独特の雰囲気。正面にはステンドグラスがはめられ、その少し下あたりに黄金で作られた巨大な女神像がある。東大寺の大仏さんと同じくらいか? な大きさだ。そして女神から祝福を受けるべき人間、つまり七歳になると女神像の台座を覆うような高級な木材作りの部屋の中に入って祝福を受けるらしい。


光輝君がみんなに向かって口を開いた。「みんな、大変だと思うがしばらく耐えてくれ。必ず俺達がなんとかする。だから俺たちを信じてくれ。それじゃ言ってくる!!」そう言って彼はさらに中にある特別礼拝所へと入っていった・・・・・・・・・


=============================================


おかしい、中々出てこない。周りもざわつき始めてる。ひょっとして駄目だったんだろうか・・・・・・・・・

そんな思いをし始めた時、


ガタン・・・・ギィィィィ・・・・


と思わず扉の方を見ると、光輝君が出てきた。

「終わったか。光輝。で、どんなもんだった?」


護 が声を掛けると、楓 や雫 もよって来る。


「ふふふ・・・・・ふふふふふ・・・あーはっはははは」

「ど、どうしたんだよ、光輝」

「ふふ、済まない。護、だが安心してくれ。どうやら天は俺達に味方しているようだぞ」

「そ、そうなのか?」

「ああ、その通りだよ。いや、何、後は俺に任せてくれ」


そういうと不気味なくらい自信満々な表情を浮かべた。そこへジュリア王女が現れ、「お疲れ様です、光輝様」と声を掛けると共にタグが渡される。「このタグは神秘石から不明ですが何らかの条件で生まれるアーティファクトです。これにあなたの力を注いでください。そうすると、あなたの詳細が解かる様になりますから」


その説明を聞き言われたとおりにするとステータスっぽいのがタグに現れた


天上光輝 17歳 男 レベル:1

職業:聖騎士

称号:勇者

体力:100

攻撃:100

防御:100

敏捷:100

魔量:100

魔力:100

魔防:100

固有技能:【女神の祝福】【勇気の力】

【女神の祝福】1時間事に1%の全ステータスの回復・常時発動

【勇気の力】勇者が仲間と認めた者1人につき、勇者の1%のステータス上昇効果


称号【勇者】基礎値UP・成長速度三倍


周りから「おぉ~」 とか「これはすげ~」「流石私達のリーダー」と言った声が上がっている。その後次々と入っていく。まず最初に先生が出てきたので王女の要請もあってタグを見せた


犬養明日香 34歳 女 レベル:1

職業:大賢者

称号:賢人

体力:40

攻撃:30

防御:30

敏捷:50

魔量:160

魔力:230

魔防:160

固有技能:【賢人の叡智】

【賢人の叡智】詠唱破棄と魔量1時間事に50%の回復・常時発動


称号【賢人】基礎値UP・成長速度魔系に限って三倍


これには王女や大司教も「まさか二人目の称号持ち?!!」と驚いて大変な騒ぎになった。そして


箕田護 17歳 男 レベル:1

職業:武道家

体力:190

攻撃:100

防御:40

敏捷:100

魔量:10

魔力:20

魔防:40

固有技能:【怪力】

【怪力】攻撃力が100%上昇


大三輪雫 17歳 女 レベル:1

職業:剣士

体力:60

攻撃:140

防御:30

敏捷:230

魔量:60

魔力:60

魔防:20

固有技能:【神速】

【神速】敏捷や器用が100%上昇


小寺楓 17歳 女 レベル:1

職業:魔法師

体力:60

攻撃:10

防御:20

敏捷:20

魔量:100

魔力:150

魔防:140

固有技能:【詠唱破棄】【魔量回復】

【詠唱破棄】詠唱せずに魔法が発動


と次々と高スペックをたたき出していた。


そして注目の秀郷君が入っていった。だが彼もしばらくたっても出てこない。


えらく遅いな。そう言えば、光輝君もそうだったが秀郷君も何かあるのか? 考えにふけっていると、彼が出てきた。ん? 表情は別段何もないが、彼も心無しか自信に満ち溢れているな。というか、何かを確信しているような感じだ。秀郷に対して疑念を抱いていると、俺を押しのけて 護 が秀郷の下に向かって行き、全身に視線を這わせた後勝ち誇ったような声音で言った。「お? な~んかいつもより静かでみ~んな大人しい、と思ったがお前が静かだったからか~ 大きい口ばかり叩いてたからには、さぞかし素晴らしいいい力なんだろうな?」と。


「いや、大したもんじゃねぇよ。見せる程のもんじゃねぇ」若干うつむき加減で秀郷君が答えた。


あれ? いつもの秀郷ならここで嫌味たぷ~りなんだが、何故か大人しいな。こりゃ相当ショックなくらい酷い結果だったか? だが、それならさっきからどうしてああいう表情をしているんだろ?


「そう言わずによぉ~ 見せてみろよぉ ひ・で・さ・と・さ・ま よぉ~」


ハハハハ と大笑いする。そこで田山がさらに追い討ちを掛ける


「まぁまぁ、護さん。それ以上言ってあげると か・わ・い・そ・う ですぜ。ま、俺達はいじめの対象が孔明以外に出来たんだから嬉しいですけど」「はぁ~ 俺は忙しいから。んじゃあな」と言って構わず出て行っちゃった。ちなみに田山のステータスは


田山 17歳 男 レベル:1

職業:魔術師

体力:70

攻撃:40

防御:20

敏捷:30

魔量:60

魔力:130

魔防:50

固有技能:【器用】

【器用】手先が器用になる


だった。


=============================================


次はいよいよ僕の番だ。結構ドキドキしている。いよいよ中に入る。目の前には土台があり、そこに人間が十人分くらいの直径がある巨大な魔石がある。僕はその魔石に頭をつける・・・・・


あれ、何も起きない? 何故だ? 魔力と呼ばれるものも感じられない。愕然とした僕はしばらく放心状態になる。僕は 楓 を守れないのか? 僕にはその資格が無いのか?


おねがい・・・・おねがいします!!


必死に頭を打ち付けるとやっとボンヤリとした光が発せられて、頭の中で禁士という高貴な女性の様な声が聞えた。頭から血を流しながら呆然として、フラフラと扉を開けて大礼拝堂に出た。周りから冷ややかな視線を受けながら僕は正直に申告する。


みんながあっけに取られていたが、光輝君が「殿下」と呼びかけた。「光輝様、あなた方はお客人で英雄様、殿下等とかたぐるしい呼び名ではなくジュリアと呼んでください」と言ったので光輝君が了承しつつ禁士について尋ねた。ジュリアは困った顔で「その・・・・・・禁士とは呪術師の下位の職ですの」と語った。


そしてジュリアは僕の方に顔を向けると、「正直、あなたの職ははずれですわ。呪術師もはずれと言うべきですが、禁士というのはさらに最悪ですわ」と冷たい目で言ってきたので僕は「なにか、なにか使い道があるはず」と縋った。だがそれに対して返って来た言葉が、「生物相手に微熱を発生させる事が出来る、というどこに使い道があるのですか? しかもあなたはやっと魔石がボンヤリと光ったと仰いました。正直、普通の七歳の子どもでも、明らかに光っていると解かります。つまり魔力量も大した事ないということです」と突き放すように言われて僕は愕然とした


「ぶわぁっははははは なんだよおめえ。おめえってホント俺達の期待を裏切らねぇよな。いや……ぷくくく 腹がいてぇぇ」、田山がそう言うと、楓 もショックを受けたのだろう、僕達の部屋の方へ走り出していった。


「これが現実だよ」光輝は一言捨て台詞を吐くと田山等を引き連れてその場を離れ、周りの生徒も不安と期待の眼差しをしながらそれぞれ帰った。僕は 楓 を守る事すら出来ない弱い自分に対して屈辱と嫌悪感を伴いながらただただその場に立ち尽くした。そこにはただただ無力感にさいなまれる自分が居た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ