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異世界の死天使  作者: taka
第二章
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教主就任

俺の名前は相馬孔明、鈴見台学園の一年生だ。


クソみたいな前の世界で授業中突如全く変わらないクソみたいな世界に召喚され、クソみたいな国に魔族との戦争を押し付けられ、クソみたいなクラスメートの裏切りによって一度死に、そして生き返った。


初めての冒険者生活でドラゴン討伐なんて小説の様な場面になるどころか、対人戦と、同じ種族との対決というマトモな奴が俺を見ればマジでドン引きする経験をしている。


「それでは、教主就任の挨拶を行いたいと思います。御主人様、どうぞ」


ベリルの挨拶でふと我に帰る。思えばベリルは強くなったものだ。兎人族と言えば弱い種族の代表、愛玩奴隷の代表。特に彼女なら間違いなく毎日レイプされ、種付けの対象となっただろう。或いは弱者狩りとして命を落とすか。


彼女もある意味俺に近しい人間だ。世界に対してなんら希望も見出せず、愛着のある物も無くひたすら貪欲に修行に励んでメキメキと腕を上げている。



================================



「さて、諸卿方。もう既にご存知だと思うが、余が新教主レッド・ツァーリだ。以前までの評議員関係者は三人しか居ないが現場経験者であるならば気付いていると思う、今までのやり方では必ずこの組織に未来は無いと」


評議員の間からざわめきが起きる。


「実力が最も大切なこの職種に置いて現世の差別意識を持ち込み、さらに暗殺と言えば明らかに我々がやったと言わんばかりのやり方。そして何より問題なのは職業の一つとしての認識であり、金さえ受け取ればそれで満足しそれ以上の野心を持たない事だ」


「「どういう事だ?」」「「それじゃ駄目なのか?」」といった声が聞こえてくる。


「今の我々の現状は、人間・獣人・魔族が光であり我々は闇だという事だ」


「「我々が闇?」」「魔族が闇では無いのか?」「人間の方だろ?」と皆疑問符を浮かべる。


「人間やエルフドワーフを始めとする獣人が光で魔族が闇、もしくはその反対を主張する物もいるだろう。だがそれは大きな間違いである。演劇に例えるなら双方どちらも大人気俳優であり常に注目を浴び続ける光である。それに比べて我々は舞台に上がる所か、信用もされない為に付き人にすらなれない便利な奴隷や猟犬と一緒の存在である」


「「確かにそうだな」」「「その考えはなかった」」


「余が知る諺にこういうものがある。猟犬は獲物が無くなれば煮て喰われると。そこで諸卿方よ、考えて欲しい。主人同士の戦いが決着し獲物が居なくなった世界で我々の末路はどうなるかを。演劇が終わり大人気俳優が他所の土地に行った場合、付き人ですらない我々に存在意義があるのかを」


「「た、たしかに」」、皆の顔が一斉に青ざめた。


「故に野心無きこの集団はいずれは潰される事になるのだ。その時果たして我々の命があるかな?」


「「!!」」


「さてそれではこの場において新たな命令を出す。アンドレウ卿のチームは人間社会の以来を受けつつ各国の権力基盤に深く入ること、キノシタ卿・エマール卿は冒険者としてなり上がりギルドに入り込め、ウェイランド卿とブラード卿達もそれぞれの世界の権力基盤に深く入り込むこと。それ以降の事についてはまた話そう」


「「「は!!」」」


「それでは見世物と祝宴を楽しんでくれ」



================================



俺は皆に楽しんでもらう為に、新人教育訓練の為の闘技場の観客席二階にディナー席を設けた。


「おお、豪勢な料理だ」「凄いな」「しかし、何故ここでやるんだ?」


「さあ諸卿方、遠慮せずに召し上がられよ。しばらくするとショーの始まりだ」


しばらくすると奴等を闘技場に連れて来させる。


「「や、やめろ!!」」「どういう事だこれは!!」


「ふふふふ、お久しぶりと言ったところか、奴隷共。お前達の処分はたった今決まった。女どもはオークやゴブリンの種付け専用にする。数が減ってきているし、調達も面倒だからな。毎日気持ちよくしてもらえ。男共はこの闘技場にて、魔獣の餌となるんだな。魔力も闘技も封じられている状態で生き残れたら再び一員として迎えてやろう。諸卿方も楽しんでくれ。では始め!!」


ゆっくりと鉄格子方の扉が開き、奥からうなり声を上げたオーク・ゴブリンやウィンドウルフ等が多数押し寄せる。


「「ぎぃやぁぁぁぁぁ」」「助けてくれ~!!」


喉元にいきなりかぶりつくオーク、露になった腕や足・腹にかじりつくゴブリンの集団、上に乗っかり生きたまま柔らかい腹から胃や腸を食してるウィンドウルフ等々まさに阿鼻叫喚の地獄絵図だった。その様は魔族達ですら顔を青ざめ、凶悪な暗殺者で知られる人間の中にも慌ててエチケットルームに駆け込む者が続出した。


今の俺が元の世界に居て動物園や水族館に居たら必ずこう思うだろう、どうして鮫や肉食獣の餌に生きた人間を放り込まないのか? 非常に勿体無いと。


そして衆目を集める中で敢えてこれを行った事にも当然目的がある。それは秩序の為だ。元の世界では○ス○ム教国が良く行う競技場での公開処刑が残虐だと言われているが、今の俺には良く解るが○ス○ム教国の様な楽に死ねる処刑方法等人道主義も甚だしいと言う事が出来る。


俺の故郷では死を間近に見る事が無い。肉を食べるのもパックだ。動物を解体する行為を見る事も無ければ、人間を殺す様を見る事も無い。否、テレビ番組の動物番組ですら、肉食動物が狩りを行う場面を放送する事は特定の思想の為にほぼ無い。だからこそ命の重みが解らず、簡単に殺人を犯す連中が増えてきたのだ。


「人の死なら殺人犯は見てるじゃないのか?」という奴が居るが、自らが自慰行為で逝く事によって万能感に浸った上で命を奪う行為と、処罰によって第三者(主に治安機関が)が第三者を殺す場面を冷静な自分に見せ付けられるのとでは重みが違う。


ストーカーや快楽殺人者等、人の命を自分の手で奪って神にでもなったつもりでいる勘違いクズ野郎には、より残虐な処刑方法によって普段から恐怖を感じさせる、それ以外にもルールから外れたものには容赦なく死が降りかかると思わせた方が余程秩序が保たれるというものだ。そしてそれはこの世界でも当てはまる、と思う。


そんなくだらない事を考えているとウェイランド卿が立ち上がり、その図体と日頃の粗暴さに似合わない丁寧な口調で、「改めて教主就任おめでとうございます。これからの猊下の栄光と益々の繁栄を祈らせていただきます」と寿ぐ。


そして盛大な拍手が沸き起こるのを聞きながらこれからのプランを練るのだった。

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