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異世界の死天使  作者: taka
第二章
12/13

孔明の神託

うぅ・・・・・・ くそ、体が重い・・・・・ 殺してやる・・・・・・「あいつ等、絶対に殺してやる!!」


ガバッと起きた孔明はあちこちに視線を向けるが、やはりどこもかしこも真っ暗だった。「俺は生きてるのか? ってかまた真っ暗かよ・・・・・・・ いい加減にしろよな」等と悪態をついていると、向こうの方から灯りがプラプラとした感じで近づいてくる。


そして段々と近づくに従って輪郭がはっきりしてくる。つばが広く先端が尖っている帽子、そして緑色の外套を羽織っているその様はどこかのレンジャーみたいだ。顔は暗くて見えないが、女とも少年とも取れる中性的な声が聞えてきた。「やぁ、君を待っていたよ。ようこそ僕の世界へ」、そう語るその人物はおよそこの雰囲気には似つかわしくないような軽い口調で語りかけた。


「どういう事だ? 俺は死んだんじゃないのか? それにここはどこだ?」、謎の人物に挑みかかるような口調で立て続けに質問する。


その人物は顔こそ見えないが恐らくはニヤニヤしているだろうと想像するに難くないような口調で、「そうだね。君はこのダンジョンで亡くなった。だからこそ君に神託を授けに来たんだよ」と述べた。


孔明は途端に嫌な顔をしながら「ふん、今までほったらかしにしておいて、今さら神託を授けに来ただと? 随分勝手な話じゃないか。それに神託というが、確か神は女神のはずじゃなかったか? 女神は俺に神託を授けるどころか、ろくな職業もまともに授けなかった。じゃあ今は一体どういう風の吹き回しだ?」と攻め立てる様な口調で述べ立てた。


「あははは、まあまあ落ちついてよ。まず、そうだね。神様がアテナの奴だけ、ってのは少し単純にすぎるかな? いく人かの神様が存在するんだよね」と衝撃的な事実を突きつける。孔明は目線で続きを促す。


「まず人族の神は二人、これは人間の人口が多いから当然かな? まあその辺りは外に出れば簡単に解かるよ。慈愛の神アテナが君が居た王国の神、そして軍神や荒神とされているアレスだ。そしてそれ以外にも獣人の神やエルフの神、魔族の神等が居るんだ。そしてこの僕、全部で7人の神様が居るって事になるね」と何でも無いような事のように言ってのけた。


孔明はどう質問しようか? 迷っていたが「そうか。お前は女神とは別の神だから、と言いたいわけか。それで? お前は一体何の神だ? 神託という事は、俺に力をくれるのか? 知っていると思うが俺は力が欲しい。もし力をくれるというのなら、それの取引として何でもする覚悟はあるが?」とずばり聞いた。


それを聞いたその若干軽い態度の神はうんうんと頭を上下にふり「話の解かる人間は嫌いじゃないよ。僕は一般には放浪の神・旅人の神・奇術の神、口の悪い人はトリックスターと言う人も居るかな? だけどそれらは僕を現す一部の名称にしかすぎない、僕の本質は死神なんだよ。死神ヘルメス」と語る。


死神・・・・・・・・ 孔明はそれを聞いて絶句するが、同時に納得した。だから俺が死んだ時にこいつは会いに来たんだ。だが、死神と聞いてフードを被って大鎌を持ったものを想像した。


その心を読んだのか突然笑い出した。「あははは、それは少し違うな。君たちの世界でも知らないだけで明確化はされていると思うけど、彼等はReaper、つまりは使用人だ。僕は所謂向こうの世界風で言う所のGod of Deathって奴だよ。」と一息ついたあと「君には呪術師どころか、魔王や勇者と呼ばれる人達なんかよりも遥かに強い職業を与えよう。生き返った後は好きなように生きていけば良いが、唯一つやって欲しい事がある。それはこの世に留まっている魂の回収だ」と要請して来た。


孔明は与えられる職業の対価としての軽すぎるクエストに一瞬いぶかしんだが「本当にそんな事で良いのか? 俺はこの世界を滅ぼすかも知れんぞ?」と神に問いかけた。


神はため息の様な物を吐くと「それは好きにすると良いよ。そもそも、このままではこの世界も終わりだし。寿命っていうのかな? 今、この世界には争いが頻繁に起きていて、それに伴ってあらゆる物が死んでいる。さて、ここで君に質問だ、この世界にはReaperも居なければ天国や地獄も無い。では、死んだ後の魂はどうなると思う?」


ふいに問われて孔明はしばらく考えたが、「行き場が無くなってこの世界に留まる」と答えた。


「excellent!! その通りだよ。この世界に留まるんだ。話は変わるが神というのはこの世界に一度だけ干渉できる。それは職業が無い適正のある者に神託を与える、という形でね。その時に自分の信仰する人物に強大な力を与える。だがね、それはつまるところ歪な物でこの世界の資源を犠牲にする形で与えるのだよ。行き場の無い魂が留まって澱んだヘドロのような環境に、貴重な資源というパイを特定の物に大量に渡して信仰勢力を拡大しようと働きかける現状。もうこの世界はキャパシティーを超えて悲鳴を上げている。だからね、好きにして良いんだよ。魂の回収っていうのは浄化をするってだけじゃない、ゴーストのイメージからは考えられないだろうが、魂には莫大なエネルギーがあるんだ。それを浄化・もしくは世界を作り変えるのに必要だからね」、恐らく表情が見えればニコニコとした笑顔なのだろう。


孔明は「という事は、その使命さえ果たせば後は好きにして良いんだな?」と再質問すると、「もちろんだよ。魂を回収すると僕の所に来るようにはしてあるし、その内の何割かは君が使えるようにしておくよ」とヘルメスが言う。


「すまない、感謝する」という語句を発した途端、体から発光しはじめた。「おっとそろそろ時間だね、君のこれからの人生が豊かになる事を祈るよ」との言葉が聞えると、「俺にそんなのは必要ない、、、、そうだ、最後に勇者や魔王とはなんだ?」と質問する。「勇者とは職業じゃない、神からの特別な加護を与えられた称号だ。君の称号も変わったものになるが、名称の違いであってまぎれもなく勇者・魔王と言える。ふふふ、僕は生と死を司るからね、とびっきり強烈な加護を与えてあげるよ」との言葉を最後に意識が途切れるのであった。

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