消えた記憶
『私はもうすぐ消されるだろう。だがその前に・・・「零型」。君に渡したいものがあるんだ。』
・・・・・・・・。
『「博士」、これは?』
『それは「***」だ。それさえあればお前は冷徹な「殺戮兵器」にならずに済む。これから始まるバカげたゲームで生き残るために必要になるだろ。「零型」!死ぬんじゃないぞ!お前が優勝するんだ!!』
『博士』にあったのは、それが最後だった・・・・・・・
「零、どうした?」
僕たち3人は、バスに乗って『神ノ宮学園』に向かっていた。
「あ!いえなんでもございませんですのよ。」
「明らかに同様してるだろ、何か考え事してるみたいだったけど。」
「・・・昔のことを・・・思い出していました。昔といっても、ほんの1年くらい前のことですが。」
「そういえば、僕のアパートに来る前のお前は、どこでなにをやってたんだ?」
「・・・私たちAIは2年前、とある研究所で数人の科学者によって作られました。」
「そこで・・・お前はなにをしてたんだ?」
「1日のうち、8時間は『外の世界』についての知識を学習していました。それ以外は特に何も・・ただ」
「ただ?」
「・・・私には、1年前から現在までの記憶だけがないのです。記憶の中に、ぽっかりと大きな穴が開いていて、気が付いたら『マスター』の部屋にいました」
「・・・そうだったんだ。」
「あ、あのさ」
少女は、不思議そうな目でこちらを見ている。その目は、真紅に染まる桜のような色だった。
「はい?なんでしょう」
「その、き、記憶が戻るといいな。・・・僕にできることがあったらいってくれよ。ぼ、僕はお、お前の『マスター』なんだから」
「・・・はい!!」
少女はそう大きく返事をした。
「未来、零ちゃん。着いたわよ。」
その日僕たちは、新たな発見をして、また、新たに『ゲーム』へと1歩踏み出してしまった・・・
8月8日 8時50分 『神ノ宮学院 校長室』
「あ~暇じゃ暇じゃ。毎日が普通すぎてつまらん。何かおもしろくて刺激的なことはおこらんかの~」
「・・・それにしても、今日はやけに生徒の数が多いの~。何かイベントでもあるのか?」
そういって、黒髪の女は日程表を取り出した。
「えーと、8月8日8月8日わっと、おお!課題点検日でわないか。とゆうことはあの『引きこもりバカ』も来るということじゃな。」
女の顔には笑みがあふれていた。
「今日は、おもしろくなりそうじゃ。・・・楽しみにしているぞ、『零組』の諸君!!」