勝利への第一歩!!
7月25日 10時30分 新宿駅前到着
大きなビルから煙があがっている。
いつも、多くの人々でにぎわう新宿。
今、その面影はどこにもどこにもない。
「マスター、いつ敵が襲ってくるやもしれませんので、引き続きフィルターの解除を続けてください。」
現在の解除率20%・・・・
「あー、マジ最高だわーww俺を見たヤツみんな神様でも見るような目で見てやがった。ガキなんかウサギみてーに震えてたぜ。マジ傑作だわwwwwwwwwwwww」
「『マスター』、敵ト思ワレルAIト他2名ヲレーダーデ確認。2名中1人ハ敵マスタート思ワレマス。」
「やっときたか、こねーんじゃねーかとも思ったが、まあ、派手に騒いだかいはあったってことだな」
「『マスター』、ドウシマショウ。」
「あー、100万だぜ!!決まってんだろ、皆殺しだ!!」
目の前に、ニュースのロボットが降ってきた。
「惜しー、もうちょっとで潰せたのに。お前、感がいいな。」
「マスター、フィルター解除を続けてください。」
「でも、今の声って、あの中に人がいるんじゃ」
「だからなんなのです。殺らなければ、こちらが殺られてしまうのです。私たち3人まとめて・・・」
「3人って、美鈴も?だって美鈴は、このゲームには関係ないじゃないか。」
「犯人からすれば大有りです。美鈴さんは、犯人の『声』聞いています。殺す理由としては十分です。」
そう言うと零は、巨大ロボットの方へ走って行った。
フィルター解除率25%
「なんだー、ずいぶんとちっちぇーAIだな。おまけに美人ときた。こんなにかわいいと、グチャっと潰したくなっちまうなーwwwwww」
「フォルムチェンジを行います!フォルム『ハヤブサ』」
零がそう言うと、彼女の背中から翼が消え、特殊な『アーマー』のようなものに体が包まれた。
「加速時間約3分、その間に解除率を30%まで上げてください。『マスター』信じていますよ。」
僕は、小さくうなずいた。それを見て、零も小さくうなずいた。
「加速開始まで5秒!!3!2!!1!!!加速スタート!!」
解除率27%、残り時間2分45秒・・・
地球上で最も早く空を飛ぶ鳥は『ハヤブサ』なのだそうだ。
その最高速度は200㎞になるとも言われている。
今の零は、まさに『ハヤブサ』だった。
空中で向きを変えながら、高速で飛行している。それはまるで、『ハヤブサ』の狩りを見ているようだった
「ちっ、ちょろちょろしやがって」
敵は背中から、ミサイルを出した。
「それは、追跡型ミサイルだ。ターゲットに当たるまで絶対に止まらねー!!これでチェックメイトだ!」
「それはどうでしょう。」
そう言った彼女の声は、笑っていた。戦闘を『ゲーム』として楽しんでいるのだ。
そう言うと、彼女はさらに加速した。もう肉眼で追うことはできない。
「いくら、加速しようが無駄だ。そのミサイルは振り切れねー」
「ミサイルを振り切ろうなんてはなから思ってませんよ」
彼女がそう言うと、ミサイルが突如爆発した。
「なんだー?急にどうしたってんだよ」
敵は、何が起こったのか全く見当もつかないといった表情だった。
「ソニックブームです。物体は音速を超える速さで移動すると強い衝撃破を生むのです。その衝撃破で、ミサイルを破壊させていただきました。」
「調子に乗ってんじゃねーぞガキ!!」
AIはそう言うと、遠距離攻撃を諦め、接近戦へと切り替えた・・・
解除率29% 残り時間0分・・・
「3分経過、ハヤブサフォルム解除」
間に合わなかった!!・・・・・このままじゃ、零が・・・殺される!!
「い、急がないと」
僕は解除を続けた。
「なんだー、さっきまでの威勢はどうした?燃料切れで何もできねーか?」
AIは、そう言うと零を持ち上げた。
「すぐ殺したんじゃつまんねーからなー。ゆっくり握り潰してやるよw」
早くしないと、零が死んじゃうよ。あんなに苦しそうじゃないか。
早く早く早く早く早く早く早く早く早く!!!!
解除率30%
「フォルムチェンジを行います!フォルム『マーメイド』」
零を包んでいた銀の鎧が、青へと変わっていった。
体を青い鎧で包んだ零の周りに、大量の水がどこからともなく集まってきた。
「け!なにをするかと思えば、そんな水でなにができんだよw」
「・・・知ってますか?高圧の水流は、鉄を『切る』ことができるのですよ」
「・・・・・なにか『言いたいこと』があるならお聞きしますが。」
「は!そんなのハッタリだ。『水』で『鉄』を切る?できるわけねーだろうがよ!!!」
そう言うと同時に、AIは零へと突進していった。
「・・・つまらない一言でした。それでわ、『チェックメイト』です。」
次の瞬間、AIの胴体は、2つに分断された。
2つの胴体は、それぞれほぼ同時に爆発した。
「あなたの敗因は2つあります。1つ目は、私がフォルムを解いたとき直に殺さなかったこと。もう一つは」
「・・・AIとしての、出来が違うんですよ。」
『昨日、ニュースでお伝えした「ロボット」についての速報です。ロボットは、なにものかによって「破壊」されているところを、警察に発見された模様です。警察側は、この事件に規制を敷いて、詳しい調査を進めている模様です。』
「はー、これで僕もテロリストの仲間入りかなー?」
そう言って、僕は深くため息をついた。
「大丈夫ですよマスター。警察は私たちの足取りもつかめてないんですから」
「中の人、大丈夫だったかな?」
「さあ、それはなんとも言えません。ただ1つ言えることは、私はAIは切りましたが、中の人は切っていないということです。」
「・・・生きてるといいね。そしたら、君が人殺しにならなくて済む。」
「・・・そうですね」
彼女はニッコリ笑った。
8月8日 午後3時42分 太平洋上空
「あーあ、もう終わっちゃったの。これで世界ランク15位とかガッカリだよ。」
「『八神サマ』、そろそろ帰りませんと、寮の門限に間に合いませんが」
「うげ、もうそんな時間!!しかたない、帰ろうか『マリア』。『神ノ宮学園』へ。」