ハッキングAI・コードネーム零(レイ)
僕らは、ニュースで報道されていた新宿に向かっていた。
しかし、新宿へとつながる道はすべて閉鎖されている。
「ところで零、どうやって新宿まで行くの?道は全部閉鎖されてるよ」
僕はこの少女を零と呼ぶことにした。
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『戦って俺たちになんの利益があるんだよ』
『まず、このゲームで優勝すると賞金「1000億円」が渡されます』
『そして二つ目、勝負に勝利するごとにプレイヤーには、敗者から100万円を無条件でもらうことができます』
『金なのか・・・結局』
『はい、金です』
『・・・状況は大体わかったけど・・・その・・・これから君のことなんて呼べばいいのかな』
『・・・「零型」とおよびください。』
『「零型」かー、零(レイ)じゃだめかな?』
『マスターがそう呼びたいのでしたらご自由に』
そんな零の顔が少し笑ってたのは、僕の見間違いだったのかな・・・
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「どのようにと言われましても、とるべき道は1つ・・・空からです」
「空からって、お前、空とか飛べたりするの」
「今のままでは無理です。マスターの才能で『フォルムチェンジ』しませんと」
「『フォルムチェンジ』?俺の才能でってどうゆう」
「マスターは『天才ハッカー』です。その才能を使って、私に『ハッキング』をしかけてください」
「お前にハッキングを?いったいどうして」
「私のシステムは、全50層にもなるフィルターでブロックされています。私以外のAIのフィルターはせいぜい20層ほどです。それは、私のチカラが他のAIよりも遥かに強大だということを表しています。
ですが、チカラが強大すぎるあまり、それを抑えるフィルター数がふえ、他のAIよりもチカラの増加率が小さいのが難点です」
だから、パソコンを持ってきたのか。
「50層のフィルター?そんなんで『アレ』に勝てるのか?」
「私は、マスターの才能を信じています。マスターなら、たとえ50層だろうと、他のAIと同じ、いいえそれ以上のスピードで私のチカラを解放してくれると・・・それに」
「それに?」
「・・・今日の相手なら、全フィルターの30%を解いていただけるだけで十分です」
・・・どんだけ強いんだよ・・・コイツ。
「ちょっとー、なんで私までつれて来たのよー」
零の背中から、美鈴がヒョコっと顔を出した。
「念のための保険です」
「保険?」
「もし私がチカラに飲まれ暴走した場合、それを抑えるためにフィルターをある程度まで再構築する必要があります。それには、高度なプログラム技術を持ったあなたのチカラが必要なのです。理解していただけたでしょうか?」
僕は、零へのハッキングを始めた。
「現在のフィルター解除数5層。飛行フォルムに移行します。」
そう言った零の背中から、2枚の白い翼が生えた。
「目的地到着まで残り5分。『戦闘態勢』に入ります・・・」