『黒い段ボール』
7月25日、7時30分。夏休み初日
永田未来は、いつもの部屋でいつものようにパソコンを開いて、いつもと同じ朝を過ごしいた。
そんな中、いつもとは違うものが1つあった。
玄関の『黒い段ボール』
何が入っているかはまだ確認していない。・・・だって怖いし。
・・・よし!あいつを呼ぼう。
「未来。なんなのよ、急に呼び出したりして。あれ?なにこの段ボール」
「美鈴!いや、美鈴様。ちょうどいいところに来てくださいました。」
「なになに、急にかしこまった呼び方しちゃって。ようやく私という偉大な存在に気づいたの?」
「いやいや、それはねーよ。お前で偉大な存在に分類されるなら、ホームレスだって偉大な存在の仲間入りだよ。」
そう言い終わるとほぼ同時に、僕はおなかを殴られた。
「最っ低!!」
「痛ってーな。なにすんだよ。」
「人のこと呼んどいて悪口言うあんたが悪いのよ。」
「悪口なんて・・・悪かったよ。」
「まあ、分かればいいわ。」
「で、なんの用なの?」
「え、用って何が?」
「とぼけても無駄よ。用もないのに、あなたは私を部屋に入れたりしないわ。」
「・・・玄関に黒い段ボールあるだろ。」
「あー、あれね。すごく異様だったわね。」
「そう、異様なんだ。それに、1つ引っかかることがあるんだ。」
「引っかかること?」
美鈴は首をかしげた。
「あの段ボールは、どうやって部屋に持ち込まれたんだ?ドアも窓も閉まってたのにどうやって・・・」
「確かに!ますます不気味だわ。」
「だろ、そんなの僕一人で開けれるわけないじゃん。」
「それで、私を呼んだってわけ。・・・まあいいわ暇つぶしにはなりそうだし、手伝ってあげる」
そのときの美鈴は僕にとって天使のような存在に見えた。
「じゃあ、『せーの』で開けるぞ」
「ちょっと、私に指図しないでよね。あんたが私にあわせるのよ。」
「・・・美鈴、死ぬ時は一緒だぞ!!」
「な!なな何言ってんのよ、あんたは死ぬとか大げさなのよ。」
美鈴は顔を赤くしてそういった。
「美鈴、だいじょぶか?熱でもあるのか?」
「な、何でもないわよバカ」
まったく、あんたはいっつも紛らわしいのよ。
「じゃあ、開けるわよ」
「せーのー!!」
『黒い段ボール』のなかには、
白い髪をした、
『女の子』が眠っていた・・・