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幽霊生活  作者: めりめり
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プロローグ

※不定期更新、いきなり終了もあり得ます。放置の可能性が高く、それでも良ければどうぞ

「はいはーい。皆さん落ち着いてください。皆さん死んだのは初めてだと思いますが、落ち着いて係員の指示に従ってください」


ざわざわと、色々な声が聞こえる中、ひときわ大きな声でそんなアナウンスが聞こえた。



高原健太(たかはらけんた)16歳は、交通事故により他界した。

彼はなんの特徴もない典型的な若者。やる気もなく日々をだらだらと過ごす若者であった。

そんな彼は若者のように自転車で学校に通い、若者の通りイヤホンをして音楽を聴きながら、若者の如く信号を無視して、人間としてしんだ。

栄光も衰退も栄転も左遷もなく、愛する女性も確固たる親友も、彼にはできず、その短い人生は幕を閉じたのである。

さらにその後、彼は勝手にその体を焼かれ、骨だけの姿で壺に詰められ、年に何回も行かず、一人では決してたどり着けない家族の墓に埋葬された。

そうして見事幽霊となった健太は今、俗にあの世と呼ばれる世界の入口で、このあとの幽霊生活を決める手続きをすることとなり、今に至る。



「もう家庭内でも除け者として扱われて、職場でも毎日怒られて、なんだか生きてる意味があるのかなって、なって…しまって……うぅ」

「分かりますよ、田中さんの気持ち。でもこうしてあの世に来たんですから、もう過去のことは忘れて、ね。新しい生活を始めようじゃないですか」


俺の前、イスに座っていかにも受付嬢とでも言うべき人と泣きながら話している男は「ありがとうありがとう」と呟きながら、消えていく。

そして、「高原健太さーん」という声と共に、俺は前の空いた椅子に座った。


「はい、今回高原さんのお相手をする南です。高原さんは死ぬのは初めてですよね?」


南と名乗った受付嬢は俺に話しかける。そのフレンドリーな笑顔に俺は戸惑った。受付の人はきれだった。


「あ、はい。そうです。こんなところがあるなんて知りませんでしたよ」

「そうですよね。はじめてくる方はみんな、高原さんみたいな反応をしますよ」


南は上品に笑った。それだけで俺は嬉しくなる。


「では、今日高原さんには3つのコースを用意いたしました」


そういいながら南は机の下から何やらファミレスのメニューのようなものを取り出し、俺の前に出す。

えーと、『さくっと生まれ変わっちゃおう!成仏コース』『神になりたい。修行コース』『天界であなたらしいライフを。残留コース』。

なんだこの胡散臭いタイトルは……。やけにノリが軽いんだよ。


「成仏コースなら生まれ変わり待機してもらって、、えーと今はフランスあたりに生まれ変わるのが一番待ち時間が少ないですね」


生まれ変わり待機ってなんだよ。そもそも生まれ変わるのってそんな簡単なのかよ。

もしかしたら生まれ変わりとか言って、俺の存在を消す気じゃあるまいな。。。って、俺ってもう死んでるんだっけ。

よく考えると変な話だ。死んだっていうのに俺は意思を保って、あまつさえ人とかいわまでしてるんだからな。

――まてよ。そうなると、俺の前にいる南は、実は死人なのか?


「あ、高坂さん。今、面倒なこと考えてるでしょ」


面倒とはひどいな。結構大事なことじゃないか。


「いいじゃないですか。死んで人生リセット。あたらしく第二ステージが出来るようなもんですよ。高坂さん、そんなに若いのにここに来てるってことは、全然人生楽しんでないでしょう?それを不憫に思った神様があなたにチャンスをくれたとでも考えて、早く新しい自分を楽しみましょう」


南の言うことはテキト―だが適当だ。確かにそんな深く考えることでもないかもしれない。

俺は考えるのをやめて、再びメニューに目を移す。

まず『成仏コース』。

えー、「人生の記憶も何もかもリセットしちゃって新しい生命として生まれ変わっちゃおう!生まれる国だけは選べるからお得!もしかしたら前世の記憶も残るかも」

要するにもう一回人として生きれるってことか。でも、記憶リセットじゃあんま意味ないよなあ。

次、『修行コース』。

「君は神になりたくないかい?神になって現世を管理しよう!お遊びにちょっと運を振りまくのもいいかも」

ないな。これはないな。管理なんて面倒なことしたくないよ。不幸を振りまけるなら楽しそうだけど。

最後、『残留コース』。

「幽霊としてさ、この天界で新しくLIFEを始めようよ。こっちの世界で成功するのもいいんじゃない?」

つまりこっちで、生きろってことか。一番元の世界に似てるのかな?


「よし」

「お決まりですか?」


にこにこしながら南が聞いてくる。まるで天使のような美しさだ。――まさか天使なのか。


「えぇ。俺はこの残留コースを」

「分かりました。では4−B地区に高坂さんの部屋を一つ作っておきますね。これが鍵です」


鍵を受け取る。なんだか本当に死んでるのかどうかわからなくなった。


「では4−Bに飛ばします。良い幽霊生活を!」


その声を最後に俺の意識は消えた。



さくしゃのあとがき

なんか書きたくなりました。感想お待ちしております

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