パート08
端っこの方で待機させていたサラを連れて、フィールドの外に出る。
フィールドを出ると、さっきまで見ていた生徒たちのあちこちから、いろいろな会話が聞こえてくる。
「また、一人で勝ちやがった……」
「なんで生徒と聖霊相手に、勝つ事が出来るの……?」
「化け物かよ……」
聞こえてくるのは、ほとんどが俺に対する皮肉だった。そして向けられてくる視線は軽蔑。
そんな中を何も気にすることなく、ただ校舎へと向かって行く。
別に、俺は周りから何を言われようとも気にしない。この程度の事で俺のやり方を変えるというのなら、俺はサラを守りたいと思う自分自身を見捨てるのと同じ事だ。
歩いていると、いきなりサラが俺の服を掴んできた。
「どうした、サラ?」
「……私、役立たず?」
おそらく、周りからの批判を気にしてそんな事を聞いてきたんだろう。そんな事は無いというのに。
むしろ、単純な力の競い合いなら俺の方が、サラよりも弱いというのに。
だから。
「そんな事はない。他の奴らがどう思ってるか知らないが――俺は、お前が傍にいてくれるだけで力が沸いてくるんだぞ?」
サラを安心させるために、頭を撫でてやりながらそう言ってやる。どことなく誤魔化しているような感じもするけれど、それだけでサラは安心したのか、俺の手を握ってきた。
さて、と。今日の講習は戦闘カリキュラムだけだから、この後は寮に戻ってもいいし、志願講習(自ら先生に頼んで講習を受ける事)に出てもいい。
どちらにしろ、晩飯まで時間はたっぷりとあるのだ。
「お、いたいた。お前らこんな所で何してんだ?」
どこに行くか考えていたら、ケンとフェイがやってきた。ケン達は俺達よりも先に終わっているはずなのにここにいるという事は、わざわざ俺の試合が終わるのを待っていてくれたのだろう。
「この後どうするか考えていてな」
「そか。とりあえず試合お疲れさん」
「お疲れ様でした。相変わらずお強いですね」
ケンが挙げた手にハイタッチをしながら、ありがとうと礼を言う。
「おやおや~? あたしの事を仲間外れにしてもらっては困るんだよー」
「お、トーイじゃないか」
すると、後ろから昨日行った店で働いていたトーイとアイまでもがやってきていた。
「なにはともあれ、本日の試合お疲れさーん! あたしももう終わってるから、この後打ち上げみたいなのに行きますかー!」
「いいなそれ! たまには派手に盛り上がりたいぜ!」
「今日は、ケンのおごりだよー!」
「おおー! って俺のおごりなのかよ!? そこはトーイじゃねえのか!?」
「元気だな、お前ら……」
そんな周りからただ騒がしいケンとトーイのやり取りを見ていたら、さらに今度はいまにも殴りかかってきそうな勢いでカノンがやってくる。その後ろにはしっかりとウィリアもついてきていた。
「ラット! あなたまた聖霊を使わないでカリキュラムを受けて! きちんとルールは――」
「おお、丁度いい所に来たなクラス委員長! カノンも一緒に打ち上げに行こうぜ!」
「いいねいいね! 今日はじゃんじゃん盛り上がっていこー!」
「は……? 打ち上げ? ってちょっと! 勝手に私の腕を引っ張らないで!」
状況にまったくついていけないカノンをトーイが無理矢理ひっぱり、そんな様子にため息をつきながらも、俺はその後にサラの手をひきながらついていった。
――その時だった。