パート05
「いらっしゃいませー! っておよよ、ケンじゃないかい?」
「よう、さっそく来てやったぜ」
店の中に入るとさっそく店員さんが来た。二人の様子を見ていると、どうやら知り合いのようだ。
「あんがとー。フェイちゃんもありがとねー」
「いえ、約束は守るのは当然ですし」
「ところで、そちらの方々は? どーにもどこかで見た気がするけど思い出せないのだよー」
「こいつはラット。ほら、戦闘カリキュラムで聖霊の力を借りないで一人で戦ってるあの」
「…………おお! そうだそうだ、今思い出したよー。あたしはトーイ・リルトトルって言うんだ。皆からはトーイって呼ばれてるよん。学年は君達と同じで、契約している聖霊種は向こうで一緒に働いてる翼人型のアイね。以後、よろしくぅ!」
知り合いじゃなく、ガリシア学園の生徒だったのか。
トーイの外見はどこにでもいそうな女子なのだが、髪の色が蒼色と少し特徴的だった。それに合わせて目の色も蒼だ。おそらくここの国から離れた国の出身者なんだろう。
そして遠くで料理を運んでいた、背中に白い翼が生えているあの子がトーイの契約している聖霊、アイなのだろう。見た目からの印象だと、かなり大人しそうだ。
「ああ。俺はラット・ストライフ。俺の事はラットでいい。それで俺が契約しているのはヒューマン型のサラだ。ほらサラ、挨拶しろ」
「サラ、です。初めましてです」
「へー、フィールドでしか見た事なかったけど結構サラちゃん可愛いねー」
トーイは目線をサラと合わせて、サラの頭を撫で始めた。この様子なら、サラもすぐにトーイと仲良くなれそうだ。
「だろ? ちなみに俺のよ――」
「嫁とかいったら埋めますよ?」
「――欲望の形を忠実に表わしてるんだぜ!」
「よし、スコップを持ってくる」
「お願いします、ラットさん」
「いや、ちゃんと別の事言ったよな!?」
お前がけがらわしい目でサラを見ているからだろうが。というか、こいつはそんな風にサラを見ていたのかと思うと、軽く殺意が沸いてきた。
「あはははっ! お二人は仲がいいね~。そんな仲のいい二人と聖霊二人入りまーす!」
トーイが大声でそういうと、あちこちにいた他の店員さんからもいらっしゃいませー! と声が。なるほど、この店は雰囲気はなかなかにいい店だ。
席に案内されると、アイが水が入ったコップを四人分持ってきてくれた。
「メニューはそちらにありますので、そこから選んでください。ご注文が決まりましたら、お声をかけてくださいね」
「ああ、分かった」
メニューを見てみると、きちんと聖霊用の料理もあった。これなら学園から近いこの店は、かなりいろんな生徒から人気になるわけだ。
聖霊用といっても、基本的な素材などはあまり普通の料理と対して代わりはない。ただ違うと言ったら量や料理のサイズだけだ。例えばフェイみたいに聖霊種がフェアリーだと、人間に比べると食事の量とかはかなり少ない。
俺のサラはヒューマン型なので、食べる量は人間である俺とほぼ同じくらいだ。
他にも聖霊種によって好みとか違いがあるわけだが、そこらへんは人間の好みとあまり大差はない。
「さーて、何を選ぼうかね?」
「俺たちはこの後、寮で晩飯だからな。デザート系でいいか?」
「……うん」
「あ? お前っていつも晩飯自分で作ってんのかよ。めんどくさくね?」
「いや、サラが晩飯は寮で食べたいって言うからな」
「…………お前ら、付き合えば?」
「何を言ってるんだ、お前は」
けれどサラはその言葉を真に受けたのか、俺の腕にくっついてきた。
「本当に、ラットさんとサラさんは仲が良いですね」
「恋人、同士?」
「断じて違うからな、サラ。俺はお前を彼女にした覚えはない」
「はたから見たら、お前らはそう見えるからな……」
変な誤解を生む前に、俺は自分のとサラが好きそうなデザートを選ぶ事に集中した。