パート09
空から一筋の光が、学園の裏にある山に落ちているのを見えた。まさか、あの光は……!
ドゴオオオォォォン!
光はそのまま学園の裏山に落ち、凄まじい音と地震を生んだ。
「きゃあああっ!」
「な、なんだっ!? 地震か!」
「皆さん! 落ち着いて校舎の中に入ってください! 繰り返します! カリキュラムは中止して、ただちに校舎に入ってください!」
あちこちから悲鳴と、教師の指示が飛んでいた。けれど俺は、そんな言葉なんか聞かずに、さっきの光が落ちた場所を確認していた。あそこなら走ればすぐに行けるはず。
「ケン。サラを頼む」
「え? あ、おい! どこ行くんだラット!」
サラをケン達に任せて、俺は一人で学園の裏山に向かった。
さっきの光は、この世界とはまた別の『聖霊界』と呼ばれている所から落ちてきた聖霊の光だ。
俺の脳裏に浮かぶのは、焼け落ちていく村。空から落ちてきたあいつ。そして……。
(もしかすると、またあんな事が起きるかもしれない……!)
最悪の事態を起こさない為にも、俺一人ででも防がなければいけない。幸い聖霊の動きを止める札はまだある。これさえあれば、なんとかなるはずだ。
本来、聖霊が聖霊界から落ちてきたら、まず監視局が事態を確認してから聖霊使いを派遣させる。だけど、監視局が指示を出すまでに時間がかかってしまうため、その間に被害が大きくなってしまう。
その間に、出来る限りの足止めをしなければ。
学園の裏山に入って、程なくしてさっきの聖霊が落ちたであろう場所についた。
「…………どこだ?」
気配を消しながら、辺りを見渡すけれど聖霊の姿は見当たらない。落ちてどこかに移動したか、あるいは隠れているか。
「―――――っ!」
するといきなり声が聞こえた。この裏山にいるのは俺と落ちてきた聖霊しかいないはず。となると今の声は聖霊が発した声で、聞こえた方向は……上?
見上げてみると、そこには――。
「ちょ、な、なんでそんな所が引っかかるのよぉっ!」
――パンツが枝に引っかかって暴れている、人間型の聖霊がそこにいた。