月の姫
「私の~心の中には~」
ある海を越えた大きな国に金色に輝く屋根、壁にはいくつものダイヤモンドの埋め込まれた大理石の床などがある、とても大きな城があった。
その城の一角。ピアノの置かれた部屋でマリアベルは歌を歌っていた。
「またその歌を歌っているの?」
突然、背後から声をかけられ歌を歌っていたマリアベルは歌うのをやめ声のした方に振り返った。
「カナリア姉様 」
マリアベルの背後、扉のところに立ちこちらを見ていたのは15歳のマリアベルより5つ上の第一王女のカナリア・ロイド・ミルヴィンだった。
「マリアベルはその曲が好きね。名前は確か… 」
「『女神の悲愛』」
カナリアがマリアベルの方に向かいながら顎に手を当て曲の名前を思い出そうとしていたらまたもやカナリアの背後で声がした。
カナリアが振り返ると、そこには第二王女のルルベル・ロイド・ミルヴィンが立っていた。
この国、「サルーナ国」は砂漠の真ん中にある砂漠にある国で一番大きな国だった。
彼女達はこの国の「ソルン・ロイド・ミルヴィン王」の三人の愛娘である。
三人は姉妹と言っても似ていなかった。第三王女のマリアベルだけが黄色の肌に髪も瞳も月の色である青銀色をしていた。
その理由は、王の正妃であったカナリアとルルベルの母がルルベルを産んですぐ亡くなってしまい、寂しくなった王は旅で城に訪れた歌劇団の歌姫、マリアベルの母と出会い恋をしてマリアベルが産まれたからだ。
砂漠に住む者は皆、褐色の肌に瞳や髪の色は皆バラバラだが、王の第二妃となった王妃はまだ赤子の頃、歌劇団長に拾われたということでか、マリアベルと同じ黄色の肌に髪も瞳の色も月の色をしていた。
それを理由にかマリアベルは国の民から『月の姫』と呼ばれていた。
いくら砂漠の国といえど、誰も第二妃やマリアベルのような髪と瞳の色をしているものはいなかった。
第一王女であるカナリアの髪は黄金色で瞳は王と同じ海の色だ。第二王女であるルルベルの髪は薄緑で瞳の色は亡き王妃と同じ濃い緑色だった。
ルルベルはゆっくりとマリアベルの傍に寄る。それに続くようにしてカナリアもマリアベルのところまでやってきた。
「さすがルルね。私、忘れちゃってたわ 」
『ルル』というのはルルベルの呼び名である。
「お姉様方どうかなさいましたか?」
傍に寄ってきたカナリアとルルベルにマリアベルはピアノを片付けながらに問いた。
「あぁ。そうだったわ。マリアベル、ルルベル。お父様のお呼びよ。謁見の間に行きましょう。」
「「お父様が?」」
カナリアの言葉にマリアベルとルルベルが二人して声を重ねて聞き返してしまった。
「え?」
声の重なったルルベルの方にマリアベルが向くと、そんなマリアベルの視線に気付いたのかルルベルは小さく答えた。
「私は。マリアベルの歌が聞こえたから…。傍で聞こうと思って… 」
「そうだったんですか…。それではまた、明日お聞きになってくださいね? 」
とマリアベルは頬を薄く染めルルベルにそう伝えると、ルルベルは今度は何も言わずうなづいて見せた。
と、突然!カナリアがマリアベルに抱きついてきた。
「ダメよ!ルルベル、抜け駆けなんて許さないわ!マリア!私も聞きに行くわね!?」
「は、はい。お待ちしてます。」
マリアベルはそうカナリアの腕の中でうなづいた。ルルベルわというと…表面上はいつもどおりだが…心の中では舌打ちをしていたのだった…。
そうして三人は一緒に王の待つ謁見の間まで移動した。
謁見の間に入るための扉を近衛騎士が開くと、カナリア・ルルベル・マリアベルは一緒に謁見の間へと足を進めた。
扉から中に入りしばらく歩いて行くと、壇上が見えてきた。一番上の段には王と妃にしか座ることを許されない椅子が二つ置かれていた。そこには既に王、ミルヴィンが座っていた。
ミルヴィンはどこかの国からきた使いの者と話をしていたようだが、三人が来た事に気づくと話をやめてしまった。すると、王と話していた者が姫が後ろにいることに気付き、その場で深く頭を下げ礼をすると、そのまま謁見の間を後にしてしまった。
「お父様参りました 」
カナリア・ルルベル・マリアベルはそう言いながら王の前、段の下で片膝を床に付き、俯きそう言った。
「カナリア、ルルベル、マリアベル。お前たちはサンメリア国を知っているか?」
『サンメリア国』とは隣国の国だ。砂漠のこの国とは違い、あそこは音楽にありふれた素晴らしい国だと聞き及んでいる。マリアベルは一度でいいからサンメリア国に行ってみたいと考えていた。
「存じております。サンメリアが何か?」
カナリアがそう聞き返すとミルヴィンは瞳を閉じゆっくりとうなづいた。
「サンメリア国、第一王太子殿下ロード様が16歳の成人になられた。その挨拶をと5日後、この国に来る予定だ。マリアベル 」
そこで突然、名を呼ばれたマリアベルは名を呼ばれると思わなかったのでうわずった返事を返してしまった。
「お前も15になったばかりだ。王太子殿下と年も近い…ロード様にこの国を案内してはくれぬか?」
マリアベルは父のその言葉を聞き驚いた。そのような大切な役はいつも長女のカナリアにきていたはずなのに今回は何故か一番末娘のマリアベルが指名されたからだ。
だが、王である父の言うことは絶対だ。マリアベルが返事を返そうとすると、口元に突然ルルベルの手が伸びてきて返事を遮った。そして、またもやカナリアが王に聞き返した。
「何故マリアベルなのですか?そのような大切なお役目は私の役目のはず。それに…それに……っつ!!!男という名のおぞましい生き物をこの国の宝であり私たちの可愛い!愛する妹であるマリアベルに近づけるなど!私は反対です!」
カナリアがそう言うと隣でマリアベルの口元に手を当てていたルルベルもうなづいた。
ミルヴィンはカナリアのその言葉と勢いに負けそうになりかけていたが、コホンと小さく咳をしてから椅子に座り直し言葉を返した。
「さっきも言っただろう。マリアベルは王子と年が近い。4つも年上のお前では王子がゆっくりできないでわないか。それに… 」
そう言うとミルヴィンは、はっと何か思い出したかのように口元に手をあてたがすぐに手を膝の上に下ろした。それを見逃さなかったカナリアは睨みつけるようにミルヴィンを見つめ聞いた。
「それに?」
「それに…ま、マリアベル!お前は歌が好きだろう!?前からサンメリアに行ってみたいと話していたではないか!この国の王族は掟で他の国にたやすく足を運ぶことを禁じられている…。だから、ロード様にサンメリア国の事を色々聞いたらどうだ、と思ってな。」
皆さんはじめまして!(?)
こんにちは!w
優姫です^^w
これで作成中の作品なん作品目でしょう…今回の作品は学校で授業中、ウトウトしていたら突然頭の中にあらすじが浮かび上がってきたものです!w
この作品は今のところの流れではおそらく、今まで私が作ってきたどの作品よりも少ない話数になると思います…。だからこそ!楽しく!恋愛的で!恋愛をするのが大好きな女の子の心をつかむような内容にしたいと思います!!
応援よろしくです!^w^
この作品は『月の姫』と呼ばれたマリアベルの恋のお話です!カナリアとルルベルはどんな子達なのかは読者様のご想像におまかせしますが…一つ言うと妹馬鹿ですかね…w妹が可愛くて可愛くて仕方のない姉設定で行こうと思います!
たま~~に「こんな姉やだ…」「いくらなんでもこれはありえなくね?w」って感じのアタックシーンもあるかもしれませんが!
これはGL作品ではありません…wそこらへん、ご了承ください!w
それでは皆様。また最終話でお会いしましょうね^^w