表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

神奈月短篇集(赤)

あの日、あの時………。

作者: 神奈月

「終わりにしよう」



 部活が終わって、誰もいなくなった体育館。私は頭が真っ白になった。


 家に帰っても、なにものどを通らない。

 いつもはくつろげるお風呂でも、その事が何度もループする。


 それは寝る時も同じ。

 なんであんな事言われたんだろう。

 そもそも、私は相手を好きだったのか。

 そんな事も分からなくなるくらい、私は悲しかったんだと思う。


 だって、悲しいはずなのに涙が出ないなんて、初めてだったんだから。


 一週間、眠らず、眠れずに悩んだあげく、私は勇気をふりしぼった。



「…………もう一度」



 でも、返ってきたのは……



「ごめん」



 たった一週間。されど一週間。相手だった人には、すでに次の人ができていた。







 今なら分かる。

 私は舞い上がっていたんだ。

 修学旅行、他人に言われて気持ちに気付き、

 クラスメイトが勝手にその事を伝え、

 なぜか実ってしまった思い。


 思えば、始まりも体育館だった。

 修学旅行が終わって幾日も経っていない日。

 部活も終わり、二人っきりで鍵を返しに行く。

 私と相手は、部活の部長だから、それも自然。



「本当に、好きなのか」



 そう聞かれた。



「好きです」



 そう思ったわけでもないのに、叫んでいた。



「やったー」



 でも、それは自分だけじゃなかった。

 だって、相手も叫んでるんだから。

 その事が、なによりも嬉しかったんだ。


 でも、それからなにもなかった。

 恋なんてした事ない。

 部活と塾と習い事。

 なにをすればいいか、分からなかったんだ。

 今思えば、学校以外で会った事は、ほとんどない。

 もっと二人の時間を作っていれば。

 なんて事を考えてた。

 そんな時に言われたんだ。



「終わりにしよう」「ごめん」



 たった二言で、私の恋は、半年で終わった。


 ぽっかり空いた穴がイタイ。

 イタイが治るのに、一年かかった。







 私と相手、今ではなんでも話せる友人。

 だから、聞いてみたんだ。



「なんで、あんな事言ったの?」



「友達にからかわれて、嫌な気分にさせたと思ったから」



 そして、私も聞かれた。



「なんで嫌って言わなかったの?」



 だから答えた。



「別れたいんだと思ったから」



 全ては、想い合うがための、些細なすれ違い。

 あの時、嫌と言っていれば、抱きしめていれば、唇を重ねていれば、私の中学生活は、高校生活は、もう少し違っていたのかもしれない。




 ―――迷った時は、勇気を出して―――

 ―――そうすれば、ちょっとだけ―――

 ―――違った世界、見られるはずだから

 うわ、恥ずかしい………………。

 みんな、絶対忘れてね、お願い。

 衝動的に書いちゃったのなぜか。

 あれ、よく見ると脚色がないよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ