スタート
「本気でするんだな?」
伸行は、何回も確認をする。
『ええ、安心してください。ここは何があっても壊れたりしません。』
そんな心配はしてない、と伸行は思う。
そう…先程から、アリアスの周りがバチバチと変な音がするのだ。
『ルールは簡単。一撃を先に加えた方の勝利、いいですね?』
…あれ、勝利になってる?手合わせ…だよね?そうだよね?
『でわ、10秒後スタートです。』
もうやるしかない、伸行は距離をとる。
アリアスは特性が雷なので雷を使う分には、高位魔術で無い限り詠唱が殆どいらない。
魔術というか、異能寄りなのでライナスよりも遥かに自由自在だ。
そして、アリアスのもう一つの特殊な能力、異眼。
異眼名【Repetition《繰り返し》】
例えばだが、さっき落雷を落としたとして、アリアスが異眼発動をしたとする。
すると、その技がそっくり同じ場所に起きるというものだ。
異眼発動とは魔力を眼に通し、発動することだ。
『スタート。』
アリアスの声が大きな部屋に響く。
『まずは、こちらから…どうぞっ!!』
右手を高くあげる、すると有り得ない量の電気が集まっている。
それを、ためらいも無く超高速で、打ち出す。
「詠唱無しであんな高位な異能いいのかっ…よ…!」
反発を使うしかない、足に魔力を込める。
「おらああああああああっ!!」
ありったけの力を込めてアリアスめがけて、蹴り返す。
―――シュン
と音をたててアリアスはその雷の玉を吸収する。
「そういうことね、なら……降り続くは氷柱の剣。」
部屋が冷気によってとてつもなく、寒くなる。
伸行は、指を鳴らした。
お互いが、手合わせではなくなっている。
アリアスは体の周りに複数の雷の剣を用意しており、氷柱の全てを斬ろうとしている。
いくつもの氷柱がアリアスを襲う。