入学
ライナスはそれを軽く跳躍し、かわした。
『なら、これどうだ?!』
さらに跳躍し大きく距離をとった。
『The flame that doesn't disappear : to my hammer.』
―――消えない炎は我が槌に。
ぼんっと音がすると、ライナスの手には大きなハンマーが握られていて、
槌からは炎があがっていた。
『おらあああああアッ!』
その槌を地面に叩き付けると、無数の炎が波のように伸行を襲う。
伸行は避けてみるが、軌道はぶれることなく追跡してくる。
「上位魔法か…?クソっ。」
このままだと詰まれる…伸行は詠唱をしながら炎を避ける。
「一騎当千、千里の道をひた走る。その道に敵は無し。まさに武神の如し……限定召喚、王装。」
手には【冷艶鋸】を持っている。
その昔、関羽が使っていたという武器だ。
それを一振りすると、あっという間に炎が消え去った。
『…凄いな。』
ライナスは驚きを隠せなかった。
王具・持ち主と認められなければ使う事は勿論出来ない。
まさか、魔力があれば限定だけじゃなくて、関羽自体を呼び出したりするのか…?
前例がほとんど無い、考えすぎか。
「はぁ、はぁ…。」
伸行の息が荒い。
『うん。特例だが合格だ!』
伸行は特別に合格させてもらった。
「本当か?」
伸行の顔に笑顔が浮かぶ。
『ああ。』
無愛想にライナスは答える、この顔は生まれつきなので仕方が無い。
「やったあああああああ!!」
これから、明星で何かが起こる。
ここに3人の密偵が居る。
『【月光】に連絡しなければ。』
『【正義の騎士団】に今すぐ戻ろう。』
『あれが…平島伸行か。』