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第1話:冒険者の定義、あるいはジェネレーションギャップ

 「レナード、悪いが今日限りでパーティを抜けてくれ」

 そう言ったのは、リーダーのゼルだった。


 いきなりの事で、一瞬フリーズしたが、すぐに思考を始める。


 今日は、確か次の依頼のための作戦会議だったはず。まずは話を聞かないとな


 動揺を隠し、冷静さを取り戻すため、注文したブラックコーヒーに自前の角砂糖を3個入れ、一口飲み、俺はゼルに聞いた。


「どう言う事だ?」


「俺たちは、Aランクパーティになりたい。実力も実績も積んできた。だが貴方はまだ早いと、そう言いもう二年経つ。」


 そう言うゼルの顔には焦りのようなものが見えた。


 なるほどな、、、。確かに彼らは若く才能に溢れている。彼らのように若くて才能に溢れている冒険者たちからしたら、いつまでも、Bランクなんていう中堅に収まっているのは苦痛だろう。早く上に駆け上がり、「金」や「名誉」を手にしたいだろう。


「金と名誉」。いつしか冒険者の定義が変わってしまった。俺が冒険者を目指した頃は、未知との遭遇や未開を開拓するもの指していたんだがな。コレもジェネレーションギャップか。


 いかんいかん。思考が逸れてしまった。命懸けの職業だ。相応のリターンを望むのは当然だ。


 だか、やはりまだ考えが若いな。そう思いながら、

 なぜ、まだ早いかを説明しようとすると


「おい、ゼル、そんな遠回しに言っても伝らねぇよ」


 そう言い勢いよく立ち上がったのは、パーティメンバーのひとり、ガイだった。


 彼もゼル同様、若く才能に溢れているが、短気な性格が玉に瑕で、やや猪突猛進なところがある。


「オッサン。アンタ、準備に時間かけすぎなんだよ。大物ならいざ知らず、大した事ない獲物相手にも何時間も準備にかけやがって。それで?準備が終わったら、ああしろ、こうしろと偉そうに命令しやがる」


 そう捲し立てて言うガイにゼルが止めに入ろうとする。


「ガイ、その辺にしとけ。言い過ぎだぞ」


 だが、ガイは止まらない。


「いいや、この際だからはっきり言っておく、オッサン、俺らはアンタのコマじゃねぇんだ。アンタと組むと息が詰まる」


 そう一息に言い放つ、ガイ。はぁーっとため息をするゼル。そんな2人を見ながら、こんな熱くなってる状況で、説明しても火に油を注ぐだけだな。そう思い席を立ち、明日、改めて話そうと切り出そうとしたら、ゼルが、目を伏せながら


「すまない。レナード、そう言うわけなんだ。このままパーティを組んで行動しても、連携なんて取れない。危険なだけだ。それは貴方の言うプロ失格なんじゃないのか?」


「もちろん。貴方のおかげで、助かったことも一度や二度じゃない。俺たちがこんなにも早くBランクに上がれたのは貴方の助けがあったからこそだ。」


「だが、もう待てないんだ!」


 胸中を吐き出すように言うゼル。

 その言葉に対して、反論しようすると、あの光景がフラッシュバックし、一瞬眩暈がした。


 ふぅーと息を吐き、ゆっくり席から立ち上がり


「わかった。確かにこのままパーティを組んでいても危険なだけだな。だが、最後に一言、プロとして言っておく」


「『準備』は怠るなよ」


 そう静かにいい、俺は酒場を出ていった。


『もう待てないんだ!』そう言うゼルたちに、かつての自分が重なって見えた。

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