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沈黙のストライカー  作者: ムーミンの丸焼き
2030ワールドカップ

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87/110

連動


---


第三戦、vsポーランド。マドリード、サンティアゴ・ベルナベウ。


スターティングメンバーが発表されたとき、ニコラスはベンチだった。


ターンオーバーだった。トゥヘルが第三戦でメンバーを入れ替えた。すでにグループ突破は決まっていた。


アリスターが先発に入っていた。


---


ウォームアップ中、アリスターがニコラスの隣に来た。


「俺が先発だぞ」


「見ていた」


「見てろよ」アリスターは言った。「ロングシュートを打つから」


「打てる場面があれば」


「作る」アリスターは言った。「そういうものだ」


ニコラスは少し笑った。


---


前半、ポーランドは予想通りだった。


3-5-2で低く構えてきた。五枚の中盤がコンパクトなブロックを作り、イングランドがボールを持つ時間が長くなった。でも崩せなかった。


アリスターは中盤右寄りで動いていた。


ボールを受けるたびに前を向こうとした。ポーランドのMFが食いついてきた。


三十一分、アリスターがボールを受けた。前向きになった。DFが距離を取った。


迷わなかった。


右足を振り抜いた。


ボールがカーブしながら左上隅に突き刺さった。


スタジアムが沸いた。


ベンチからトゥヘルが立ち上がった。


ニコラスはそのゴールを見ていた。


走りながら打った。DFが距離を取った瞬間を逃さなかった。躊躇がなかった。


あれがアリスターのゴールだった。


---


ハーフタイム、ロッカールームでアリスターがニコラスの隣に来た。


「見たか」


「見た」


「どうだった」


「躊躇がなかった」


アリスターは満足そうに頷いた。「そうだろう。あそこで止まったら打てない。二年かけて覚えた」


「次の武器は何だ」


「まだ考え中だ」アリスターは言った。「でも今日はこれだけで十分だろ」


---


後半、ニコラスは六十七分から出場した。


アリスターと交代ではなかった。パーマーと交代だった。


四分間だけ、アリスターとニコラスが同じピッチに立った。


ニコラスが前線に入り、アリスターが中盤にいた。


七十一分、アリスターがボールを持った。前線を見た。ニコラスへ縦パスを入れた。


ニコラスが受けた。DFが来た。ポストで落とした。フォーデンが受けた。シュートを打った。GKが弾いた。こぼれ球をベリンガムが押し込んだ。


二対零。


ゴールを決めたベリンガムがアリスターを指差した。アリスターが右手を上げた。


ニコラスはその場面を見ていた。


アリスターのパスから始まった。チェスターフィールドで初めてボールを渡してきた男のパスが、ワールドカップのゴールに繋がった。


---


七十一分、アリスターが退いた。


ピッチを出るとき、ニコラスの横を通った。


「四分間だったな」とアリスターは言った。


「そうだな」


「でも一回パスが通った」


「通った」


アリスターは少し笑った。「チェスターフィールドから来た意味があった」


ニコラスは少し間を置いた。


「あった」


---


試合終了、二対零。グループ首位通過。


ロッカールームで、ケインがニコラスの隣に来た。


「今日、途中から入ってどうだった」


「物足りなかった」とニコラスは言った。


「それでいい」ケインは言った。「物足りないと思えるなら、次が楽しみになる」


「決勝トーナメントは全力で出る」


「そうだ」ケインは言った。「今日学んだことがある。ベンチから見ていたとき、何か気づいたか」


ニコラスは少し考えた。


「アリスターのゴールの場面、DFが距離を取った瞬間に打った。迷わなかった。その判断が早かった」


「それだけか」


「ポーランドのブロックは崩しにくかった。でも前半、何度かスペースが生まれていた。引きつけて逆を使う形が通りやすかった」


「昨日練習したことが使えそうだったか」


「使えると思った」


ケインは頷いた。「決勝トーナメント、やってみろ。俺が動く。お前が逆を取る。今度は試合でやろう」


---


ホテルへ戻る車の中で、アリスターが言った。


「グループ突破だ」


「そうだな」


「決勝トーナメント、俺はあまり出られないかもしれないけど」


「わかっている」


アリスターは窓の外を見た。マドリードの夜だった。


「でも今日の四分間があった」


「あった」


「チェスターフィールドから始まって、ベルナベウで一緒にプレーした」アリスターは言った。「それだけで十分だ」


ニコラスはアリスターを見た。


「十分じゃない」とニコラスは言った。「次はもっと長く出ろ」


アリスターは少し驚いた顔をした。それから笑った。


「お前に言われるとは思わなかった」


「来季また戦おう」


「絶対にな」


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