表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沈黙のストライカー  作者: ムーミンの丸焼き
アストン・ヴィラ2年目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/110

アリスター――オフシーズン


---


七月の初旬、アリスターはマンチェスターの自宅にいた。


今季の数字を頭の中で整理した。


リーグ戦出場三十一試合。ゴール九本。アシスト八本。


十本を目標にしていた。一本届かなかった。


---


ロングシュートが武器になった。


去年の五月、ニコラスとヴィラのグラウンドで練習した。あのとき教わったわけではなかった。ニコラスの練習を見て、自分は違うやり方でやると決めた。頭の処理を速くする。走りながら判断する。止まらずに打つ。


一年かかった。


プレシーズンで形になって、シーズン中に試合で決まるようになった。二月のヴィラ戦で決めたとき、ニコラスが通路で「頭より体が先に動いていた」と言った。それが一番の確認だった。


---


ユナイテッドでの四年目が終わった。


一年目は出場機会が少なかった。二年目は安定してきた。三年目で数字が出た。


でも今季、ユナイテッドは八位で終わった。


タイトルはなかった。


ニコラスはプレミア優勝した。カラバオも取った。


アリスターはその結果をスマートフォンで確認した。最終節の翌日だった。


悔しかった。でも悔しさの種類が去年と違った。去年は「あいつが先に」という悔しさだった。今年は「自分もここまで行きたい」という悔しさだった。


---


ニコラスからメッセージが来たのは、最終節から三週間後だった。


```

@nicholas.romero9:

チェスターフィールドに帰った。

テリーがお前のことを話していた。

今季九本、知っているか。

```


アリスターは少し笑った。


```

@alistair_wood7:

知ってるよ笑

テリーはいつまでも俺たちのこと話すよな

```


```

@nicholas.romero9:

ずっと話すだろう。

```


```

@alistair_wood7:

まあいいか

来季はユナイテッドでタイトル取りに行く

ニックはヴィラに残るの?

```


```

@nicholas.romero9:

残る。

```


```

@alistair_wood7:

じゃあまたリーグで当たるな

今度は負けないよ

```


```

@nicholas.romero9:

そうはいかない。

```


アリスターはそれを見て笑った。


---


来季、ユナイテッドにいる。


タイトルを取りに行く。得点とアシストの数字を上げる。CLにも出る。


でも一つ決めていることがあった。


今季九本のうち、ロングシュートで決めたのは四本だった。残りはエリア内からだったり、こぼれ球だったり、セットプレーだったりした。でもロングシュートという選択肢が加わったことで、相手の守備が変わった。エリア外でボールを持ったとき、DFが距離を取るようになった。その分、エリア内へ入る回数も増えた。来季は違う武器を一つ増やす。


ニコラスは毎年新しいものを積み上げていた。反転シュート、言語化、チームの中での役割。自分も同じようにやる。違うやり方で。


チェスターフィールドから来た。でもそこから先の道は、二人それぞれだった。


---


七月の終わり、プレシーズンが始まった。


アリスターはグラウンドに出た。


新しいシーズンが始まる。


---

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ