CL――リバプール(第二戦)
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ヴィラパークは満員だった。
七万人。ホームだった。去年のCLのグループステージでもここで戦った。でも準決勝は違った。スタジアムの空気が、試合前から重かった。良い意味での重さだった。七万人が同じものを求めている重さだった。
アグリゲートは二対二。今日勝てば決勝だった。
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試合が始まった。
ヴィラが前に出た。ホームの勢いがあった。前半からリバプールを押し込んだ。
十四分、チャンスが来た。
ロジャースがエリア内に侵入した。クロスを上げた。ニコラスが飛んだ。DFも飛んだ。
競り負けた。
惜しかった。でも入らなかった。
二十二分、今度はワトキンスが抜け出した。GKと一対一になった。シュートを打った。
ポストに当たった。
会場がため息をついた。
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三十一分、リバプールが先制した。
カウンターだった。
AKIがボールを受けた。前を向いた。キャッシュが寄せた。AKIは止まらなかった。縦に抜いた。
ニコラスはそのドリブルを見ながら、第一戦の六十一分を思い出した。あのとき右を通った。今日は縦に来た。
クロスが上がった。ファーサイドに合わせられた。
一対〇。
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ハーフタイム、エメリーが言った。
「焦るな。前半の内容は悪くない。チャンスは作れている。後半も同じことをやれ。一点取れば同点だ。同点になれば延長がある」
ニコラスはその言葉を聞いた。
焦るな。わかっていた。でも体の中に少し、去年のCLの感覚が戻ってきた。あのときも先制されて、追いかけた。
でも今日は去年じゃない。
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後半が始まった。
五十八分、ニコラスが動いた。
エリア外でボールを受けた。DFが来た。背中を向けた。
DFの重心が後ろに移った瞬間を感じた。
反転した。
打った。
入った。
一対一。
ヴィラパークが揺れた。七万人の声が一つになった。
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その後、試合は膠着した。
リバプールが守りを固めた。ヴィラが攻めた。スペースが消えた。ワトキンスがポストに入った。ニコラスが動いた。でもリバプールの守備は組織的で、スペースを生まれる前に埋めた。
七十一分、ワトキンスに代わってデュランが入った。
デュランのフィジカルで前線を活性化しようとした。クロスが入った。デュランが競った。GKがキャッチした。
八十三分だった。
リバプールのセットプレーだった。コーナーキックが入った。ニコラスはゴール前の混戦の中でクリアしようとした選手を見た。
弾いた。
ゴールに向かっていた。
マルティネスが手を伸ばした。
ラインを割った。
二対一。
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残り七分。
ヴィラが攻めた。ニコラスがエリアに入った。クロスが来た。競った。
外れた。
ロジャースがミドルシュートを打った。
GKが弾いた。
オナナが詰めた。
ブロックされた。
試合終了の笛が鳴った。
一対二。アグリゲート三対四。
リバプールが決勝に進んだ。
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ヴィラパークが静かになった。
七万人が静かになる音があった。
ニコラスはピッチの上に立ったまま、少し下を向いた。
去年も負けた。でも去年はグループステージだった。今日は準決勝だった。一点差だった。
打てた場面はあった。決めきれなかった。
でも後悔とは少し違う感覚だった。やれることはやった。でも届かなかった。その差が何なのか、今はまだわからなかった。
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通路でAKIと鉢合わせた。
AKIは表情が複雑だった。勝った顔ではなかった。でも負けた顔でもなかった。
「惜しかった」とAKIが言った。
「そうだな」
「八十三分のあれ、止めたかった」
「止められなかった」
AKIは少し黙った。
「ヴィラ、去年より全然違った」とAKIは言った。「本当に。今日は際どかった」
ニコラスはAKIを見た。
「来年も当たるかもしれない」
「当たりたい」AKIは言った。「でも来年は決勝で当たりたい」
ニコラスはその言葉を少し聞いた。
「同じだ」と言った。
AKIは笑った。今度はいつもの軽い笑顔だった。
「またな、ロメロ」
「ああ」
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ロッカールームに戻ると、チームメイトたちは静かだった。
誰も何も言わなかった。着替える音だけがあった。
しばらくして、ワトキンスが口を開いた。
「来季はここから先に行く」
それだけだった。
誰も返事をしなかった。でも返事をしなくていい言葉だった。
ニコラスも何も言わなかった。
でもその言葉は、静かにニコラスの中に残った。
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