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沈黙のストライカー  作者: ムーミンの丸焼き
アストン・ヴィラ2年目

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67/111

CL――リバプール(第一戦)


---


アンフィールドは去年と同じ音がした。


でも去年と違うことがあった。


去年のヴィラはここに来るのが初めてだった。アウェイの空気に飲まれた。前半から押し込まれた。ニコラスがハットトリックで追いつくまで、チームは何度も崩れかけた。


今日は違った。ヴィラの選手たちがウォームアップを終えてピッチへ戻るとき、顔が去年と違った。飲まれていなかった。知っている場所として扱っていた。


エメリーが去年のCLの経験を、今季ずっと積み上げてきた結果だった。


---


試合が始まった。


リバプールのプレスが来た。去年と同じ速度だった。でもヴィラのバックラインが去年より落ち着いていた。プレスをいなすパスが続いた。


十一分、リバプールが先制した。


サイドを崩されてクロスが入った。マルティネスが弾いたが、こぼれ球を押し込まれた。一対〇。


アンフィールドの音が大きくなった。


ニコラスはセンターサークルへ歩きながら、去年を思い出した。去年も先制されてから自分が動いた。でも今日は違う。自分一人で取り返す必要はない。


---


二十七分、ヴィラが同点にした。


ロジャースが左サイドで仕掛けた。クロスが入った。ワトキンスが競った。DFが弾いた。こぼれ球がニコラスの前に転がった。


打った。


入った。


一対一。


ニコラスは右手を上げた。アンフィールドが少し静かになった。


---


前半は一対一で終わった。


ハーフタイム、エメリーが映像を使って話した。


「リバプールは右サイドを多く使っている。キャッシュへの負荷が高い。後半、そこをケアしながら中を締める。前線はカウンターの準備を続けろ」


ニコラスはその言葉を聞きながら、AKIの動きを頭の中で追った。


今日のAKIは去年より直線的だった。去年はドリブルで仕掛けてから判断を変えることが多かった。今日は最初から向かってくる。準決勝のスイッチが入っていた。


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後半、リバプールがペースを上げた。


五十三分、キャッシュのサイドを崩された。エメリーの予測通りだった。クロスが入った。マルティネスが弾いた。今度は弾ききった。


六十一分、AKIがボールを持った。


中央に向かってきた。ティーレマンスが寄せた。AKIは止まらなかった。ティーレマンスの右側を通り抜けた。


パスが出た。ゴール前の選手へ。


ニコラスはそのパスコースを見ていた。AKIが右を通ったとき、パスは左に出ると思った。でも逆だった。


入れられた。


二対一。


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二点差にはならなかった。


七十四分、ワトキンスが倒されてFKを得た。


エリアから二十二メートル。ニコラスがボールの前に立った。


壁を見た。相手GKの位置を確認した。


左上に蹴った。


壁の右端をぎりぎり越えた。GKが右に動いた。逆だった。


入った。


二対二。


---


残り十五分、ヴィラが攻めた。


ニコラスがエリアに入った。DFが二枚ついた。ワトキンスへ出した。ワトキンスがシュートした。GKが弾いた。


ロジャースが詰めた。惜しかった。


八十九分、リバプールのカウンターだった。


AKIが前線へパスを出した。走り込んだ選手がコンサと一対一になった。コンサが体を張った。弾いた。


試合終了の笛が鳴った。


二対二。


---


通路でAKIとすれ違った。


「同点か」とAKIが言った。


「そうだ」


「六十一分のやつ、読んでたか」


ニコラスは少し考えた。


「逆を読んでいた」


「あれ、練習してきたやつだから」AKIは少し笑った。「でも次は読まれるかもしれない」


「読む」


AKIは笑った。「楽しみにしてる」


「二戦目、ヴィラパークで」


「ホームでも同じだよ」AKIは言った。「俺はアウェイの方が伸び伸びできるから」


それだけ言って先に歩いていった。


ニコラスはその背中を少し見た。


二対二。第二戦はヴィラパークだった。ホームだった。でもAKIは「アウェイの方が伸び伸びできる」と言った。


それが本当かどうか、確かめる必要があった。


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