CL――リバプール(第一戦)
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アンフィールドは去年と同じ音がした。
でも去年と違うことがあった。
去年のヴィラはここに来るのが初めてだった。アウェイの空気に飲まれた。前半から押し込まれた。ニコラスがハットトリックで追いつくまで、チームは何度も崩れかけた。
今日は違った。ヴィラの選手たちがウォームアップを終えてピッチへ戻るとき、顔が去年と違った。飲まれていなかった。知っている場所として扱っていた。
エメリーが去年のCLの経験を、今季ずっと積み上げてきた結果だった。
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試合が始まった。
リバプールのプレスが来た。去年と同じ速度だった。でもヴィラのバックラインが去年より落ち着いていた。プレスをいなすパスが続いた。
十一分、リバプールが先制した。
サイドを崩されてクロスが入った。マルティネスが弾いたが、こぼれ球を押し込まれた。一対〇。
アンフィールドの音が大きくなった。
ニコラスはセンターサークルへ歩きながら、去年を思い出した。去年も先制されてから自分が動いた。でも今日は違う。自分一人で取り返す必要はない。
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二十七分、ヴィラが同点にした。
ロジャースが左サイドで仕掛けた。クロスが入った。ワトキンスが競った。DFが弾いた。こぼれ球がニコラスの前に転がった。
打った。
入った。
一対一。
ニコラスは右手を上げた。アンフィールドが少し静かになった。
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前半は一対一で終わった。
ハーフタイム、エメリーが映像を使って話した。
「リバプールは右サイドを多く使っている。キャッシュへの負荷が高い。後半、そこをケアしながら中を締める。前線はカウンターの準備を続けろ」
ニコラスはその言葉を聞きながら、AKIの動きを頭の中で追った。
今日のAKIは去年より直線的だった。去年はドリブルで仕掛けてから判断を変えることが多かった。今日は最初から向かってくる。準決勝のスイッチが入っていた。
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後半、リバプールがペースを上げた。
五十三分、キャッシュのサイドを崩された。エメリーの予測通りだった。クロスが入った。マルティネスが弾いた。今度は弾ききった。
六十一分、AKIがボールを持った。
中央に向かってきた。ティーレマンスが寄せた。AKIは止まらなかった。ティーレマンスの右側を通り抜けた。
パスが出た。ゴール前の選手へ。
ニコラスはそのパスコースを見ていた。AKIが右を通ったとき、パスは左に出ると思った。でも逆だった。
入れられた。
二対一。
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二点差にはならなかった。
七十四分、ワトキンスが倒されてFKを得た。
エリアから二十二メートル。ニコラスがボールの前に立った。
壁を見た。相手GKの位置を確認した。
左上に蹴った。
壁の右端をぎりぎり越えた。GKが右に動いた。逆だった。
入った。
二対二。
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残り十五分、ヴィラが攻めた。
ニコラスがエリアに入った。DFが二枚ついた。ワトキンスへ出した。ワトキンスがシュートした。GKが弾いた。
ロジャースが詰めた。惜しかった。
八十九分、リバプールのカウンターだった。
AKIが前線へパスを出した。走り込んだ選手がコンサと一対一になった。コンサが体を張った。弾いた。
試合終了の笛が鳴った。
二対二。
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通路でAKIとすれ違った。
「同点か」とAKIが言った。
「そうだ」
「六十一分のやつ、読んでたか」
ニコラスは少し考えた。
「逆を読んでいた」
「あれ、練習してきたやつだから」AKIは少し笑った。「でも次は読まれるかもしれない」
「読む」
AKIは笑った。「楽しみにしてる」
「二戦目、ヴィラパークで」
「ホームでも同じだよ」AKIは言った。「俺はアウェイの方が伸び伸びできるから」
それだけ言って先に歩いていった。
ニコラスはその背中を少し見た。
二対二。第二戦はヴィラパークだった。ホームだった。でもAKIは「アウェイの方が伸び伸びできる」と言った。
それが本当かどうか、確かめる必要があった。
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