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沈黙のストライカー  作者: ムーミンの丸焼き
アストン・ヴィラ1年目

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51/113

約束――旅行


---


六月の初旬、ニコラスはチェスターフィールドへ帰る前にグレースに電話した。


「来週帰る」


「わかった。部屋、そのままにしてあるわよ」


「ありがとう」


少し間があった。


「母さん」


「何?」


「来季、タイトルを取ったら旅行に連れていく」


グレースは返答まで少し時間をかけた。


「タイトルって、リーグ?」


「どれかは取る」


「どれかでいいの?」


「全部取りたい」


「じゃあ全部取ったら連れていってくれる?」グレースは笑った。


「そうする」


「約束ね」


「約束だ」


また少し間があった。


「どこに行きたいか、考えておいてくれ」とニコラスは言った。


「そんなこと言われても急には思いつかないわよ」


「時間はある。シーズンが終わるまでに決めてくれ」


グレースは少し笑った。「じゃあ考えておく。でも一つ聞いていい?」


「何だ」


「タイトル取れなかったら旅行なし?」


ニコラスは少し間を置いた。


「タイトルを取るから、なし、という状況にはならない」


グレースはしばらく黙った。


「わかった」とグレースは言った。「信じる」


---


電話を切ってから、ニコラスは少し考えた。


グレースが旅行に行ったことが何度あるか、知らなかった。


チェスターフィールドから出たことがあるかどうかも、よく知らなかった。


子供のころ、家を出るお金はなかった。ニコラスがコンヤへ行ったとき、グレースはチェスターフィールドに残った。ルガーノへ行ったときも。バーミンガムへ来るようになったのは今年からだった。


グレースはどこへ行きたいだろう。


暖かいところか、寒いところか。海か山か。


わからなかった。でもそれを来季終わるまでに知ることができる、とニコラスは思った。タイトルを取るまでの時間が、グレースのことをもう少し知る時間でもあった。


---


数日後、グレースからメッセージが来た。


「考えたんだけど、日本はどうかしら。テレビでよく見るの。食べ物が美味しそうで、街が綺麗で、なんか全然違う世界みたいで」


ニコラスは少し間を置いた。


日本。AKIの国だ、と思った。


「日本にする」と返した。


「決まり?」


「決まりだ」


グレースからすぐ返ってきた。


「じゃあ絶対取ってね」


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