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沈黙のストライカー  作者: ムーミンの丸焼き
アストン・ヴィラ1年目

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39/110

ベスト16


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十二月の第三週、チャンピオンズリーグのリーグフェーズ最終節が終わった。


ヴィラはリーグフェーズを六勝二敗で終えた。ニコラスは六節で五点取った。


ベスト16の組み合わせが発表された。


レアル・マドリードだった。


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ゾーイからメッセージが来た。


「CL組み合わせ確認しました。レアル・マドリードです。ベルナベウからの第一戦です」


「わかった」


「正直な感想は」


「やれる」


「根拠は」


ニコラスは少し間を置いた。


「リーグフェーズで六試合、五点取った。CLのピッチでも体は動く。それで十分だ」


ゾーイからすぐ来た。「それで十分です」


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ベスト16確定の夜、エメリーが練習後に一言だけ言った。


「おめでとう。でもここからだ」


誰も浮かれていなかった。六勝したが、二敗もした。その二敗がどちらもリバプール戦だったことを、全員が知っていた。


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その夜、ニコラスはCLリーグフェーズの六試合を頭の中で振り返った。


最初の試合はアウェイだった。相手のプレス速度がルガーノの比ではなかった。受けてから考えていたら潰された。体が先に動くことの意味が、CLでは別の強度を持っていた。


でも六試合で五点取った。


ベルナベウ。スペイン。


マルティネスとトーレスのスペイン語が、ロッカールームでいつも響いていた。あの音の質感が、ベルナベウでは七万人の規模で来る。


ニコラスは天井を見た。


父のことを考えた。


チェスターフィールドの台所で独り言を言っていた男。スペイン語かどうかも、当時はわからなかった。でも今はわかる。あの声の音の質感が、スペイン語だった。


ベルナベウに行けば、その音が来る。


怖いとは思わなかった。ただ、行く前からもうすでに、何かが待っている気がした。


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翌日の練習で、エメリーがレアルの映像を見せた。


ベリンガム、ヴィニシウス、ムバッペ。


ニコラスは映像を見ながら、自分がゴールを取るための動きを探した。あの守備をどう崩すか。あのGKをどう抜くか。


エメリーが言った。「レアルはどんな相手でも対応できる。崩すより、一瞬の隙を突け。その一瞬のために九十分動き続けろ」


ニコラスはそれを聞いた。


一瞬の隙。体が先に感じる、あの感覚。それがCLの舞台でも出るかどうかを、ニコラスは試したかった。


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