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沈黙のストライカー  作者: ムーミンの丸焼き
アストン・ヴィラ1年目

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31/110

十月



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十月は、勝ち続けた。


第八節、ホームでウェストハムに三対一。ニコラスが二点取った。ワトキンスが一点取った。二点目はカウンターだった。ニコラスが縦に持ち上がって、ワトキンスが斜めに走って、パス一本で完結した。


第九節、アウェイでウォルバーハンプトンに二対〇。ニコラスが一点、ロジャーズが一点。ワトキンスはベンチだったが、後半から入って流れを変えた。


第十節、ホームでブレントフォードに二対一。ニコラスが一点。七十七分、DFを二枚引きつけて反転、右足で流し込んだ。ワトキンスが後半から入って追加点を取った。


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三試合で六得点。チームが勝ち続けた。


でもニコラスの中では、勝ち点の積み上げより別のことが積み重なっていた。


対策が精緻になっていた。ゾーイが言った通りだった。マーカーが増えた。コースを読まれる場面が増えた。


ワトキンスが後半から入るたびに、守備の重心が動いた。ニコラスが前半に引きつけたマーカーが、ワトキンスの動きで迷う場面があった。


自分とワトキンスをローテーションを使う意味が、少しずつわかってきた。


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第十節の夜、ゾーイからメッセージが来た。


「リーグ七ゴール。得点ランク二位です。ハーランドが現在九ゴールで首位」


ニコラスは数字を見た。


ハーランド。十月に対戦した。あの選手はすでに九点取っている。自分は七点。差が縮まっているのか、広がっているのか、まだわからなかった。


返信した。「わかった」


ゾーイから来た。「もう少し感想を言ってください」


「次は縮める」


少し間があった。「それで十分です」


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練習でワトキンスの動きを観察するようになっていた。


交代で使われる選手だった。でも動き方が面白かった。


ニアへの動き、ファーへの流れ、DFを引きつけるタイミング。全部に意図があった。


自分とは違うタイプだった。でも何かが噛み合う気がした。まだ言葉にはできなかった。


ただ、練習でワトキンスの動きを目で追う時間が増えていた。


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十月の終わりに、マンチェスター・シティとの試合があった。


ハーランドと二度目の対戦だった。


前回と違うのは、今のニコラスには後半からワトキンスが入ってくることだった。


ハーランドにはパートナーFWがいない。シティの戦術上、ハーランドは一人でエリアに構える。ニコラスとワトキンスが交代で使われる形とは、また違う種類の強さだった。


試合は二対二で終わった。ニコラスが一点、ワトキンスが後半から入って一点。ハーランドが二点。

ロッカールームでワトキンスが言った。


「ハーランド、二点か」


「そうだ」


「お前は?」


「一点」


「俺も一点。合わせて二点」ワトキンスは少し間を置いた。「同じだ」


同じ、とニコラスは思った。一人で二点のハーランドと、二人合わせて二点のニコラスとワトキンス。数字は同じだが、やり方が違う。


どちらが正しいわけではなかった。ただ、今の自分たちのやり方がある。


「来月、CLがある」とニコラスは言った。


「リバプールか」ワトキンスは頷いた。「AKIがいる」


「そうだ」


「あいつは速い」


「知っている」


ワトキンスは少し考えてから、「頑張れよ」と言った。


CLはニコラスが先発し、ワトキンスはリーグに集中する形になることが多かった。


「そうする」


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