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十二月の第十七節を終えて、ニコラスはリーグ四十ゴールに達した。
試合後、ドスサントスがロッカールームで叫んだ。
「四十点!十七節でだぞ!お前、正気か!」
チミニャーニが珍しく立ち上がって拍手した。ビスリミが静かに、でも確かな笑顔で頷いた。
ファリネッリ監督が来た。
「おめでとう」とだけ言った。握手した。それで十分だった。
ニコラスは着替えながら、五十という数字を頭の中で転がした。
チェスターフィールドで一シーズン五十ゴール。それが最初の節目だった。あのときトロフィーを持って「重いです」と言ったら、ゲイリーが笑った。
今回はまだ十七節で四十ゴール。あのシーズンよりずっと速いペースで、あのシーズンより強いリーグで。
でも気持ちは変わらなかった。もっと決めたい、という気持ちが、いつも得点の喜びより少しだけ大きかった。
「何を考えてる」とドスサントスが隣に来た。
「次のことだ」
「四十点取って次か」
「四十一点目がある」
ドスサントスはしばらくニコラスを見た。それから笑った。「お前と一緒にやってると、満足するということを忘れる」
「悪いことか」
「全然悪くない」ドスサントスは肩を叩いた。「最高だ」
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十二月の中旬、グレースがルガーノに来た。
空港に迎えに行った。到着ゲートから出てきたグレースは、碧いスカーフを首に巻いていた。コートのボタンを全部留めていた。チェスターフィールドで見送ったときと同じ格好だった。
ニコラスは手を挙げた。
グレースがニコラスを見つけて、足を止めた。それから歩いてきた。
「大きくなった」とグレースは言った。
「変わってない」
「変わってるわよ」グレースはニコラスの顔を見上げた。「顔が違う」
「どう違う」
「大人になった」
ニコラスは何も言わなかった。でも荷物を持った。
「重い」
「お土産を入れたから」
「誰への?」
「あなたへ」グレースは言った。「テリーの奥さんに頼まれたの。ニックに渡してって」
ニコラスは少し間を置いた。
「テリーの奥さんから?」
「毎週来てくれるのよ、今も。先週もスコーンを持ってきてくれた」
ニコラスは荷物を持ちながら歩いた。グレースが隣を歩いた。
「チェスターフィールドは元気?」
「元気よ。みんなあなたの試合を見てる。スタジアムで一緒に見る人もいるって聞いた」
「スタジアムで」
「ルガーノの試合を、チェスターフィールドの人たちがパブで見てるらしいわよ」グレースは笑った。「地元の英雄だから」
ニコラスは少し間を置いた。
かつて腕を組んで見ていた人たちが、今はパブでルガーノの試合を見ている。
それが何かを意味しているのか、うまく言葉にできなかった。でも悪くなかった。
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翌日、湖のほとりを歩いた。
十二月のルガーノは穏やかだった。スイスの冬にしては暖かく、湖の水面が白く輝いていた。山が遠くに見えた。
グレースは歩きながら、何度も立ち止まった。湖を見た。山を見た。街並みを見た。
「きれいな街ね」と彼女は言った。
「そうだな」
「写真で見たより、もっときれい」
二人でしばらく湖のほとりのベンチに座った。観光客が数人通った。遠くで子供が走っていた。
「ここが気に入ってるの?」とグレースが聞いた。
ニコラスはしばらく考えた。
「チームが気に入ってる」
「街は」
「……悪くない」
グレースは少し笑った。「それがあなたの最高の褒め言葉ね」
「そうかもしれない」
グレースはスカーフに手を当てた。碧いウールが、冬の日差しの中で光った。
「テリーのスコーン、持ってきた」とグレースは言った。バッグから小さなタッパーを取り出した。
ニコラスは少し驚いた顔をした。珍しいことだった。
「テリーの奥さんが焼いたのか」
「私が焼いた。テリーの奥さんに教えてもらって」
「母さんが焼いたのか」
「変なの」グレースは笑った。「もともとスコーンは私が最初に焼いたんだから」
ニコラスはタッパーを受け取った。蓋を開けた。温かくはなかったが、いい匂いがした。
一つ食べた。
「旨い」
「そう」グレースは嬉しそうに前を向いた。「テリーの奥さんのと、どっちが旨い」
「母さんの方」
グレースは何も言わなかった。でも口元が動いた。
二人で湖を見た。水面が風に揺れていた。
「ニック」とグレースが言った。
「何」
「次はどこへ行くの」
ニコラスは少し間を置いた。
「プレミア」
グレースはしばらく黙っていた。
「そう」と彼女は言った。「また遠くなるのね」
「うん、遠くなる」
「でも」グレースはスカーフに触れた。「行きなさい」
ニコラスはグレースの横顔を見た。
首筋のあざは、もう見えなかった。碧いスカーフの下に、完全に隠れていた。
「うん」と言った。
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十二月、ニコラスはスイスリーグの月間最優秀選手に選ばれた。
連絡が来たとき、ニコラスはドスサントスに「月間最優秀選手というものをもらった」と言った。
「知ってる!」とドスサントスは叫んだ。「二回目だろ!お前、毎月候補に入ってるじゃないか!」
「そうだったのか」
「知らなかったのか」ドスサントスは呆れた顔をした。「週間最優秀も何度もらったと思ってる」
「数えていない」
「俺が数えてる」ドスサントスは言った。「今季だけで週間が八回、月間が今日で二回だ」
ニコラスは少し間を置いた。
「そういうものは、ゾーイが気にしている」
「お前の代理人、仕事熱心だな」ドスサントスは笑った。
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ヨーロッパリーグの話をしなければならない。
ルガーノはグループステージを二位で突破して、ラウンド32に進んでいた。十二月の試合で、ニコラスはグループステージで六ゴールを追加していた。
ヨーロッパの舞台は、スイスリーグとは別の空気があった。
相手が違った。スウェーデンのクラブ、ポルトガルのクラブ、ギリシャのクラブ。どのチームもスイスリーグの平均より強かった。プレスが速く、DFの寄せが鋭かった。
それでもゴールは入った。
グループ最終節、ポルトガルのクラブとのアウェイ戦だった。
ニコラスがボールを受けたとき、DFが二人寄せてきた。速かった。スイスリーグとは動きが違った。でもニコラスの体が速かった。フィジカルで弾いた。
ペナルティエリア内、シュートの時間を作った。
右足を振り抜いた。
ゴール。
欧州の舞台でのゴールは、スイスリーグのゴールと感触が少し違った。うまく言葉にできなかったが、何かが確かめられたような感覚があった。
ここでも決められる。
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年が明けて一月、グレースがチェスターフィールドに戻った。
空港で見送った。
グレースが振り返って言った。「来てよかった」
「また来てよ」
「今度はいつ」
「プレミアに行ったら」
グレースは少し笑った。「プレミアのスタジアム、連れて行ってよ」
「連れて行くよ」
グレースはまた振り返って、出発ゲートに向かった。碧いスカーフが遠ざかっていった。
ニコラスはそれが見えなくなるまで立っていた。
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一月の移籍市場が動き始めた。
ゾーイから連絡が来た。
「プレミアから三件、正式な関心が届いています。一件は冬の移籍を打診してきましたが、またお断りしました」
「わかりました」
「来夏はかなり競合しそうです。今から準備しておきたい」
「何を準備するんですか」
「あなたはピッチで準備してください。私が残りをやります」ゾーイは言った。「ただ一つだけ。背番号の希望はありますか」
ニコラスは少し間を置いた。
「9番があるなら、9番がいい」
「わかりました」
少し間があった。
「ちなみに」とゾーイが続けた。「今季のリーグ得点ランキング、二位との差が二十点を超えました」
「そうか」
「そうです。しかもリーグ十七節消化時点での四十ゴールは、スイスリーグでも異例のペースだそうです」
「記録は気にしていない」
「私は気にしています」ゾーイは言った。「あなたが気にしなくても、記録はあなたを証明してくれます。スカウトが数字を見るから」
「ありがとう」
「どういたしまして」ゾーイは少し間を置いた。「三回目ですね、お礼を言うのが」
「数えてたのか」
「数えています」
ニコラスはしばらく黙っていた。
「覚えておく」と返した。
「ええ」とゾーイは返した。「覚えていてください」
電話が切れた。
ニコラスは窓の外を見た。
一月のルガーノは、湖が少し霞んでいた。空が白かった。チェスターフィールドの灰色とは違う白さだった。
四十ゴール。でもまだ十六節ある。
次の五十を目指すほど先は長くないが、まだやることがある。
グレースが「プレミアのスタジアムに連れて行って」と言った。
連れて行く。
そのためにも、まだやることがある。
ニコラスはスマホを置いて、ボールを持って外に出た。
一月の冷たい空気が体に当たった。
湖の方から、風が来た。




