表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ハピネス藤井

作者: せおぽん

「人間関係にお悩みのようですね」と俺が言うと、その婆さんは「わ、わかるんですか?」と言った。


そりゃ、わかるさ。 人生相談なんて人間関係に悩んでるに決まってる。


俺は、ハピネス藤井。スピリチュアルオーラカラー人生相談を生業にしている。ようはセコいペテン師だ。日本中の町を回って年寄り相手に人生相談を受けて金を貰ってる。


「実は、旦那が…」

「わかります。オーラカラーが淀んでいますよ」

「そうなんです、聞いてください…」


ちょっと相槌を入れば、勝手に喋り出す。少し落ち着いたら、こう言う。


「オーラカラーが本来の色に戻ってきましたね。澄んだブルーです。魂が落ちついてきたのでしょうね。あなたの思うようになさると良い。きっと上手くいきますよ」


「ありがとうございます。ハピネス先生!」


チョロいもんだ。たったの1000円で愚痴を聞いて貰えるなら彼女らも安いもんだろう。実際、愚痴を吐き出すだけで心が整理され問題が解決する事も多いもんだ。


こんな俺だけど、幼い頃は本当にオーラが見えた。


酒を飲み暴れる父の、不条理な怒りの赤いオーラ。

俺を庇う母の、悲壮な暗い紫のオーラ。


母は、父のDVから自身と俺を護る為に俺を施設に預け失踪した。



次の相談者は小さな婆さんだった。面持ちが暗い。このような相談者には、少し黙っておけば良い。


彼女は顔を伏せて言った。


「息子に謝りたいんです。息子は許してくれるでしょうか」


彼女の小さい身体から、悲壮な暗い紫のオーラが見えた。俺は震えながら彼女の肩に手をのせて言った。


「許すよ。母ちゃん…」


「幸一… なのかい?」


「そうだよ。幸一だよ」


母ちゃんのオーラが冷たい紫から温かいオレンジ色に変わっていく。覚えてる。優しい母ちゃんのオーラだ。


俺は、やっと探していた母ちゃんに会うことができたんだ。



俺は、ペテン師を辞めた。

今は介護の仕事をしながら、この町で母ちゃんと暮らしている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ