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第一章 第6話 激突!雷槍の騎士と筋肉魔族!!!!


 ウィストリア・ハイデンは、信頼が厚い重臣二十名ばかりの騎士達を引き連れ、人々が畏怖してやまない魔界の森へと進軍を開始していた。


 「とまれぇっ!!!」


 怒号のようなウィストリアの号令に騎士団は、一斉に動きを止めた。


 「何者だ!姿を見せろ!!」


 怒気を孕んだウィストリアの声に騒めく木々の合間から巨漢な魔族の男が現れた。

 無地のマントにクルクル眼鏡の半袖半ズボンの大男は、はち切れんばかりの上腕二頭筋と大胸筋を見せつけながら雄叫び始めた。


 「ふん!ぬぬぬぬぬぬ。フンっ!ぬぬゥゥウ。フン!ぬぬぬぬぬぬ。」


 「なんだ、こいつ!ふざけた真似を…」 


 若い騎士が怒りに声を震わせながら前に歩み出ようとした瞬間、左腕を伸ばし静止させた男がいた。


 「ここは私が……」


 馬から颯爽と降り立ち一人の騎士が大地に降り立った。長身痩躯に飄々とした凛々しい顔立ち。手入れの行き届いた愛槍のアルンダイトを片手に巨漢な魔族と対峙する。


 「このリシトリア・アーヴェンがお相手仕るっ!!」 


 「ふん!ぬぬぬぬぬぬ。フンっ!ううううう。フン!ぬぬぬぬぬぬ。」


 「…ゆくぞ。」


 リシトリアは、勢いよく突撃を敢行すると巨漢な魔族目掛けて長槍を鋭く突き出した。


 『ギィーーン!!』


 リシトリアの撃ち放った渾身の一撃は、強靭な魔族の肉体によって阻まれた。


 「ちぃっ!ならば!!」


 リシトリアは、後方へ大きく跳躍すると天高く槍を掲げた。


 「喰らえ!我が奥義!!!」


 リシトリアを中心に円形状の魔力が雷神の如き旋律を生み出し、眉間に太い血管を浮かび上がらせた。


 『竜神槍!!!』


 リシトリアの投擲した膨大な魔力を編み込んだ一撃が巨漢な魔族を強襲する。


 「……どうだ?」


 舞い上がる砂塵と共に無傷の魔族が強靭な肉体を披露しながら謎ポージングの姿勢を維持していた。


 「………フンっ!ヌヌヌ!フン!ぬぬぬぬぬぬ。フンヌゥゥゥ!!!」


 「ちぃっ…化け物め。」


 「なるほどな。リシトリア!ここは、お主に預けた!我々は、迂回して別ルートから城を目指す。では!ハッ!!」

 

 騎士団は、リシトリアを置いて道を引き返していった。


 「フッ、よかろう。そうでなくてはなぁ!!ゆくぞ!憎き魔族め!!!はあぁぁぁぁぁ!!!」


 リシトリアは、不敵な笑みを零しながら孤軍奮闘大柄な魔族と対峙し続けた。




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