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半年間一緒にいる予定のカロン達に国外へ向かうことを伝える

 散々な目をみてから朝食を食べ、既に疲れを感じつつも買い物に出ようとして、こちらへ向けられた視線に気づく。


「出掛けるの?」


「うん、買い物にね」


 不安そうにカロラインが尋ねてきたが、もしかして居心地の悪さを感じているのかもしれない。……朝から騒々しかったからかもしれんけど。


「……一緒に行く? ついでにブライタニアを案内するけど」


「「「行く」」」


 カロラインにだけ言ったつもりだったけど、メアリヤッカとフィルミーナも観光に興味あったのかもしれない。


「あたし達も一緒していい?」


 クレアカリンとサティシヤが聞いてきたが、俺がダメと言える雰囲気ではないんだよな。


「1人で相手しきれないし、手伝ってくれると助かるよ」


「具体的に何をお手伝いすれば宜しいでしょうか?」


 まるで一緒に付いて来る気満々のユカルナに苦笑する。


「ユカルナ。留守番を任せるよ」


「いえ、わたしは主人の傍に置いてください」


「俺の手伝いとして留守番をお願いしたいんだが……ダメか……」


「!! ……了解しました……」


 露骨にしょんぼりするユカルナに5人が同情の視線を向ける。


「では、主人のベッドの中で戻りをお待ちしております」


 その同情の視線は一瞬にして軽蔑の視線へと変わる。


「はーい、ユカルナはわたしと一緒に留守番をしましょうね~」


 そう言いながらマオルクスはユカルナを何処かへ引っ張っていきながら、バチコーンとウィンクをかます。


「ふふ、マオルクスちゃんは可愛いわね」


「そうね。とっても良い子」


 カロラインとフィルミーナがそう話す姿をクレアカリンとサティシヤが生暖かく見守っている。……まぁ、ずっと8歳児くらいの体型だし、年上とは思わないだろうなぁ。


「とりあえず、今の内に行こうか?」


 結構な大所帯ではあるが、イーベルロマ出身者のみで行くブライタニア観光へ出発した。




 初めてブライタニアに来た3人のために有名どころを案内しつつ、買い物をする。今回は長い事買い物できない可能性を考慮して、大量に食料等を購入する。


「あのぉ、サクリさん。どうしてサクリさんのチームは女性ばかりになったのですか?」


 ……俺だって聞きたいくらいなのだよ。


 フィルミーナの問いにどう伝えたら良いものか少し考える。


「最初は1人で動くつもりだったんだよね、実は」


「そうだったんですか?」


 それに驚いたのはサティシヤだった。


 サティシヤも初めの頃に比べたら、かなりお互いの事を知って信頼し、関係も深まったと思われる。……俺だけがそう思っていたらどうしようとか思うけども。


「フィナも知っての通り、サティと一緒に島を出た。その時に実はサティは直ぐに両親のことを調べに行くと思っていたんだ。でも、彼女から一緒のチームで冒険者をしたいって言われて、初めて彼女が旅をする準備ができていないことに気づいて、別に困らないから了承をしたんだ。実際、めっちゃ助かったしね。……まぁ、その直ぐ後にクレンが待っているとは思わなかったし、そのクレンも女だとは思っていなかったんだけどさ」


「「「それはそう」」」


 フィルミーナだけでなく、カロラインやメアリヤッカもそこは同じだよな。


「それは悪かったって」


 クレアカリンもその件に関しては苦笑しつつも謝るのみである。


「3人でチームを組んで、一緒に冒険者登録して……しばらく3人で金策をって感じで考えていたんだけど、ブライタニアに来た初日に色々あって、マオ、ユミー、シオチが仲間に加わることになっちゃって。……もうその辺りから俺以外の男性冒険者を警戒するような流れにはなっていたかもしれないなぁ」


「あ~、サクリさんが女性を集めたかったわけでなくて、仲間に入っていた人達が男性を警戒したんだね」


 カロラインが理解してくれたことで、周りの疑いも晴れたようだった。


「そんな感じ。実際、男の冒険者が仲間に加わりたいと言ってきた時もあったけど、断られたことがあるんだよね……そういえば話変わるけど、滞在している間はメアも仲間に加わるようなこと言っていたけど、具体的にどのくらい滞在するのさ?」


「一応、半年くらいは居て良いって言われているけど……」


 ……半年か。思った以上に長いな。


「お父さん達はね、負い目があるの」


「負い目?」


 メアリヤッカとの会話にカロラインが入って来る。それをメアリヤッカが生暖かな視線を送っていることに気づき、彼女は恥ずかしそうにしていた。


「うん。サクリさんの冤罪について何度も話していたのに聞く耳を持てなかった自分を恥じているのと同時に成人したばかりの子を結果的に村から追い出してしまったって懺悔してた」


 ……牧師さん、割と初期から俺を嫌っていた分、自己嫌悪酷そうだなぁ。




「半年か……うーん」


「どうしたの?」


 カロラインが考えている俺の視線に割り込んできて思考が強制中断された。


「実は俺達、デンドロムへ向かうんだ」


「「「えっ?!」」」


 3人の声が重なる。


「だから、正直このタイミングで会えたのは本当にラッキーで、もう少し遅かったら本当に会えなかった可能性があったんだよね」


「そうだったんですか?」


「実際、次に街から出る時はしばらく戻らない予定だったから」


 カロラインは露骨に戸惑っている。


「半年間、一緒に過ごせると思って楽しみにしていたのに……」


「デスヨネ……だから、どうしたものかと考えていてさ」


「しばらく戻らないって、どのくらいの期間になりそうなの?」


 メアリヤッカも困惑気味に尋ねるが、その気持ちも理解できる、常識的に冒険者という存在は1つの国にアジトを構え、人脈を広げつつ仕事をしていくのがセオリーである。それこそ、国を出ていく冒険者は何かやらかした後だという偏見すらあるものだ。……普通は。


「うーん。多分2年くらいかなぁ。1年以上は戻らないことは間違いない」


 メアリヤッカも俺が悩んでいた理由に思い至ったようだ。


「そんなに長く国を離れて、サクリさんは何をするの?」


「これはカロンにも前に話したことなんだけど、俺の冒険者になった目的って世界を見て回る……は現実問題難しいとして、大陸にある国々を見て回る事なんだ。だから、元々グアンリヒト王国に留まる予定はないんだ。それだけが目的であれば半年後に出発でも構わないんだけど、『邪竜討伐軍』によって助からなかった人達の一部でも助けて回るって目的もできたんだ。だから、『邪竜討伐軍』に見つからないように後を追いかける」


「……見つからないように?」


 フィルミーナの質問に答えたことで新たな疑問が生まれたようだけど、それも仕方ない。


「俺達は絶対に『邪竜討伐軍』へ入りたくないからね。……それで話を戻すけど、メアが仲間に加わるということは付いて来るという意味になっちゃうんだけど、3人はどうする? ブライタニア観光を満喫するか、それとも俺達に付いて来るか……?」


 それは主にメアリヤッカに向けられた言葉だった。




「「「……」」」


 3人とも即答できずにいた。……まぁ、それもそうだよな。想定外の出来事に即決断できる人というのは少ない。特に思考が深い人ほど即決即断は難しい。


 俺も即答を促すことはせず、街の案内を続ける。


「ねぇ、サクリ君。素朴な疑問なんだけど……」


「ん?」


 メアリヤッカからの質問は彼女達の決断には何ら関係ないものだった。


「サクリ君達のコテージって北の広場に設置されているでしょ?」


「だねぇ」


「でも、広場って東西南北それぞれに存在していて、サクリ君達は間違いなく東門から入ってきたと思うの。何故、北門に設置されたの?」


 俺には彼女の質問の意図が解らなかったが、もしかしたら本当にふと感じた疑問なのかもしれない。


「あ~。確かに俺達は東門から入ったんだけどね。あまり東側の衛兵に良いイメージが無かったんだよね。元々北の広場にユミーが店を構えていたというのもあったから、北の広場が拠点になった感じかな」


「東門で何かあったの?」


「初めてブライタニアに来た時に道を教えて貰おうと衛兵に声掛けられた時、田舎者だからってことで騙されそうになったんだよね。まぁ、アミュタのおかげで何も無かったんだけど。でも、それが原因であまり良い印象を持てなくて」


「……そっか。実はわたし達も昨日、東門から入ったんだけど、あまり良い印象抱かなかったんだよね。サクリ君もそうだったんだ」


「うん。その原因は結局コネの問題だったんだ。特に田舎から出てきた者は揶揄ってやろうって輩が少なからずいるっぽい」


「うん、今ので決めた。わたし、デンドロム王国にも付いて行くよ。コネの無いわたし達だけでブライタニアに滞在するのって、やっぱり危険だと思うし。……2人とも良いよね?」


 メアリヤッカの問いにカロライン達も嬉しそうに同意した。




 コテージに集結した昼食時にメアリヤッカの期間限定でのチーム入りに対し反対する人がいるかを確認したが、結果は全員賛成ということでメアリヤッカが正式に仲間に加わった。


 カロラインとフィルミーナは14歳と未成年なこともあり、旅には同行するが冒険者としての仕事はNGということで、仕事の時は留守番することを約束させた。


 午前中の内に買い出しを終えた俺は、食事を終えた後を部屋の中で過ごす。


「あの、サクリ様。何故、昨日来た3人の雌個体を仲間に受け入れたのですか?」


「まぁ、3人が自分で決断したからかなぁ」


「サクリ様はもう少し自分の命を大事にして下さい」


 ……ルーチェが叱ってくれるのは嬉しい反面、申し訳なくも思ったりする。


「確かに昨日から考えると、旅の同行者は5人も女性が加わったことで確実に生命の危機は近づいているとは思うよ。まぁ、ユカルナがそのカウントに含まれるかまでは謎だけど」


 ユカルナは女性型の身体をしている。とはいえ、彼女はオートマタ。厳密には性別が存在していない。だから、女性カウントされるかは謎なんだよな。


「でも、カロン、フィナ、メアの3人は村に居た時に色々助けてくれた大恩のある人達。彼女達が望むことを俺には断ることができない。むしろ、望みはなるべく叶えてあげたいとも思う」


「……でもぉ……」


「それに手遅れなんだよ。好かれても、嫌われても、関わった時点で女難は発動する。相手の女性に悪意が無くとも、その女性の意思に関係なくね」


「そんな……」


「大丈夫。俺は1人じゃないから、多分何とかなる……多分ね」


 絶対と言い切れない辺り、俺もまだ女難の脅威に対しビビッていた。


「それでも、もう少し自分の命を大事にしても良いと思います」


 ルーチェにしてはハッキリと断言する。普段は遠慮というか、自分の意思を押し付けるような言い方をしない彼女にしては珍しかった。……まぁ、妖精だって心があるのだから感情的になることもあるだろう。


「ありがとう。でも、多分俺の意思ではどうにもできない……それは前世で証明されているからさ」


「……そんなの変です」


「えっ?」


「何故、雌個体達はサクリ様の仲間になりたがるのでしょう? 違和感があります」


 ……そう言われてもなぁ……その理由は誰にも解らんと思うのだよ。

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尚、5日間連続投稿4日目+本日中にあと3回投稿します!

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