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ベダシオン城で女王に求婚されて、推しに強襲される

 幸いにも、城の中に入る事は許可された。……いや、ゴールド級にもなると城に入れて貰える事は理由がある限り許可が得られるのが普通なんだけどね。


 ここはアスパラオウム王国。ゴールド級とはいえ、国外の男が簡単に城に入れない可能性は充分あると考えていた。……いや、知らんけどありそうじゃね?


 ……仮に入れなかったとしても仕方ないで済ませる予定だったけれど。


「流石アスパラオウム王国の城ですね」


「そうね」


 城内の給仕はもちろん、兵士も女性のみ。城に用事のある人達には男性も含まれていたが、主と思われる女性の傍を片時も離れない。


 かくいう俺も前後左右囲まれている。滅茶苦茶警戒しているのにも理由がある。カナエアリィとアッツミュ、ユイディアですら城内入りを認められなかった。許されたのはチームリーダーの俺だけ。……何かあるのかもとみんなが心配してくれている。


「それにしても不思議ですね。何故サクリさんなのでしょうか?」


「それ、わたしも考えてた」


 俺の前を歩くアオランレイアの問いにエルミスリーも同意する。そして、俺も内心同意していた。


 護衛メンバーとして伝えたのは4人。その中でカナエアリィは魔法使いではないので理解できる。リリアンナも【歌唱士】故に魔法使い扱いされない可能性はある。……いや、魔法だけどね。アッツミュは銀眼差別から拒否された……とは考え難いが可能性はある。それでも、俺よりはユイディアの方が城内護衛としては相応しいと判断されると思う。


「こちらで少々お待ち頂けますか? 順番が近付きましたら迎えに参ります」


 メイドが小さな部屋へ案内すると深々と頭を下げて離れていく。


 ここから酷い場合は長い時間待たされる事もよくある話らしい。


「うーん……思ったのと違ったな。城内を自由に見て回れると思ったんだけど……」


 待っている時間散策しようと考えていたのに、予定が狂ってしまった。




「お待たせしました。ご案内致します」


 先程案内してくれたメイドが迎えに来た。待ち時間は1時間を少し過ぎたくらい。……ちなみに当日申し込んだ割に別格な対応速度だという。


「では行って参ります」


「いってらっしゃい」


 アオランレイアに手を振る俺だったが……。


「いえ、サイファリオ様もご同席お願いします」


「え?」


 ……拒否権、無いよな……。


「……わかりました」


 正直拙い。公式な謁見に作法は大事。以前は寛容な対応のおかげで助かった事が多々ある。ましてや今回は謁見する気が無かった。女尊男卑の国故に俺に対して厳しい対応をされる可能性は充分にあるだろう。


 ……いや、こういった事態が予想できるなら事前に備えなかった俺が悪いと思うよな? でも、現実は備える時間的余裕なんて無いんだよな。


 色々考えつつも、時すでに遅いわけで。


「……どうぞ、お入りください」


 ……おぅ、初めての公式での謁見だ……こうなったら極力頑張るしかない。


 中に進んで、周囲を判らないように見る。だけど、女王の姿だけは長めに見てしまった。


 ……可愛い。


 女王様は美しい……そう思いがちなのだが……いや、ある意味美しいかもしれないけれど、俺の美的感覚だと可愛いんだよなぁ。


 別に低身長童顔ロリという訳では無い。むしろ大きい方だろう。ただ、愛嬌のある幼い感じのメイク。尻まであるサラサラの髪。スタイルもモデルのようではある。……まるでグラビアアイドルのようでもあった。


「遠方からご苦労でした。改めて要件を伺います」


 威圧的ではない。俺の知る女王より物腰が柔らかいと思う。


 官職の方達……主にアオランレイアとエルミスリーが話をしている状態ではあるが、予想に反して女王は要望を受け入れていた。


「なるほどね……わかったわ。直ぐに手配しましょう……宰相」


 しかし、俺達は既に情報収集で知っている。人当たりの良い人が甘い人とは限らない事を。




 暫くみんなが話し込んでいると宰相が誰かを連れてくる。宰相自らが選んで連れてきた訳ではないだろうけど、ムスッとしていて印象は良くなかった。


「貴女は……サユリシアでしたね?」


「はい、サユリシア=ハーコットです。御用でしょうか? 女王様」


「えぇ。貴女なら信頼できます……皆様、ご紹介します。彼女は【司術官】のサユリシア。個人的に気に入っている優秀な若手です。彼女の修行も兼ねて連れて行ってください」


「……はい?」


 素っ頓狂な声をあげたのはサユリシアだった。……声、可愛い?!


「恐れながら女王様。聞いておりませんが?」


「あら? それはいけないわね。……ごめんなさい。でも、貴女なら大丈夫」


 ニッコリ微笑むが圧を放っているのは俺でも判る。


「なるほど。拒否権は無いのですね」


 ふぅ……と多分溜息を吐く。不思議な事だが声補正なのだろう……割と不敬な事をしていると思うのだが、そうは聞こえない。


「えぇ。お願いね」


「そんな訳ですので、申し訳ないですがお世話になります。皆様もこのクソ女王様にわたしのような者を押し付けられて不快かもしれませんが、ご容赦下さい」


 そう言って、深々と頭を下げる。……もう不敬を通り越して暴言だと思われる。


「もう、サユリシア。お口が悪いですよ? 国外で良い殿方を連れてきなさい。粗暴な貴女を知られない内にね」


 ……言い返しただと?! いや、言い返された程度で済んだ事が寛容な処分と言うべき?


「あの、女王様。不敬罪という事で謹慎を申し付けても構わないんですよ?」


「いえいえ。わたしにも非はあります。この中での暴言は不問にしましょう」


 2人ともニコニコしているが、バッチバチにやりあっているのは誰の目にも明らかだった。


 チラッとサユリシアを見る。……彼女の表情は明らかに絶望していた。




 ……話はこれで終わりかな。無事やり過ごせた……。


 内心、ホッとしていた。


「さて、お待たせしましたね、サイファリオ様」


 ……はい?!


「はい、冒険者のサクリウス=サイファリオです」


「えぇ、存じています」


 そう言って女王はクスクスと笑う。


 ……仕方ない。俺は正直テンパっている。やり過ごせたと油断していたのもある。


「ねぇ、サイファリオさん。貴方、ユニーク職って本当?」


「はい。【妖精操士】を賜っています」


「どういった天職なの?」


「はい、契約を結んだプルーム……今はプリュメリアに進化しましたが、彼女達に魔法を使って貰うスキルを有する天職です」


 ……細かく説明する必要はないだろう……一応全部事実だし。


「うん、素敵だわ。ねぇ、サイファリオ様……いいえ、サクリウス様。是非わたしの4番目の旦那様になって頂けないかしら? 不自由な思いはさせないわ」


「……はい? ……いえ、失礼しました。大変光栄な事ではありますが、申し訳ありません。自分は冒険者稼業を……大陸を巡る旅を愛しています。ですので、分不相応な事は重々承知しておりますが、お許しください」


「残念です。……でも、仕方ないですね。もし、気が変わりましたら、いつでも来てくださいね。いつまでもお慕いしております」


 女王は笑顔で言ってはくれたが……彼女の目が笑っていなかった事に気付いてしまった。




 とりあえず、無事に謁見の間から出る事ができた。


 ……拙いな。逆鱗に触れたか?


 いや、でも勘弁してほしい。確か母さん……実母より年上のはず。もしかしたら、結婚云々は戯言で別の目的があったのかもしれないけれど。


 不幸中の幸いは結婚云々の話の前にエルミスリーから、亜人種が収容されている施設が王都には存在しない事を聞くことができた事だった。


 ふにゅん。


 いや、実際にそんな擬音が聞こえた訳ではない。でも、圧倒的に柔らかい何かが腕を包んだ。そして、遅れてガシッと掴まれる感触。同時にフワッと甘い香りが鼻腔を擽った。


「え?」


「えへへ」


 満面の笑みを浮かべる少女……間違いなくアヤネルヴァ本人。腕がズッポリと胸の谷間に埋もれていた。


「行こう」


 彼女は強引に俺の腕を引っ張っていく。ゲーム以上の迫力に圧倒されていた。


「……皆様申し訳ございません。アレは第二王女にしてアホの子。アヤネルヴァ様です」


 引っ張られ、みんなから遠ざけられる中、「引くわぁ」というサユリシアの声が聞こえた。




 ……困った。非常に拙いが絶対外せない。そんな惜しい事できん……。


 されるがままに引っ張られる。誰も追いかけてくれないのは、相手が王女様だからなのか、俺の鼻の下が伸びきっているからなのかは、今となっては判らない。


 ……あっ。


 ふと閃いてしまった。予知夢の内容……そもそもトゥーベントで見た予知夢は『竜騎幻想』準拠の内容で、「変わったから見せない」といった演出はされていない。……なら、単に夢の中でプレイしている人物がアヤネルヴァに関心が無かっただけとか? ……いや、まさかね。


「楽しいね~!」


 彼女は上機嫌に抱き着いた腕を引く。改めて、可愛いは正義ではなく凶器だと悟った。

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