プロローグ
幻想郷において異界のものがもたらす影響は、必ずしもいいものとは限りません。ときにはその影響などによって幻想郷が歪んでしまったり崩壊したりする危機に瀕することがあります。
こうした事件を異変と言います。そして、異変が起きた時にそれを解決するために乗り出す人たちがいます。
その中でも、昔から代々異変の解決と妖怪退治を生業とし、異界と幻想郷の境界である「博麗大結界」を管理する人たち。それが、博麗の巫女なのです。
わたし、博麗伶華は、先代さまからの修行を終え、巫女になったばかりのひよっこです。
博麗の巫女の普段のお仕事は博麗神社の清掃と定期的に行う結界の綻びのチェック、たまに来る来客の対応です。
といっても、基本的に神社はホコリが溜まること以外には汚れませんし、結界も丈夫なものなのでほとんど問題はありませんので、来客をテキトーにもてなす以外は、昼寝したり、お茶を飲んでいるくらいしかやることはないと、先代から聞いたことがあるくらいです。つまり基本的には暇です。
以前はなかなかに忙しい副業もしていましたが、今では完全に全自動で行えるようになってやることがなくなってしまいましたし、その仕事で生活費が稼げていますし、
下手にやめられるような仕事でもないのでどうしようもないのです。なのでいつもはお茶を飲みながらまったりとしています。
そんなある日のことです。いつもどおり神社の縁側でお茶を飲んでいたわたしの元に、ひとりの来客がありました。