怪人と魔法少女②
朝に早めの投稿。
「助けてはーちゃん、助けて」
私をオタクにした作品の主人公に助けを求める言葉を口にする
ほど、私の心は恐怖に埋め尽くされていた。
マジでどうしろっていうんだ、知人であるとはいえ
不法侵入者であるにもかかわらず割とちゃんとした朝ご飯を
作っている爽さんを見ながら私はそう思った。
「ふんふーんふふふふーん♪」
鼻歌まで歌っている。目に見えて上機嫌だ…!
はーちゃんに関しては怪人バレする前、友人関係を深める際に
好きなゲームキャラとして話しているので誤解される可能性はない…
が、マジで怖い。
だってさっき扉を見たら壊れてるのかな、とか
ピッキングされてるかなとか考えてたら。
扉は無傷、ピッキングの形跡もなし。
窓とかから侵入されたかなと思ったら
その辺も同じように侵入された形跡はない。
その上、爽さんに聞いたら昨日家に行ったら
私がそのまま家の中に入れてくれたというのだ。
昨日の記憶を探ってもそんな記憶は一ミリも存在しない。
一瞬元同僚で、なんでか趣味が異様に合った催眠怪人を思い出すが、
アイツは幹部であったがゆえに魔法少女と敵対し
撃破されたと聞いている。
私が素面で爽さんを通すわけがないので
何らかの手段を用いられたのは間違いないが
それがわからない以上警戒が解けない。
このままじゃ気が滅入りつづけるだけだと思い、
気分を変えようと窓を開けると…
「やっほ」
顔見知りが見えたので即刻閉めた…
が、出力が違うので容易に止められ
その勢いで部屋に侵入され、謎に決めポーズを取った。
「生きてたの?何で今来るの?何で窓なの?」
「なぜなに期の赤ちゃんかドっさん」
「はぁ~????催眠おねえさんがよぉ…!!」
「歌のお姉さんみたいに言っちゃだめじゃない?
私一応足洗ったから悪ではないんだけど、
そこはかとなく悪を感じる言い方止めて欲しいな~☆」
死んだ?前言撤回だ、こいつが死ぬわけなかった。
そもそもこいつ記録映像まで催眠かけて情報抹消できる
やべー奴だったので当然記録を偽装して何とかしたのだろう、
この存在してはいけない発禁女が…!
「ああもう!なんで今なんですか!?」
「今だからだよ、ドっさん」
そう言うと催眠怪人…シンフォルニアスは
こちらに掌を向け…
「あっぶなぁ!!!」
られる前に回避する。
危ない、ニアスさんの能力は眼前に掌をかざした相手の
記憶を改竄する能力。実際のところは本物の記憶に
メッキをかけるような形で書き換えるようだが
かなり強力な能力であり、当然対策なしでは勝てない。
つまるところ今は分が悪い…!
相手はこちらを一撃で戦闘不能にできる、こちらは決定打が存在しない。
どうしようかと思っていたら、私の背後から
閃光がニアスさんに向けて放たれる。
「何故、貴方がここに?」
部分的に魔法少女の能力を行使した状態…
会社の奴ら曰く花片行使と名付けられた
能力を使用した状態の爽さんが、ニアスさんを睨みつけていた。
「あらら☆こりゃ予想外!まーさか緑ちゃんがいるとはねぇ!
でもこっちも準備は万全なんだよねぇ~!」
そう言うと、ニアスさんは地面に何かを投げつけ
投げつけられた何かが爆発し、煙幕が展開され視界が奪われる。
「これはな…」
なんですか、と言い切る前に私の意識は闇に落ちることになる。
◆◆◆◆◆◆◆
「うーっふっふっふ!緑ちゃんがいることも想定済みさ!
なんなら全員いても良かったけどね!」
「っ、何をぉ!」
私は煙幕を振り払い、完全に魔法少女形態へと変身すると
メインウェポンのクロスボウをシンフォルニアスに向けて撃つ。
「あらら、怖い怖い。でもその程度で勝てるのかな~?」
いちいち気の障る言葉遣いだ…早く黙らせよう、
ナツさんを助けて褒めて貰いたいし速攻で決める。
そう思いながら必殺技を放とうとするが…
「っあ…」
「散らしたからってな~に~?
少しでも吸っちゃったらこっちの勝ちなんだよ。
残念でした、私の勝利は確定だよ」
甘かった、長い間戦ってきた経験で
少しだけ猶予があっただけだったようだ。
私の意識は闇に落ちかける寸前で踏ん張っている…が
もう少しで私の意識は失われるだろう。
「ははっ、あっけないね…勝者の余裕で教えてあげるよ。
私は君たちの敵じゃない。ただ、ドっさんに思い出して貰いたいだけさ」
「…なつ、さん」
私の意識は、答えを返せずに意識を落とす。
さーて不穏を演出していけー
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