閑話:藤原爽の想い
率先的にヤベー奴の話は消費していこうか!
私は藤原爽。「五花の魔法少女」だ。
魔法少女になる以前、私の世界は灰色だった。
代り映えのない授業、代り映えのない生活。
…そして、今思えばなんてことなかったいじめの日々。
そんな生活を続けていて、ついに私の心は爆発したのだろう。
私は、家出したその先で自殺しようと考えた。
何故って?人生で死ぬ場所を選べるなら、
自分の一番好きな場所で死にたいと思わない?
少なくともその時の私はそう思った。
そして、バスに乗っての移動中、意識を失い気づけば
科学者、といった風体の男から
「お前はもう怪人だ」といった感じのことを言われた。
そう言われて、壊れていたものがさらに壊れた。
私は人間じゃない、もう普通の生活に戻ることすら叶わない。
そんなことを言われて、私の心の中に「あいつらに復讐してやれ」
と悪魔がささやく。
そんな私を見て、科学者は笑みを浮かべながら部屋を出た。
思考を読み取る機械でもあるのだろうか?
まぁ、そんなことを考える必要は、もうないのだろう。
なにせ私は怪人なのだ。ただ人を傷つけるだけのモノ、
たったそれだけのために存在するモノ。
それだけでいいのだ、これまでよりもはるかに簡単だ。
そんなことを考えていると、突然壁が破壊され、そこから女が出てきた。
暗くて姿はあまり見えないが、女である、ということはわかった。
あぁ、うるさい。もう私に考えさせるな。
「大丈夫…助けてあげるね…」
そう言って、拘束を引きちぎろうとした瞬間
私の中を怒りが埋め尽くす。助ける?お前が?
今まで大人は何もしてくれなかった、両親に相談しても
仕事があるからと突っぱねられ、先生に相談しても
「ただのじゃれ合いの範囲だろう?そんなに騒ぎ立てるほどでもない」
と確かめすらしてくれなかった。
そしてたかが赤の他人のお前が?助ける?
「ふざけんな!!」
そんな声に驚いたのか、女はたじろく。
「てめぇら大人のことなんざこれっぽっちも信用できねぇよ!
あ゛ぁ!?いままで助けてくれなかったくせに有事になったら対応か!?
ふざけんな、私のことなんて誰も見てないくせに!!」
そんな私の思いを叩きつけたが、女は退かなかった。
「あなたは…苦労してきたんだね…」
その言葉に、またも怒りがこみあげてくる。
またも暴言を吐こうと口を動かす前に、女が喋りだす。
「もう、頑張らなくてもいいんだよ…
貴方を阻むものはもうなにもない、自分の道を進んでいいんだよ…」
そんな言葉を聞いて、私は沈黙していた。
私は、人間でなくなったことをデメリットとして見ていた。
でも、それは違った。
私は怪人なのだ。おかしなヒトの変わり者。
怪人として生まれ変わったのなら、私の。「藤原爽」としての人生は
終わったのだろう。
だから、私を縛るものなんて一つもない。
親も、いじめっ子も、先生も。もう誰にも
私の人生に干渉することはない。なぜならもう別人だから。
そんなことを、言われた気がした。
そんな考えに行きついて、私の口から自然と言葉が出てきた。
「私を自由にして…」
「うん、私が助けてあげる」
そういうと、女は私の拘束を引きちぎった。
そして、私は自然と尋ねた。
「貴方の名前を…教えてください」
そう言われ、女は返す。
「影山夏」
影山夏。それが私を助けてくれた人の名前。
その時だろう、私がナツさんに恋をしたのは。
私は感謝の思いを抱きながらその場から逃げ出すのだった。
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