7話「ハマっちゃっていいですか?(決闘)」
また遅れました。すいません。
『ウォーーーーーーーーー』
私と浅見の戦闘が始まると同時に周囲の緊張が解け、歓声を挙げ始め。
決闘は1vs1のバトルであり、他人に攻撃を与えてはいけない。守らなければ反則負けになる。
そのため他の人々は関係がないことを盾にして、野次を飛ばすのだ。
「チッ」
私が舌打ちをしたのを聞いた浅見は、
「そんなことに気にするとは…まだまだ未熟ですね!」
煽りながら、また瞬間移動して私に近づいた。だが、
「全方位回避!」
私は浅見の拳の連撃を全て避け、浅見の顔面に拳をぶつける。
周囲の皆は「ウォーーーー!」と声をあげた。
「全方位回避」は全方位からの徒手空拳による攻撃をよける確率を上げる。要するに回避率UP技だ。
「やりますねぇ!」
鼻血を出しながら浅見は笑った。
「さぁ、来い!」
私は自分の技が鎖と剣のメンバーに通用することに少し驚いたが、おかげで緊張が溶けた。
先ほどとは違い、浅見が私の後ろに瞬間移動して攻撃したが私はその攻撃すら避ける。
肩の力が抜けたことで、「全方位回避」の成功率も高いようだ。
避けた際、浅見がふらつき少し隙が出来たことにより
「うおりゃ!」
私は本気で殴り倒した。浅見は地面に頭を打ち付ける。
『DOWN!!1、2…』
周囲の生徒達がカウントを始めるが、浅見はすぐに立ち上がった。
「少しみくびりすぎでしたね。私も本気で行かせてもらいます!救理鼓!」
浅見は救理鼓(全回復魔法)を使い、一瞬で直した。
「回復魔法もつかえるのか!?」
私は驚きすぎて開いた口が塞がらない。本来、回復魔法を使うものは聖法、歩方、斬撃のすべての能力値が最低値になり、まともな戦闘は出来ない。なのに浅見は瞬間移動ができる。どういうことだ?
「行きますよ!過回復!」
浅見は私に目掛けて魔法を飛ばした。私は素早く避けたが、
「無駄ですよぉ!」
飛んできた魔法は方向を変え、避けた私を追い続ける。
「グハァ!」
私の背中にボーリングの玉がぶつかるくらいの衝撃が走る。私はそのまま床にうつ伏せで倒れた。
『Down!!1、2、3、4、5、6』
観客のカウントに腹をたてながら私はなんとか起き上がる。しかし、
「な、なんだ、ぐっ、」
私のダメージが増え続けている。
「どうです?俺の過回復のお味は?ゆっくり味わってください。」
浅見は一歩も動かず、私を見下し気味の悪い笑みを浮かべる。このままでは負けてしまう…なにか、攻略法は…ん?なぜ、今浅見は動いていないんだ?もしかして、動かないのではなく、動けないのでは?
試しに、私は自分の周囲、及び自身にかかっている魔法を封じる結界『魔防闘封』を使い過回復の能力を解除しながら、自分に回復アイテム『朝顔』を使い8割ほど回復する。
「チッ」
浅見は舌打ちをした。どうやら浅見には回復魔法を使える代わりに動けなくなる制約でもあるのではないか?
「背灰!」
私は始めのDOWNの時に浅見の後ろに仕込んでいた灰と私の位置を瞬時に入れ換え、首を狙い拳をつき出した。
浅見は背後の私に気づき、振り返ると同時に
バキャ
私の拳は浅見の顎にぶつかり、浅見は顎を砕かれたままステージの壁に強く当たり、そのまま倒れこんだ。
「やっT」
私が勝ちを確信したその時、
『後ろの正面だーれ』
振り向くと、後ろにはデカイ塊が私の顔面にかすった。幸いにも右頬にかすった為、鼻を潰されなかった。
『私を怒らせましたねぇ』
私は今攻撃した対象を見たが、浅見がもういない。代わりに今攻撃した怪物が私を睨んでいる。怪物はどことなく竜と人間が合わさったような形をしていた。どうやら浅見はDOWNギリギリで覚醒し変化でもしたと思われる。化物いつもの悪役みたいな声がしたのでおそらく浅見であるが、外見からは全く見えない。唯一の共通点はメガネをかけていることくらいだろうか。
『久しぶりに私の能力の適応者をみつけた。この姿になるのも4年ぶりだ。』
自分の拳を握りながら私を睨んだ。
『今の私は阿武7000くらいか?』
浅見は何やら変なことを呟いた
「阿武?」
私は聞いたことがない。
『阿武も知らんのか。やはり人間は知識がゴミ以下のようだな。』
浅見はまた見下すように私を見つめる。
「まあ、お前も半分人間だけどな。」
私は回復用のカ□リーメートをかじりながら、正論をぶちまけた。
『あ?』
痛いところを突かれたのか、浅見は怒りを露にして地面を踏み砕いた。まるで凍った水溜まりのように地面が粉々に崩れたのを見て、他の生徒達のヤジの音はなくなり、一瞬にして周囲が凍りついたように静かになった。
『ブッ殺す!』
怪物となった浅見は素早さを活かして分身して私に向かって来るが、私は浅見をヒラリと避けた。浅見は避けられると思っていなかったのか、少しふらつく。
「ブッ殺すのは私の方よ!」
私は突進してきた浅見に右足で蹴りを入れた。しかし、
『無駄だよ』
浅見は私の蹴りを人間の顔よりも大きな手で防ぎ、私の足を強く握った。
『これで右足は潰した。』
そのまま私の足を握りつぶそうとした。右足はもう別の方向に曲がっていた。
「痛い痛い!…何てね。」
私は痛がった振りをして、
「代牢」
右手から封印魔法を繰り出した。
『な…ぜ…右足を…握り潰されていて…魔法が使える…痛く…ないのか…』
浅見は封印魔法を全力で防ぎながら、驚きと疲れを隠せていない。どうやらこの姿になるのも限界があるらしい。
「お前が握っているそれ、なんだと思う?」
私は煽りながら言った。浅見の握っていた足は灰になり、私自身も灰になって原型が崩れていく。浅見は封印魔法を防ぎきり息を切らして言った。
『変わり身の術…か?』
私は浅見の真上の天井から降りた。
「正解!最初から灰と戦わせていたのさ。」
この能力は私の個人技能『灰像出姿仮』である。
『灰像出姿仮』は灰の分身を作り出す技能で、魔聖歩斬の どれにも該当しない。というのも、魔法でも灰を自在に動かせるのだが灰の粒子1つ1つを動かすのは不可能といっても良い。私は灰全体を一つの塊(粘土のような感じ)で操ることができる。実は始めに震えていたといっていたが、少し手元を誤らせただけである。
「鎖と剣と戦うのに警戒しないわけがないだろ?」
私はボロボロになり立ち上がれない浅見を煽る。浅見はそのまま倒れこんだ。
『D、DOWN!1、2、3、4、5、6、7、8、9』
誰もが10カウントを数える刹那、化物に変わり果てた浅見はまたもやその場から消え失せた。
そして、私は気づかないうちに浅見そっくりの3人に囲まれていた。
「かーごめかごめ、かーごのなーかのとーりーはーいついつでーあーう。後ろの正面だーれ」
私を囲んだ3人の浅見(?)は、私を囲みながら周囲をぐるりと回った。
これから、私への地獄が始まった。
千田「まだ戦闘終わんねーのか?かったりーな」
夕凪「まぁそう言うな。俺たちは次回からでるからよ。」
作者「なんか戦闘シーンて、かっこよく書くの難しいよね。」
夕凪「さて次回は、俺たちのほかに脱落してない奴らが登場。浅見の真の目的は…」
作者「おい、何かはんN」
夕凪「次回『ハマっちゃっていいですか(脱出)』」
作者「…↓の星で評価してもらえると嬉しいです…」