6話「ハマっちゃっていいですか?(裏)」
また遅れてしまい、申し訳ない。
皆さんこんにちは、波霧亜水です。
現在、私は凶歩ウェスト学院の体育館に軟禁されています。
あの北見に飛ばされた後、この出入口が封鎖された体育館に再び飛ばされたのです。
ちょっと何を言っているのか分からないかもしれないので簡単に言うと、浅見さんの魔法転移罠『地点移魔法』と呼ばれるいわば瞬間移動させられる罠にハマっちゃったということですね。
体育館内には、プロジェクターに現在の太鼓山ランドが映し出されています。
ちなみに前回残り12人になったと言っていましたが、すべて太鼓山ランドに仕掛けられた浅見さんの罠にかかり、離脱しています。
ある人は落とし穴にかかりずぶ濡れになり失格。
また、ある人々は集団転移されプールに移動させられ失格。
と、なんとも言えないようなクソみたいな理由で失格になっています。
プロジェクターには女子が水に濡れて下着が透けているところも映し出されていたので、男子はフェスのようなくらいの歓声を上げていました。
「足滝さんのスケブラの写真ほしいやつ!100円で売るぞ!」
「あの巨乳の足滝さんの写真だと!5枚くれ!」
「俺は10枚!」
「俺は50枚だ!」
ついには学年のアイドルの濡れ場写真が販売されてます。
皆さんも見たいですか?
私も皆さんにも見せてあげたいのですが、その時私がカメラを持っていなかったために見せることはできません。申し訳ございませんでした。
と、そんな茶番を言っている間に体育館には浅見さんが立体映像として、校長とかよく使うアレ(教壇?)の上に現れました。
「皆様、僕のショーを楽しんでますか?」
『ウェーーーイ』
『………………………』
男子は歓声をあげ、女子は引いていました。
しかしその中で一人だけ他の方々と反応が違う人がいました。
「おい!?浅見!?お前、ウチの伝統行事を壊すんじゃねぇぞ!?」
怒りすぎてマ○ジンマークを多用している大猿寺先輩だ。怒りで顔を赤くしています。ですが、その様子を見て浅見さんはニチャリと笑い
「負け犬の遠吠えですか。大猿寺君?」
と、立体映像じゃなかったらしばきたくなるような顔で煽ります。大猿寺先輩は、
「テメェに負けた覚えはないぞ!?この片黒が!?」
と叫びました。これには周囲の生徒たちも反応します。
「片黒…だと…」
「悪魔と人間のハーフなのかよ…」
「嘘だろ…」
生徒たちが浅見さんを見ながら後ずさります。
「頭が悪いクセによくもまぁそんな嘘を。」
映像の浅見はすました顔で、腕を組み反応しましたが、大猿寺先輩はニヤニヤしながらスマホをとりだし、ある画面を皆に見せました。
その画面には小さい頃の浅見の背中に悪魔の翼がついている写真だったのです。
「あの時の禍々しい翼と同じ形状で、漆黒の翼…本当に悪魔だ…」
とある生徒が腰を抜かし地面から立ち上がれなくなったまま、頭を抱えながら言いました。
周りの生徒も悪魔にトラウマを持っているためか泣きだすものなどもいました。
というのも、悪魔は5年前に日本に大災害をもたらし、ほとんどの陸地を海に沈め、北海道、長野、富山、九州地方以外を日本の地図から消したのです。
悪魔の影響で地元を離れ富山に逃げ込んだ生徒もここには多数いるため、このような反応をとるのもおかしくはありません。
その写真を見た浅見さんは一度深い深呼吸をしました。
どうやらマジで浅見さんは片黒だったようです。
「どうした?浅見?これ言ってはいけなかっT」
大猿寺先輩が言いきる前に突然、浅見さんが大猿寺先輩の首もとに指を当てました。
「おっと、これ以上口を開くなよ。弾くぞ」
大猿寺先輩は、
「いY」
悲鳴をあげようとしたとたん、体育館の天井を貫き天高く弾け飛びました。
周囲の皆は手で口を塞ぎ、動けなくなっていました。私もあの魔聖歩斬のバランスの良い大猿寺先輩が一瞬で消されたため、足が震えていました。その様子を見て、
「そうだ、君たちはそれで良い。ただ口を塞ぎ怯える小さな存在なのだから。」
と、浅見さんは不気味な笑みを浮かべてその場から去ろうとしたその時、
「待ってください。」
私は浅見さんに向かって思わず口を開いてしまいました。ここで止めなければ3年前のように周南様の身が危険になる。本能的に彼を抑えたい。
「波霧さん、どうかしましたか?」
先程の笑みを消し、無表情で私を見つめます。まるで、私には興味がないような反応をしています。
私は彼のこの表情を見たときに3年前のあの絶望を思い出してしまい、私の思いは躊躇すること無く声を出していました。
「浅見さん、私と決闘してくれませんか?」
足の震えはまだ収まらない、でも浅見さん…いや、浅見と戦う覚悟は出来てる。浅見は私の様子を見ながら勝ち誇ったかのような様子で、
「フッ、面白い。彼らが来るまで暇潰しに遊びましょうか。」
私は浅見の様子に腹立たしさが残るものの、一度深呼吸をし、体育館のステージに上がり、戦闘体制を整える。
「ボコボコにされる準備は出来ましたか?」
ニヤニヤ笑いながらズボンのポケットに手を突っ込みながら、ステージへとゆっくり上がった。
体育館にいる生徒はまだ全員、浅見に怯え動けていない。
私が戦っている間に浅見の隙を作り、皆で協力して何とかして倒そうと思っていたが、この状態では無理そうだ。
「どうしました?早くやりましょう。」
と、浅見がニヤニヤしながら言った。正直腹立たしい。
「あぁ、そうだな。」
「おっと、言葉が汚いですよ。『決闘』」
「黙れ!『決闘』」
こうして、私と浅見の戦闘が幕を開けた。
自分の怒りからか、足の震えが止まり体も暖まってきた。
だが、体育館全体には5月とは思えない冷えた空気が漂い私たちを包んだ。
夕凪「なんかな~」
千田「どうした?」
夕凪「なんか暇だな~」
栗林「あー、作者がバイトやめたからだろ。」
夕凪「そうか?次回は波霧さんvs浅見!浅見の奇怪な能力とは?また、俺は出ないぜ!」
千田「次回『ハマっちゃってもいいですか?(決闘)』」
夕凪「次回は長編だ!」
千田「なんか、静かですね。」
夕凪「おい、フラグ立ててんじゃねぇ!」
千田「次回は11月1日かな?」
夕凪「11月1日だよ!自信持てよ!あ、評価よろしくな!」