番外編 京弥と佐々木のやり取り
これは京弥視点で書いた番外編で時系列順で言えば3部の後の京弥と佐々木のやり取りです
この番外編を書いてる最中は京弥も奈央が好きなのか?と自分でも謎に思ってしまう内容ですが
あくまでも幼なじみとして弟みたいな愛情があるのかと今読み返して思います
番外編を読んで佐々木の奈央への気持ちも分かるかと笑
楽しんで頂けたらと思います
京弥視点
鞄と共に投げつけられた幼稚くさい言葉を思い出したオレはククッと笑うと投げつけられた鞄を拾いながら
「美術オタクってなんだよっふふっ!アホかあいつ」
それまで、黙って見ていた佐々木は
「わざとだろ?今の、わざと西野を怒らせたっで、俺に何か言いたい事でもあるんだろ?滝沢」
「へー。さすが!野球部エース」
小馬鹿にした物言いにカチンと来た様子だ
「野球部は関係無いだろ・・・はぐらかすなよ」
オレの佐々木に対する第一印象は
いつも笑ってて、怒った事ありません~
みたいなイメージだったが
今の佐々木は多分1番素に近い状態だろうな…
もし、この状況下でも人気者の顔でもしてたらスルーしてやろうかと思っていたが
意外と話せる奴か…
そう分かると
佐々木の目を見据えて
「何か言いたい事があるのはお前もだろ?佐々木」
そう言うと虚をつかれた様に京弥の方を見た
「・・・そうだな」
まぁ?言わせないけどね
「佐々木、お前に忠告な。」
佐々木は怪訝そうな顔になり「忠告?」
とオウム返しに聞いてきた
「そう。あいつ奈央の事だけどさ、本当になぁんも知らないお子様だからさ、興味本意とかで奈央に構うなら…オレは許さねぇよ?」
奈央が傷つけられたり、悲しむ姿をみるのは誰であっても許さない
幼稚園の頃から守って来たのはオレだ
奈央は自分の顔に劣等感しか無いみたいだが
猫っ毛の柔らかい髪から覗く一重にしては大きな目もぷっくりした唇も
勉強ばかりしてきたせいで焼けてない真っ白い肌も、小さい顔も
何というか・・・庇護欲をそそる容姿をしていて中学でも高校でも変な輩から守って来た
奈央本人は知らない事だが…
それまで黙っていた佐々木は
「興味を持って相手を知る事がそんなにダメな事なのか?」
「は?」
突然何を言い出すかと思えば佐々木は至極真面目に聞いてきた
「俺はからかうつもりで西野に近づいた訳じゃない・・・そりゃ初めは興味のが強かったけど、今は違う意味で西野の事知りたいと思ってる!」
聞いてるこっちはなんじゃそりゃ状態だ
そんな事オレに言ってどうするよ
本人に直接言ってやればいいものを・・・
こいつも相当なバカ正直者だな
まぁ。だからいつも周りに人がいて笑ってるんだろうけど・・・
オレには無理だな
「違う意味ってどう言う事だ?ま。どちらにせよ、オレはそう言う曖昧で中途半端な奴は排除するつもりだけどな…あいつが余計傷付く」
中学時代、奈央が深く傷ついた過去があるから尚更だ
「滝沢・・・傷つくのが許せないとか、西野は昔何かあったのか?
チッっと舌打ちが出るのは仕方ない
あんなくだらない事をわざわざ佐々木に言うつもりは無い
オレはそもそも爽やか人気者がいけ好かない
オレは佐々木の言葉を無視して
「とりあえず!もう奈央に構うのは止めろよ!人気者!」
最後に嫌みを言うのを忘れず
じゃあな!
と佐々木の返事も聞かず、さっき走り去った幼なじみの後を追いかける為
佐々木の横を通り過ぎる
「滝沢!」
まだ、何かあんのかよと振り返りもせず階段を降りる足を止めた
「忠告サンキューな!でも、やっと西野と喋るきっかけ出来たのに、それを無駄にはしたく無い」
「はぁ?」
振り返り佐々木を見ると
人気者の爽やか顔じゃなく、オレに挑戦的な顔をすると
「本気で真面目に西野の事知りたいし、想ってるから・・・邪魔はすんなよ?」
そう言うが早いか
オレを追い越し階段を降りて行った
その足取りは随分軽やからに見えた
牽制するつもりが、佐々木には逆効果だったみたいで、思わず舌打ちをした
佐々木は邪魔をするなと言ったが
そんな事は聞くつもりは無い
これからも大事な幼なじみを守るのは
オレだけでいい・・・
さぁ。ご機嫌取りにあの幼なじみの所にでも行くか
どうせ家で膨れっ面して布団に丸まってる事だろうし
そう思うと
さっきの佐々木とのやり取りでのイライラが消え
どうやって機嫌とってやるか
とそっちに意識が向いて妙に楽しくなってきた
京弥視点〜完〜