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狂イユク夏ノ日ハ延々ト  作者: 大亀
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第五話 とっても優秀な茜ちゃん

「ブー、ブー、ブー」

「ん?霙、携帯鳴ってないか?」

「え?」


霙は自分の鞄の中を探り、携帯を取り出す。


「ほんとだ。お母さんから電話だからちょっと待ってて」

「了解」


霙は少し離れ、電話をしている。ゲーセンの中って結構うるさいから何を言ってるか全然聞こえない。一分ぐらい話すと俺のところに戻ってきた。


「ごめん真琴、お母さんに帰ってきなさいって言われちゃった」

「そっか、じゃあ帰るか」

「いいよ、真琴は遊んどいて」

「そうはいかない。今日は霙と一緒に帰るんだからな。ちょっと待っててくれ」

「う、うん」


俺は霙に渡したメダルを預けに行く。100枚から1500枚って結構儲けたな。さすが霙。


「新、先帰るわ」

「あー、了解。真琴、ちゃんとエスコートしてやれよ?」

「はいはい。分かったよ」

「バイバイっす。真琴先輩」

「じゃあな」


二人に帰ると言って、俺は霙のところに向かう。俺が行くと霙はたい焼きの尻尾を食べてた。


「待たせたな。じゃあ帰ろうか」

「ありがとう真琴」

「良いって」


俺と霙はゲーセンから出て、帰路に就く。


「たい焼きありがと。カスタードとストロベリー、どっちも美味しかった」

「買ってきた甲斐があったよ」

「それで…その…」


またもじもじしてる。ちょっと照れながら指をくるくる回している。ああ、ひょっとして間接キスのことか?


「もしかして間接キスのことか?」

「………(こくこく)」

「あれはすまんかった。俺が先に気付いていれば」

「う、ううん。大丈夫だよ。もう過ぎた事だし」

「そうか、ありがとう。それで、お母さんからなんて言われたんだ?」

「『どこか行くのなら先に言っておかないと。今日は帰ってきなさい』って」

「そっか、じゃあ帰ったら半分以上俺のせいだから許してあげてくださいって言ってたって伝えといてくれ」

「わかった。やっぱり優しいね。真琴は」

「そんなことない。普通だよ」


これぐらい普通だ。普通なんだよ。みんなが優しくないだけだ。ま、こんなこと言う気は無いけど。そんなことを考えていると霙の家に着いた。


「着いたな」

「今日はありがと。たい焼き奢ってくれたし、熊のぬいぐるみ取ってくれたし」

「いいよいいよ。じゃあまた明日」

「うん。バイバイ」


笑顔で見送ってくれる霙。俺はそれを手を振りながら見る。霙の笑顔って、やっぱり可愛いんだよな。見てるだけで癒される。俺の家は霙のそこまで離れてない。3軒先ぐらいのところに俺の家はある。俺の家は一軒家だ。


「ただいまー」


ガチャリと扉を開け、中に入ってそう言う。


「おかえりー、お兄ちゃん」


声の主は妹の(あかね)。中学一年生。ツインテールで笑顔が可愛い。茜は俺と違って結構モテている。修学旅行で四人から告白されるという俺もされてみたい体験をしたことがあるらしい。しかも成績優秀、性格も言うことなし。俺の両親は俺が小学生4年生の頃に事故死している。昔は家事を俺がやっていたが、今や俺のやることが無くなるほど家事を頑張ってくれている。全部あわせて自慢の妹だぜ。俺は靴を脱いで茜のいるキッチンに向かう。


「今日早く学校終わったんでしょ?それでも結構遅かったってことは新さんと遊びに行ってたの?」

「あー、新とは遊んだんだけど今日は霙とゲーセンに行ったんだ」

「へぇ、意外。霙さんはゲームセンターとか行かないと思ってた」

「その霙さんって言うの、前に霙からやめてほしいって言われてたろ?」

「でも霙ちゃんって呼ぶのはちょっと…」

「それもそうだよな。霙…しゃん?」

「何その呼び方」

「さんとちゃんを合成させてみた」

「滑舌の悪い人みたいじゃん」


そうだな。でもさんとちゃん意外に何て呼べばいいんだろ。呼び捨ては年齢が下の茜がするわけにはいかないし。


「やっぱりさんがしっくりくるな」

「でしょ?」

「この話前にもしたような…」

「したよ。多分1ヶ月前ぐらいに」

「そっか、風呂できてるか?」

「できてるよ。いつも帰ってきたら風呂だもん」

「ありがとな」


俺は2階の自分の部屋に行く。この家の生計は親族から送られてくるお金と、事故死した両親の保険金だ。それをやりくりしているのも茜だ。なんでも任せすぎだと思って俺も手伝おうとするけど


「お兄ちゃん邪魔!これ私一人でやるから!」


と言われてしまう。俺は妹の反抗期が来るのが怖いよ。何が反抗期なのかはよくわからないけど。俺は部屋の箪笥から着替えを取り出して1階浴室に向かう。風呂は良い。その日の疲れを全部流せるからな。


――――――――――――――――――


「もう。どこか行くなら連絡しなさいよね」

「ごめんなさい。お母さん」

「…ちょっと強く言い過ぎたわ。ごめんね霙。でも私だって霙が連れていかれたりしたらと思うと怖いのよ。だからどこかに行くならちゃんと連絡しなさいよ」

「うん。わかった」


私は笑顔を作ってそう返す。


「分かってくれたのなら良いわ」

「あとお母さん」

「?どうかした?」

「真琴が、『半分以上俺のせいだから許してあげてください』って」

「真琴君、やっぱり良い子ね」

「うん。私にこのぬいぐるみ取ってくれたし」

「良かったわね霙」

「うん!」


私は母との会話を終えるとすぐに自室に向かう。鞄を置いて、ぬいぐるみと一緒にベッドに飛び込む。


「やっぱり、優しいなぁ。真琴は」


昔から真琴は優しい。誰にでも優しい。けど私にはとても優しくしてくれる。私は真琴にとって特別。そして私は真琴が好き、大好き。好きで好きでたまらない。けどそんな私たちを邪魔するやつがいたらそいつは消さなきゃ。あの眼帯、特に害は無さそうだけど、私たちの邪魔をするようだったら消さないとね。フフ、フフフフフ。

あらすじの注意通りでよろしくお願いします。

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