第三十話 真琴のオススメ
あらすじにある注意通りでよろしくお願いします
「はい。注文のうさぎちゃんパフェ」
「おおっ!これがうさぎちゃんパフェっすか。美味しそうっすね」
「で、新は注文決まったか?」
「じゃあ俺も真琴君のオススメが良いな」
「聞いてたのか…」
霙と話していたのを、よりにもよって新に聞かれてた。いや、このほどほどの広さの店内で話し合っていたのだから聞こえないことはないか。
「じゃあたっぷり苺のショートケーキで良いな?」
「おいおい、誰がスイーツって言った?」
「じゃあなんだよ」
「…スイーツ」
「だろうな。今からパスタとかドリアとかは食べれないだろ。注文はたっぷり苺のショートケーキで良いな?」
「うん」
俺は注文をメモらずに厨房に行った。
「たっぷり苺のショートケーキ一つ追加で」
「わかった」
俺はそう伝え、店内に戻る。すると、レジの前に幸子さんがいた。俺は急いでレジに向かう。
「お会計ですか?」
「ええ。お願い」
「320円です」
「…はい。どうぞ」
「ちょうどですね。レシートはいりますか?」
「いらないわ」
「そうですか。では、ご来店ありがとうございました」
そう挨拶をすると、幸子さんはニコッと笑って店から出ていった。
「ふぅ。っし!頑張るぞ」
俺は運び待ちの所を見る。そこには新と霙が注文したショートケーキが置いてある。俺は盆にそれを乗せて運ぶ。まずは新から。
「たっぷり苺のショートケーキです」
「確かに苺たっぷりだな」
「そっちも美味しそうだなぁ。新先輩一口くださいよ」
「まあ待て。俺が先に食うから」
新はすでに持っていたフォークでケーキをすくい、食べる。そして一言。
「うんま!」
「ほっ、良かった」
「え、何この美味さ。半端ないんだが」
「私にも一口!」
「良いぞ!食ってみろ」
葵はうさぎちゃんパフェを食べるのを一旦止め、新のショートケーキを食べた。
「んー!美味しい!」
「喜んでもらえたみたいで良かったよ」
「今度から真琴のバイト中に注文するとき、悩んだらオススメにしてもらおうかな」
「止めてくれよ」
そう笑って新の席から離れる。そして霙の席にケーキを届けに行った。霙は本を読んで待っていた。
「遅くなったな。悪い」
「大丈夫だよ真琴」
「はい。俺のオススメのショートケーキ」
ことっ、とショートケーキの乗った皿を置く。俺は霙と相席になるように座った。
「何で座るの?」
「いや、俺のオススメってことで選んだけど口に合わなかったら謝ろうと思って」
「そんなのしなくて良いよ」
「まあ、とりあえず食ってくれ」
「わかったよ真琴」
霙はフォークを手に取り、きちんと手を合わせてからケーキをすくう。そして口に運んだ。
「………」
「どうした?何か感想を言ってくれよ」
「………」
「おーい霙?大丈夫か?もしかして喉に詰まったのか?」
「………(フルフル)」
霙は首を振る。じゃあ何で喋らないんだ?声にならないぐらい美味かったのか?聞いてみよう。
「もしかして声にならないぐらい美味かったのか?」
「………(コクコク)」
正解だった。まさか本当に声がならないぐらい美味しかったなんて。
「ゴクン。真琴!何これすっごく美味しいんだけど!」
「良かった。口に合ったみたいで」
「そんなの心配しなくていいぐらい美味しいよ?なんなら誰が食べても美味しいって言うんじゃない?」
「そうか?別に俺が作ったものじゃないけど、嬉しいな。厨房の神矢さん達にも伝えて置くよ」
「うん!お願い!」
俺は席から立ち上がり、厨房に向かう。そして厨房につくと、そこにいる二人に言った。
「たっぷり苺のショートケーキ、めちゃくちゃ好評ですよ…って神矢さんどうしたんですか?」
神谷さんが蹲っている。そして店長は慰めているように見える。
「いやね、店内の声筒抜けだったのよ」
「ああ、そうなんですか。けどこんな状況になります?」
「今回のスイーツ、真琴君の知り合いってわかったから本気で作ったらしいの。それでそれにとても良い感想がついたのが嬉しくて泣き出しちゃったの。「自分のやってきたことは無駄じゃなかった」って」
「そうだったんですか。じゃあそっとしておいた方がいいですね」
俺は厨房から出て、店内に戻る。そして店の中の様子を眺めた。霙は一人で黙々と楽しそうに食べている。葵と新は駄弁りながら各々の注文したものを食べている。猫田さんと渚さんは喋っている。何をそんなに喋っていられるのかわからないが、特に興味はない。
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…眠くなってきた。クーラーの効いた店内で何もしないんだから。霙は食べ終わってコーヒーを飲みながら本を読んでいる。新と葵は食べ終わっていて、さっき注文したジュースを飲みながら話している。猫田さんと渚さんは言わずとも分かると思う。喋っている。
「ふぁぁぁあ」
寝不足ではないが、こういう状況になると眠くなるよね。だが、俺の眠気は入ってきた客のお陰で吹き飛んだ。
「いらっしゃいま――」
金髪に学ラン。今の時代全然居ないヤンキーの姿をした女子が店に入ってきたからだ。




