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狂イユク夏ノ日ハ延々ト  作者: 大亀
22/30

第二十二話 犯人の視線?

あらすじの注意通りでよろしくお願いします

「あー、うまかった。ごちそうさま」

「そうか。よかったよ」

「…ん?」

「どした?」


日光が入ってきている窓の方を見る新に問いかける。


「いや、見られてる気がしてさ」

「!!ほんとか!?」

「だから窓の方を見たんだけどさ、誰も居ないんだよ」

「そうか、姿を見てたら良かったんだけどな」

「ああ、力になれなくてごめんな」

「良いよ」


だけど、店の中には入ってこないんだな。まあ、入ってこないか。


「だけどあの感じ、どっかで…」

「どこかで感じたことあるのか!?」

「それがわかればなぁぁぁぁ」

「そうだな」


二人で腕を組んで悩む。本当に誰なんだ?新が言ったことが正しいのなら、その犯人は新の身近に居る人ということになる。だけどこいつの人脈すごいからなぁ。えー、誰だよ。


「まあ、それは今度考えるとして」

「うん」

「お前、会長が注文待ってるぞ」

「マジ?じゃあまた後でな」


俺は新の元から離れて会長の所に行く。会長は手を挙げていた。あの、ボタン押して呼び鈴鳴らすやつ知らないの?


「やっと来たわ」

「会長、これ知らないんですか?」

「なんなの?これ」


俺は会長にその呼び鈴を鳴らす機械のことを教える。名前は…何だったかな?まあ、この機械の名前なんて知ってるやつの方が少ないだろう。


「へぇ、そんなものあるのね」

「はい。それで注文はどうしますか?」

「このうさぎちゃんパフェってやつで」

「…はい」


可愛いなぁおい。それ頼むの小さい女の子か、SNSにあげるように頼む女子高校生だけなんだけど。別に良いか。俺はその注文を厨房に届け、新の方に行く。


「思い出せたか?」

「無理」

「そっか」

「まあ、俺に期待しないで自分で見つけてくれよ」

「そうするよ」

「ところで、なんでお前あの猫耳の可愛い人口説かないんだよ」

「『なんで口説かないんだよ』って、それお前だけだよ」

「いや、全国のナンパ男子を代表して言っているのだよ」


そう言う新は何故か誇らしげにしている。なんでバイト先に可愛い人がいたら口説く前提なんだよ。多分全国の人達もそんなことしないと思うんだけど。


「まあお前の意見は置いといて、口説けないんだよ。あの人婚約者居るから」

「禁断の関係…良いじゃん?」

「お前…」


俺は拳を構えた。


「うそうそ、冗談だよ」

「その婚約者の人、ここの常連で仲良いからさ」


俺は携帯を取り出し、渚さんと猫田さんのツーショット写真を見せる。前に「菜那は写真嫌なんだけどね、俺とだったら撮ってくれるんだよ」とメールを送ってもらい、写真も送ってもらった。


「あれ?この人どっかで…」

「またかよ」

「悪いな。でもかっけー」

「だろ?おまけに性格も良いんだよ」

「俺が女だったら惚れてるね」


と話をしていると、視界に会長の頼んだパフェがあるのが入った。


「スイーツ食べないんだったらそろそろ会計しろよ?」

「わーってるよ。今からする」


俺はその注文をとりに、新は席から立ち上がりレジへと向かった。俺は会計をしている新を横目で見ながら、注文を運んだ。


「お待たせしました。うさぎちゃんパフェです」

「ありがとう真琴君」

「それではごゆっくり」


俺はちゃんと仕事に戻る。まあ、この時間(2時16分)は客が少ないので仕事はほぼない。30分ほどの間に注文をとりに行ったのは2回。暇してた。


「まこ坊」

「?はい」

「そろそろにゃだれがくるにゃよ」

「あ、もうそんな時間ですか」


時計を見ると2時54分になっている。3時からスイーツやデザートを食べに来る客は多い。そういや会長帰ってないじゃん。あー、会長パフェ食ってすやすや寝ちゃったよ。起こすのもなんだし、起きるまで待つか…って!!なんか黒服でサングラスの人が会長を起こしてる!?


「雪華様、そろそろ」

「んあ?…そうね。ありがとう」


それだけしか聞こえなかった。間もなくして黒服さんは出ていき、会長は会計をしに行った。


「代金はいくらかしら?」


そう言って会長は財布を取り出した。その財布は高価そうで、とても分厚かった。ちらっと見えたがその財布の中にはお札がめちゃくちゃ入っていた。


「1520円」

「!?」

「どうしたの?」


驚いた会長に、思わず会長が嫌いな彩音さんも問いかけた。俺も気になった。何に驚いたんだ?


「安くない?」

「?これであってますけど」

「あの美味しさでこの値段?てっきり二万円ぐらいするものだと…」

「いやここ喫茶店な?」


彩音さんはなるべく関わりたくないだろうけど、突っ込んだ。


「これがいわゆるコスパがいいってことね」

「さっさと会計してくれない?」

「わかったわ」


会長は一万円札を出す。彩音さんは「はぁ、」とため息をついた。まるで細かいの持ってないよなと言わんばかりに。


「はいお釣、8480円」

「ありがとう」


たくさんのお釣をもらって、会長は扉から出ていく。扉を閉めた後、扉の奥の会長は俺の方を向いてニコッと笑った。そして何か言っている。俺はなんて言っているのかわかった。『また来るわ』と言ったと思われる。


「んっんー。さっ、頑張るか」


俺は伸びをして、仕事に望む。さっきの会長の笑顔に元気をもらったので、やる気がみなぎるよ。扉が開いて、新しい客が入ってくる。


「いらっしゃいませー」

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