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狂イユク夏ノ日ハ延々ト  作者: 大亀
20/30

第二十話 雪華会長の可愛い注文

あらすじの注意通りでよろしくお願いします

「ここです。どうぞ」


雪華会長を席に案内する。カウンターも空いてるけど、彩音さんが見たくないだろうから二人席に案内した。


「注文が決まったら呼んでください」

「あ、真琴君、ここに来たのはあなたに用があるの」

「俺ですか?」

「はい。だから座ってくださるかしら?」

「…猫田さん、彩音さん、ちょっと頼めますか?」

「にゃんかわけありのようにゃから良いにゃよ」

「仕方ないね」

「ありがとうございます」


俺は雪華会長と相席状態になる。沈静をしていなかったのなら、こんなの絶対断っていた。一応顔に出そうなのでポーカーフェイスをしよう。


「それで、なんですか?」

「単刀直入に言うわ。あなた、あの噂とあの写真についてどこまで知ってるの?」


ほんとに単刀直入だな。これのためにここまで訪ねてきたのかよ。気になったので聞いてみる。


「これだけを聞くためにここまで来たんですか?」

「ええ、他にも話すことはあるけどまずはこれね。この話のためにあなたの家を訪ねたわ」


家にまで来てたのかよ。茜の勉強を邪魔したろうな。すまない。と心の中で謝る。


「それで茜に聞いてここにいるって知ったんですね」

「ええ、そうよ。まあこんなどうでも良い話は置いといて、さっきの質問に答えてもらえるかしら?」

「噂を流したやつは見つけました。今後、こういうことはしないそうです」

「そう。その人は霙さんかしら?」


当たりだよ。なんなんだよ、この人。けど、霙がやったって知られないようにポーカーフェイスを維持。


「その人から名前を口外しないでくれと頼まれましたので、名前は答えません。良いですよね?」

「…ええ、良いわよ。それで写真の方は?」

「それについては全く」

「なるほど。噂を流した人物と写真を投稿した人物は違うと」

「はい。噂を流したやつもこんなことになるなんてって焦ってましたよ」

「それが演技でないという可能性は?」

「さあ?でも焦り方から違うと思いますよ」


ここまで言って噂も写真も霙だったら一周回って霙を称賛したくなる。主演女優賞をあげたくなるね。


「噂を流した人物を知る真琴君から見ても同一人物の線は無いと」

「はい」

「それで、あの写真関連で知らない情報は無いのね?」

「あ、そういえば知り合いが犯人らしき人物を見たと言っていました」

「その情報、詳しく聞かせてくれない?」


俺は葵から聞いた犯人らしき人物を姿を話す。


「へぇ、まるで私じゃない」

「そうですか?」

「いや、何でもないわ。今のは忘れて。あと、その情報を教えた人はどなた?」

「言ってもわかりませんけど」

「良いのよ。一応知っておかないと」

「わかりました。野々原葵、波木中学の三年生です」

「野々原葵さんね。わかったわ。あともう少し質問したいのだけれど、何かを注文しないとお店に申し訳ないわ。真琴君、ここのおすすめは何かしら」

「昼御飯は食べましたか?」

「いいえ、食べてないわ」

「そうですね、それじゃあ…」


俺は少しメニューを見る。いつも昼頃の人が頼むものはなんだ?パスタ?ドリア?あっ、これだ。


「オムライスですね」

「じゃあそれをお願い。あと真琴君」

「はい?」

「ケチャップで雪華ちゃんって描いてくださるかしら」

「いや、僕…」

「お願い」


キラキラした目で俺を見てくる。俺より年上だろ?何ねだってるんだよ。でも、一応客なんだよな。客の要望には答えないと。そして沈静のこと、まだお礼言えてないし。それも兼ねてだな。


「わかりました。待っていてください」


俺は注文を厨房に届ける。


「店長、オムライスお願いします」

「は、はぁ。わかったわ。数分まってね」

「あと店長、オムライスにケチャップで文字描かせてもらうことってできますか?」

「良いけど、そんな注文したお客様いるの?」

「はい。一応知り合いで、感謝の意も込めてその注文を受けました」

「そう、じゃあ格段に美味しいオムライスにしないとね。お姉さん頑張っちゃうぞ!」


さっきまでへとへとだった店長がやる気に満ちている。オムライスの調理を始めた店長の目は本気(マジ)だ。普通のオムライスで良いんだけどなぁ。


待つこと数分。別の注文が来ることなく、オムライスの調理が終わったみたいだ。


「できたわよ真琴君。はいケチャップ」

「ありがとうございます」


俺は渡されたオムライスにケチャップの入ったディスペンサーを押して文字を描く。えっと、雪華ちゃんだっけ?会長、子供だなぁ。そう思いながら綺麗に文字を描こうと努力する。無我夢中でやっていると、意外に綺麗にできた。


「わぁ、知り合いって何歳?」

「…17です」

「ふふっ、面白い子ね」

「そうですかね。体は大人でも中身は子供なんじゃないかと疑うレベルですよ」


そう言い、俺はオムライスを運ぶ。チラッと文字を見る。なんか、精一杯やったけど恥ずかしくなってくる。そんなことを感じながら席に運んだ。


「どうぞ」

「わぁ、本当に描いてくれたのね」

「これは前の噂の騒ぎの時の沈静の感謝を兼ねてです。あのときはありがとうございました」

「?沈静の事、真琴君に話したかしら?」

「友人から聞きました。その場面は見てないけど、感謝はしとかないとと思いまして」

「そう。どういたしまして」


そう言って雪華会長は笑う。それの笑顔がなんとも言えぬ可愛さで、ちょっと照れる。


「あら?何を照れてるのかしら?もしかして私の笑顔かしら?」

「は、早く食べてください」

「ふふっ」


また笑った。その無邪気さが余計に可愛くしている。くそっ、ずっと見ていたい。ほ、惚れそうだ。

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